飲食店の「コロナ休業」を救え!休業支援金・給付金の効果的な使い方

飲食店の「コロナ休業」を救え!休業支援金・給付金の効果的な使い方

画像はイメージ(adobe stock)

 新型コロナウイルスの感染者数が過去最多を更新し続け、東京では感染者数が1日2000人を超える事態になっている。1月8日からは、再び緊急事態宣言が発令されることになり、特に飲食店に関しては、首都圏4都県において自粛要請が行われ、20時までの時短営業を求められている。

 一度目の緊急事態宣言が発せられた2020年4月・5月は、様々な事業に対し休業要請がおこなわれた結果、多くの労働者が休業を強いられ、収入を絶たれてしまった。その後、雇用調整助成金(休業手当を払った企業に対する助成金)の特例的拡大やその対象期間の延長が行われ、休業している労働者への補償政策がとられたが、今回も労働者の多くが休業に追いやられることが懸念される。

 そこで、7月に創設された休業支援金・給付金(正式には「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」)の制度の活用について紹介する。この制度が労働者の「コロナ休業」を救う鍵となると考えられるためである。

◆休業支援金・給付金とは

 厚労省は、休業支援金・給付金の制度について「新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止の影響により休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けることができなかった方に対して、当該労働者の申請により、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を支給する」としている。つまり、直接的・間接的に関わらずコロナの影響で休業になり、かつ休業手当が支払われなかった労働者に国が直接の賃金補償を行うということだ。

 その対象者は令和2年4月1日から令和3年2月28日までの間に事業主の指示を受けて休業した中小企業の労働者であり、休業前賃金の8割(日額上限11000円)が支給されるという。

 休業手当を支払わない、あるいは支払えない企業が少なくないために、労働者が自ら申請し、給付を受けることができるように作られた制度なのだ。

◆シフト労働者や日雇い労働者も対象

 この休業支援金・給付金は、かなり柔軟に使える制度となっている。例えば、コロナの影響で勤務店舗そのものが休業となり、勤務ができなくなった場合には、その期間について補償の申請ができることとなる。また、店舗そのものの休業でなくとも、店舗従業員がそれぞれ個別に休業指示を受けるという形で休業とされた場合も、申請対象となる。あるいは、働く日数が削減されるという形での休業の場合でも、削減された分、補償を受けられる。

 そしてこれらは、学生アルバイト・パート労働者、あるいはシフト労働者・日雇い労働者・登録型派遣労働者などの様々な働き方の労働者が対象となっている。

◆申請に協力しない企業が多発

 しかし、休業支援金・給付金をめぐって大きな問題が発生している。申請方法は労働者が自ら申請できるものと先ほど説明したが、休業の事実を確認するために、事業主が休業指示をしたことを証明するための事業主記載欄が申請書にあるのだ。原則として、その事業主記載欄への記入がなければ休業支援金・給付金の対象とならない。

 つまり労働者自ら申請できると言いつつ、結局は事業主の協力が必要になっている。そして、事業主・企業が協力をしてくれないという事態が多発しているのだ。

 筆者が活動する首都圏青年ユニオンにも、「申請書の記載を事業主から拒否された」「事業主が休業と認めてくれない」などの相談が相次いだ。企業が協力しない問題を受け、10月30日に厚労省は以下のような基準を示し、休業支援金・給付金の活用を促している。

(1)労働条件通知書に「週○日勤務」などの具体的な勤務日の記載がある、申請対象月のシフト表が出ているといった場合であって、事業主に大して、その内容に誤りがないことが確認できるケース

(2)休業開始月前の給与明細等により、6ヶ月以上の間、原則として月4日以上の勤務がある事実が確認可能で、かつ、事業主に大して、新型コロナウイルス感染症の影響がなければ申請対象月において同様の勤務を続けさせていた意向が確認できるケース(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響以外に休業に至った事情がある場合はこの限りではない)

 企業が申請に協力してくれない場合でも、こうしたケースに当てはまれば、休業支援金・給付金を活用できるのだ。

◆学生アルバイトの休業支援金申請事例

 ここで、筆者が活動する飲食店ユニオン(首都圏青年ユニオン飲食業分会)が相談を受け、申請に協力した事例を3つ紹介したい。

 Aさんは学生アルバイトとして、ステーキ屋さんでホールスタッフとして働いていた。週2日〜3日のシフトで勤務し、月収は約6万円ほど。そんな中、2020年4月に緊急事態宣言を受け、「当面の間、店舗を休業する。状況が戻り次第、連絡する」と店長から休業の指示をされた。

 しかし、1ヶ月近くが経過し、店舗が再開しても、店長からの連絡はなく、状況確認の連絡を入れると「シフトは足りている」と言われてしまった。Aさんは納得がいかず、休業補償と復職を求めたが、会社からは拒否された。

 その後、飲食店ユニオンに相談し、会社に交渉を申し入れたところ、4月から10月までの期間、休業支援金・給付金を利用し、休業補償を行うことで合意した。その結果、約40万円の休業補償を得ることができた。

◆休業支援金を使った雇用継続の事例

 Bさんはデパートに入るレストランで正社員として勤務していた。コロナの影響により売り上げが激減し、6月末に突如店舗が閉鎖することとなり、当該店舗で働く全従業員が解雇となってしまった。しかし、解雇の回避努力も見られず、解雇の法的要件を満たしていなかったため、Bさんは飲食店ユニオンに相談し、解雇撤回を求めて会社と交渉をした。

 その結果、解雇は撤回され、雇用が継続されることとなり、当面の間、休業支援金・給付金で休業補償を行うことで合意した。12月末までの期間について、約120万円の休業補償を得られることとなった。

◆希望する従業員全員に休業支援金を活用

 デパートなどで洋食レストランなどを展開する会社でアルバイトとして週5日、ほぼフルタイムで働いていたCさんは、2020年4月の緊急事態宣言以降、シフトに入れなくなってしまった。店舗自体が休業していた最初の1ヶ月は会社から休業手当の支払いがあったが、店舗再開してもシフトに入れてもらえることはなかった。

 そのため、休業支援金申請の協力を求めたが、会社は「店舗は再開しているが、シフトを組んでいないため、休業には当たらない」として、協力を拒否。Cさんは、飲食店ユニオンに加入し、交渉で粘り強く会社を説得したところ、時間はかかったものの最終的には会社からの協力を得ることができるようになった。また、当該企業は態度を一変させ、Cさんにとどまらず、申請を求める従業員全員に対して休業支援金・給付金の申請協力をするようになった。

◆休業支援金・給付金が活用されていない実態

 休業支援金・給付金は国から労働者に直接、休業補償がされる制度だが、先述したように企業の協力拒否などから、その活用が進んでいない。休業支援金・給付金の予算5442億円のうち、わずか10.3パーセントしか使われていないのが実態だ。企業の協力拒否の背景には、制度への誤解や無理解があるように思われる。多くの企業は、休業指示を認めることで、労働基準法26条の休業手当の支払い義務を認めることになり、労働基準法違反に問われてしまうと恐れているのではないかと考えられる。しかし、厚労省は休業支援金・給付金への協力は、休業手当支払い義務の判断には影響しないとしており、全くの誤解である。

 また、対象企業が中小企業だけであり、大企業が対象になっていないのも問題だ。そのため大企業では休業補償が全くされないという事態が多発しており、ユニオンにも大企業で働く労働者からの相談が後を絶たない。国は大企業も対象とするよう早急に対応するべきだろう。

◆飲食業の皆さん、休業支援金は使わなきゃ損

 1月8日からの緊急事態宣言では、特に飲食業界への自粛要請が強調されており、飲食企業への経済的打撃が懸念されている。そして、そのしわ寄せが立場の弱い非正規労働者などにいくことは必至だ。飲食業の事業主の皆さんは、ぜひ、休業支援金・給付金制度を積極的に活用してほしい。

 また、飲食業界で働く労働者の皆さんには、休業補償がないと言われたとしても諦めないでほしい。休業支援金・給付金の活用を試みてほしい。そのためには、労働組合(ユニオン)や支援団体にまずは相談し、それらの団体を活用することをおすすめする。制度を効果的に使える方法を教えてくれるだろう。休業支援金は使わないと損だ。

<文/原田仁希>

【原田仁希】

1989年生まれ。3.11以降、反原発運動への参加をきっかけに社会運動を始める。現在は、個人加盟型の労働組合「首都圏青年ユニオン」の委員長として活動している。主に、若者や非正規労働者の労働問題に取り組む。

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