麻生大臣の「現金給付するつもりはない」発言に絶望したあなたへ……事業者や個人のための給付金・補助金

麻生大臣の「現金給付するつもりはない」発言に絶望したあなたへ……事業者や個人のための給付金・補助金

追加給付を否定した麻生太郎副総理兼財務相

◆コロナ禍で苦しんでいる事業者や個人が活用できる給付金・補助金

 緊急事態宣言の発令で、コロナ禍の経済の落ち込みに拍車がかかっている。そうした中、政府や自治体もさまざまな支援策を行っているがPR不足は否めず、マスコミも十分に報じているとは言い難い。

「国民に再度の現金給付をしてほしい」との声も高まっていたが、1月19日に麻生太郎大臣が閣議後の会見で追加10万給付を「するつもりはない」と発言し、ネットを中心に批判の声があがっている。

 そこで、困窮している人々や事業者が利用できる給付金や補助金をまとめてみた。

 まずは2月まで受付〆切延長が決まった、個人100万円・法人200万円まで支給される「持続化給付金」と「家賃支援給付金」。開業届を出していないフリーランスや、過去確定申告をしたことがないという人も遡って確定申告をすることで支給対象となるので、今まで申請していなかった人も窓口に問い合わせてほしい。

【家賃支援給付金】

 2月15日まで。事業所の家賃費用を6.6割×6か月支給する。

 

【持続化給付金】

 2月15日まで。個人100万円・法人200万円を支給する。もともとは1月15日までの制度だったため、申請が遅れた理由を1月31日までに事務局にメールすることが必要だ。

◆最大9か月分の家賃を自治体が支払ってくれる制度も

 また、収入が減って住居を失いそうな場合には、以下の制度を活用すれば最大9か月分の家賃を自治体から直接家主に支払ってもらうことが可能だ。

【住居確保給付金】

 原則3か月、最大9か月、家賃相当額を自治体から家主に支給する。申し込み・問い合わせは、全国にある自立相談支援機関へ。

 緊急事態宣言地域の拡大に伴って、保育園の自主登園自粛などを呼びかける地域が増えてきている。だが、テレワークと子育てとの両立は多くの家庭にとって悩みの種だ。子供を通わせている小学校・保育園などが臨時休校・休園となった場合に、休業してしまうのも一つの方法だ。休校・休園の日数分の収入を補償する制度がある。

【子育て休業支援】

 2021年1月1日から同年3月31日までの休暇取得分については、2021年6月30日まで申請できる。昨年度のコロナ第一波時の分を遡って申請することも可能で、2020年2月27日から2020年3月31日までの間に取得した休暇についても支援が可能。また、2020年4月1日以降に取得した休暇については、1日あたりの上限額を8330円から1万5000円に引き上げている。詳しくは厚生労働省のサイトで確認してほしい。

◆最大80万円まで無担保無利息、一般向け融資も

 一般世帯向けの無利子無担保融資制度で、一世帯20万円を融資できる制度「緊急小口資金」もある。世帯ごとの申請になるので、別居しているがまだ世帯分離していない、育てた子供が巣立ったがまだ世帯分離していないという場合は、世帯分離をすれば両者がそれぞれ借りることが可能。印鑑と直近の住民票、通帳を持っていけば、その場で申請できる(地域によって必要書類が違うので、お近くの社会福祉協議会、また厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策休業支援金・給付金コールセンターに問い合わせください)。

 もし、緊急小口資金の20万円で生活状況が改善しなければ、その1か月後から借りれる「総合支援基金」を利用する方法もある。無担保・無利子で20万円×3か月の融資を受けられる。

 さらに、雇用を守る取り組みとして、最大100%の休業中の賃金が保証される「緊急雇用助成金」もある。新たに、雇用保険に未加入のパート・アルバイトも申請できる制度「緊急雇用安定助成金」制度も始まっている。「緊急雇用助成金」や「緊急雇用安定助成金」は事業者が労働者に支払った休業手当相当額(上限1日あたり1万5000円)の100%を国が助成する制度だ。

 本来、休業手当は労働基準法に定められていて、支払わなければならないもの。しかし、コロナ禍の中で支払いが難しい事業者も多い。その場合でも利用できるのが「休業支援金」だ。休業前賃金の8割(日額上限1万1000円)を休業実績に応じて支給する。「休業支援金」は雇用者側だけではなく、労働者が自分で申請することも可能だ。その場合、休業額相当金は労働者の口座に直接国から支払われる。今まで対象外だと諦めていた人も対象となる可能性がある。締め切りは2021年2月28日まで延長された。

 また、本当に困窮したら生活保護制度を活用しよう。マスコミ等のネガティブキャンペーンもあり、利用しづらいイメージもあるだろうが、セーフティーネットを利用するのは憲法25条(生存権)で保障された国民の権利だ。変な遠慮して命を落とすのではなく、ぜひ生活保護の申請も選択肢に入れてほしい。反貧困系の支援団体などとともに申請すると窓口で断られにくいケースが多いので、まずはこうした団体に相談してみると良いだろう。

 家庭内暴力に苦しんでいる人々も、一人で悩まず内閣府男女共同参画局の「DV相談ナビ」などに連絡しよう。

◆採択率9割以上! 3年間利息なしで最大8000万円、元金据え置き5年の融資も

 個人事業主や事業者も申請可能な、企業向けの保証人なし無利子・無担保貸し付け「日本政策金融公庫および沖縄公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付」という制度もある。一社につき最大8000万円(個人事業主は6000万円)まで融資が可能。

 いったん利息分を日本政策金融公庫に支払ったのち、中小企業基盤整備機構に申請をすることで、融資を受けてから3年間支払った利息分の費用が事業者口座に振り込まれるため、実際には“3年間実質無利子”で融資を受けることができる。

 元金据え置きは最長で5年。コロナが落ち着くまでの間をしのぐことが可能だ。すでに81万5686社が申請し、そのうち73万7260社が事業資金として融資を受けている。その総額は12.7兆円。近くの金融公庫支店へ郵送で申し込みが可能だ。申し込み後、対面審査ののちに融資となり、融資まで平均で1か月かかる。

◆まだ間に合う! 現在申請できる事業者向けの補助金

 現在申請できる事業者向けの補助金には、最大50万円の事業資金が支給される「持続化補助金」(2月5日締め切り)がある。前回の同補助金は1万9154件の応募のうち1万2478件が採択されていて、6割以上の採択率。昨年5月までさかのぼって、事業者のマスク購入なども対象となる。

 2021年2月19日の締め切りで、100万〜1000万円の事業支援が受けられる「ものづくり補助金」という制度もある。小規模事業者や創業5年以内の事業者は補助金の対象として優先され、審査上の加点となる。

 持続化補助金やものづくり補助金を申請するには、オンラインの事業者登録「GビズIDプライム」が必要となる。GビズIDプライム申請には郵送で2週間近くかかるために、早目の登録がお勧めだ。

 また、新型コロナにより昨年2/1〜2021年1月31日までに予定していた公演を延期・中?し、キャンセルした公演の関係配信映像を海外にむけて製作する費用の2分の1が総額5000万円が補助される「コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金」(J-LODlive)もある。第三波の緊急事態宣言によって中止になった公演については、補助率100%・1法人あたり上限2500万円まで、キャンセルに伴う費用や関連映像制作費用がすべて補填される。

 他にも、新生活様式に合わせてビジネスモデルの転換を行う事業者に対しての「事業再構築補助金」(最大1億円)があり、2月以降詳細が決定する。経済産業省のサイトで最新情報を確認しておきたい。

◆毎月10万円、年間120万円の追加現金給付が必要

 このように、政府や自治体は様々なニーズに合わせて支援策を行っていて、これらを申請してみる価値は大いにある。問題は、これらの補助金は申請の手続きが複雑で、審査には1か月〜数か月かかるということだ。緊急事態宣言で「不要不急の外出を避けて」と言われても、当面の生活や事業のために人々は働かざるを得ない。

 またさまざまな支援策があっても、支援の網から漏れてしまうケースはあるものだ。しかも「感染力が1.7倍」といわれる変異型新型コロナウイルスの市中感染が拡大している。イスラエルなどの海外の事例から見ても、接種後も感染するケースが相次いでいるなど、ワクチン万能とも言い難い。コロナ禍はさらに長引く可能性がある。

 仮にコロナ禍が収束に向かうとしても、リーマンショック以上の大打撃を被った日本経済が回復するまでには、非常に時間がかかることは確実だろう。その中で最もすばやく効果的にできる政策が、麻生大臣が「するつもりはない」と発言した「全国民への現金一律給付」なのだ。

「日本経済復活の会」会長で日本ベーシックインカム学会理事の小野盛司氏は「コロナ禍を乗り越えるためには、全国民対象の現金給付を繰り返す必要があります」と強調する。小野氏は井上智洋氏(駒澤大学経済学部准教授)とともに、一律現金給付の必要性を説いた著書『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』を1月21日に上梓している。

「とにかく消費が冷え込んでいます。それを解決するには、国民に継続して現金を給付するしかありません。国債を財源として毎月10万円・毎年120万円を給付しても、懸念されるインフレは起きません。継続給付されることがわかれば人々は安心して消費をすることができ、企業はサービスや商品を生産できます。現金給付をすれば失業率が下がり、GDPが上がるなど良い結果が起きることがシミュレーションの結果わかっています」(小野氏)

 

 すでに昨年行われた定額給付金で、全国民への口座が紐付けられている。政府の決定さえあれば迅速な給付が可能だ。かつてない危機だからこそ、政府はこれまでの常識にとらわれない思い切った支援策を行うべきだろう。

<文/志葉玲>

【志葉玲】

戦争と平和、環境、人権etcをテーマに活動するフリージャーナリスト。著書に『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、共著に『原発依存国家』(扶桑社)、 監修書に『自衛隊イラク日報』(柏書房)など。

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