カウントダウンは中止になったが……。大みそかの渋谷はどうだったのか?

カウントダウンは中止になったが……。大みそかの渋谷はどうだったのか?

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 大晦日の夜といえば世界各地でカウントダウンイベントが行われ、盛大に新年の幕開けを祝う人々で溢れかえる。

 しかし今年は世界中で新型コロナウイルスの感染が広がり、従来のような華やかさに満ちたカウントダウンは期待できない。

 毎年、国内外から10万人が集まるとされる渋谷も、渋谷区長自らカウントダウン目的で来るのは自粛するよう呼びかけ、スクランブル交差点でのカウントダウンイベントを中止した。

 果たして、今年の渋谷カウントダウンはどのような状況になるのか。実際に現場へ出向き、可能な限りそ0シャルディスタンスを確保しつつ、朝まで過ごした実態をお伝えしたいと思う。

◆例年になく人出が少なかった年越し前の渋谷

 渋谷の街に着いたのは午後22時過ぎ。カウントダウンまで残り2時間という時間だったが、例年に比べて人はまばらな印象。早速、街周辺を探索していきたい。

 まずは渋谷カウントダウンの聖地とも呼べるスクランブル交差点だ。いつもならばカウントダウンイベントに協賛しているコカ・コーラが、カウントダウン記念のハットを無料配布しており、そこかしこで赤いハットが揺れ動く姿が見られたが、今年は一切配布がなかった。

 また、交差点周辺には「本日のカウントダウンイベントはありません」のプラカードを掲げるセキュリティの姿も。混雑具合は例年に比べて全然少ない感じだ。やはり、事前の自粛呼びかけ効果が功を奏したのだろうか。公園通り、センター街、文化村通り、道玄坂など渋谷の主要なストリートを散策したが、こちらも割と静かな雰囲気だった。

 逆に警察や民間のセキュリティが多く感じたくらいだ。年を越せば、いくらか人が集まって来るのだろうか。

◆クラブの行列は一応健在していた

 次に、渋谷のクラブ街を回ってみようと思う。

 まずは多くのクラブが集まる円山町に。アトムやハーレム、WOMBといった人気クラブが集まるこのエリアは、例年であればカウントダウンをクラブで迎えようと長蛇の列をなしている様子が見られる。深夜0時を回る1時間前から並んでも、カウントダウンに間に合わないほどの列になることもしばしばだ。

 だが今年は行列はできていたものの、従来に比べれば少ない方だった。時計に目をやると午後23時過ぎであり、これからもっと来るのかもしれないが、今から並んでも十分にクラブ内で年越しを迎えられそうな雰囲気だった。

 また、道玄坂にあるクラブのビジョン前も、いつもは列を整理する赤いパーテーションポールに沿って多くの人が並んでいたものの、今年はそこまで目立った混雑ぶりは見られなかった。もしかしたら、「密を避けるために早めにクラブの中へ入って、大音量のダンスミュージックと共に年越し間際の高揚感を味わい、カウントダウンの余韻に浸りながら終電で帰る」。このようなプランを立てる客が多いのかもしれない。

 事前の告知フライヤーをチェックした中で、もっとも入場料が高かったのは東急プラザ渋谷屋上のルーフトップにあるC? LA VI TOKYO(セラヴィ トウキョウ)だ。お酒のフリーフロー(飲み放題)が付いて、深夜0時前は男性9,000円〜1,0000円、女性6,000円〜7,000円、VIPは男性15,000円、女性10,000円と渋谷のクラブにしては大人の価格設定だ。

 こちらにも午後23時過ぎにエントランス近くまで来てみたが、外国人客を中心に列をなす様子が伺えた。大人な雰囲気を嗜みつつ、フリーフローを楽しみながら年越しを迎えたいとする客が集まっていたのかもしれない。

◆カウントダウンの瞬間は……

 さて、渋谷の街を一巡して時計に目をやると午後23時30分。カウントダウンの時間もそろそろだと思い、スクランブル交差点へと向かった。今年はスクランブル交差点の象徴である大型ビジョンの映像が、午後23時に放映停止されていたので、映像による演出は全くなかった。

 一方で渋谷ハチ公前は、カウントダウンを友人・知人同士で過ごそうと集まる様子が見られ、中には自前の音響機器を持ち込み、大音量で音楽を流す人も。また、国民主権党の「クラスターフェス」が行われており、もはやお祭り状態と言わんばかりの様相を呈していた。だんだんと年越しムードが高まっていき、徐々に人が集まるように。

 カウントダウンまで残り2分。通常ならごった返して身動きが取れないほどの大混雑が生じる時間帯だが、今年はそこまでの盛り上がりはない。ただそれでも、年越しならではの一体感を味わおうと、スクランブル交差点の中央に人が密集。

 「10、9、8、7……」のようなカウントダウンコールこそなかったが、年越しの瞬間はスマホをスクランブル交差点の方へかざし、写真に収める姿が目立った。特段盛り上がる様子もなく迎えた2021年。ここから今一度、渋谷の街へ繰り出してみたい。

◆渋谷らしさが垣間見えた新年早々の夜

 センター街はというと、年越しムードで活気立っていると思ったが、予想していたほどではなかった。

 とはいえ、飲食店前で屯する若者や泥酔して横たわっている人、「ハッピーニューイヤー!」と声かけてナンパする人もちらほら見られ、いつもらしい渋谷の姿は目に入ってきた。

 また円山町に足を運ぶと、店先で日本酒を振る舞う様子も。なんでも毎年恒例で通りすがる人々に日本酒を配っているというが、「今年は全然、渋谷に人がいないですね」とこぼしていた。

◆クラブには“出会い”を求める若者の姿も

 実際にクラブへ入り、盛り上がり具合も見ておこうと最初に向かったのは、渋谷駅高架沿いの一角にあるバーラウンジ。大人な客層中心でゆったりと過ごせる場所ゆえ、どんな盛り上がりを見せているかと思えば、客はそこそこの入りだった。ワンフロアには踊る人もいたり、DJの音楽を聴きながらスタンディングで飲む客もいたり。中にはVIP席で高級シャンパン「ドン・ペリニヨン」を 4、5本空けた形跡も。新年の門出を祝うための景気づけだったのかもしれない。

 2軒目に向かったのは、スペイン坂近辺にあるクラブ。渋谷の若者に人気のあるハコだ。カウントダウンも終わり、深夜3時にもなろうかと思う時間に、果たして盛り上がっているのだろうか。

 クラブの中に入り、メインフロアのドアを開けると……。なんと、超満員でボルテージが最高潮に達していた。ダンスミュージックに合わせて光る棒を揺らしたり、首を縦に振ったり。タイミングを見計らってナンパをする光景も見られた。

 全体的に客層は若く、大学生らしき客も多かった。今年は新型コロナの影響でオンライン授業への切り替えや、サークル活動の制限などで従来の大学生活を謳歌できなかったせいか、年越しという1年に一度の節目に“出会い”を求め、渋谷のクラブへやってきたのかもしれない。

 新型コロナが収束しないまま、間もなく1年が過ぎようとしている。かつての平穏な日常が戻るのを誰もが切望しているのは疑いないことだろう。しかし、東京都の感染者数は1000人を超え、感染拡大を抑制するためには、不要不急の外出を控える以外にはない。

 政治家たちが宴会している中、「なぜ俺たちが」と思うのも無理はないことなのかもしれないが、この夜集まった人々の中からクラスタが発生しないことを願わずにはいられない。

 渋谷カウントダウンの現場に行き、そう感じたのだった。

<取材・文・撮影/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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