個人プレーや部下に投げっぱなしのダメ上司。優れたリーダーに不可欠な3つの要素とは

個人プレーや部下に投げっぱなしのダメ上司。優れたリーダーに不可欠な3つの要素とは

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 筆者はさまざまな企業の役員、管理職の方々とリーダーシップ実践スキルを向上させる演習プログラムを実施している。この演習プログラムでは、理屈や理論の解説を行わず、自撮りロープレを含む演習と問答を繰り返し、動作と話法の瞬発力を高める。職位が上がれば上がるほど、限られた時間で発揮した言動の積み重ねが、組織の命運を左右することになりかねないからだ。

◆スキルレベルは数値化できる

 さて、プログラムでは演習シートに記入いただきながら、演習を行う。演習シートの記入内容によって、スキルレベルを数値化できるからだ。こうして、演習を始めた当初と終了時点でスキルレベルがどう変化したかを捉えると、成長性を数値化できる。

 また、一部の人が発言できる機会に発言したかどうかで能動性が、全員が実施すべきことを何番目に実施したかで迅速性が数値化できる。

 さらに、トレーナーのガイドどおりに演習シートに記入しているかどうかで正確性が、演習主旨を理解した記載になっているかどうかで理解力が数値化できる。発言の順番の計画と実際とのギャップの大小で、計画実行力も数値化できる。

 能力領域の発揮レベルは、「やる気があるように見える」「いつも積極的なように感じる」というように、とかく印象論で語られやすい。

 しかし、印象論で語っているうちは、見た人によって異なるという前提をぬぐえない。一定時間といえども発揮された事実を数値化して、客観視して捉えることに意味があるのだ。

◆優れたリーダーを構成する3つの要素

 数値化して捉えると、その人のリーダーシップスタイルが見えてくる。能動性・迅速性は高いが、正確性・理解力が低いリーダーもいれば、その逆の人もいる。正確性・理解力は高いが実行力が低い人もいれば、その逆の人もいる。

 長所をさらに伸ばすか、短所を克服するかは、本人が着手しやすい順にフォーカスすることがお勧めだ。フォーカスしたい領域をほかならぬ本人が見極めて、さらに能力を高める取り組みをしていくことが、スキル向上の早道だ。

 20年来演習を繰り返し、こうした演習成果や数値測定結果を算出し、フィードバックをするなかで、持続的成長を遂げるリーダーのモデルを私なりに描くようになった。そのモデルとは、とりわけ次の3つの要素を備えたリーダーだ。

 1・成長性が高い

 職位の高低、経験の有無によらず、成長性の数値が高く出ている。反復演習の都度、修正力を発揮している。

 2・能動性、迅速性が比較的高い

 パフォーマンスを上げている人ほど能動性・迅速性が高めだ。瞬時に行動発揮できる瞬発力が高いと言える。

 3・能力発揮レベルのバランスが取れている

 

 スキルレベル、成長性、能動性、迅速性、正確性、理解力、実行力、7つの能力領域の発揮状態において高低のバラツキが少ない。

◆的確な「人任せ」がリーダーシップのカギに

 優れたリーダーは能動性・迅速性が比較的高めに出る傾向にあるので、自ら能動的・迅速に行動する場面ではそうするが、時と場合によってほかの人に任せたり、慎重に対処していると言える。

 リーダーのなかには、なんでも自分でやってしまわなければ気が済まない人もいる。自分の考えたとおりに、寸分たがわず、部下にやらせたいという人だ。一方、何でも部下任せというリーダーもいる。

 優れたリーダーはそのいずれにも陥らずに、自らアクションすべきことは能動性・迅速性を発揮して実施し、的確に見極めたうえで部下に任せもする。方針をそのとおり実施させたい、させなければならないときには、トップダウンのマネジメントを繰り出し、部下に検討させてやりたいようにやらせる場合には、ある程度の許容範囲のなかでボトムアップの巻き込み型のリーダーシップを発揮する。

 このようなリーダーが、ある程度大きな組織を担うことができ、持続的成長を遂げている。リーダーシップを発揮できる優れたリーダーになれるかどうかは、ひとつひとつのタスクをほかの人に任せることができるかどうか、許容範囲をある程度広く持てるかどうかにかかっているように思えてならない。

◆優先順位をつけて「待つ」タイミングを見極める

 質問:できる仕事は自分でやってしまったほうが効率よいのではないか

 ほかの人に仕事を依頼するといっても、ほかのメンバーや部下がやるよりは自分がやったほうが早い仕事もあります。上司にはそもそも仕事を依頼しづらいです。ですから、できるだけ自分がやってしまったほうがよいのではないでしょうか?

 回答:ほかの人のアクションが終わってから実施したほうがよい業務がある

 実は、ほかの人のアクションが終わってから、その結果をふまえて自分が実施し始めたほうがよい業務がたくさんあります。また、コミュニケーションがとれていないために、お互い知らぬうちに同様の仕事をやっていたということも、よくあるものです。

 ほかの人に依頼するということを意識して、業務の優先順位をつけるということは、ほかの人のアクションを待って行う業務を見極めたり、ほかの人との業務遂行の重複を避けたりするという観点からも重要なのです。

 「チームワークを大事にしましょう」「ほかのメンバーと協力し合って仕事をしましょう」ということがよく言われます。行動を分解していくと、チームワークを大事にして仕事を進められるかどうかは、ほかの人のアクションをふまえて自分がアクションするタイミングを見極められるか、業務遂行の重複を回避できているかというコアなアクションができているかどうかにかかっていることがわかります。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第223回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)

モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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