全世界で反転上昇。データで明確な「日本の第三波収束失敗」と、迫る英国変異株による第四波の現実性

全世界で反転上昇。データで明確な「日本の第三波収束失敗」と、迫る英国変異株による第四波の現実性

日本のコロナ対策で不思議なのは、リモートワーク推奨などはあったが通勤電車などのラッシュ緩和には具体的な施策がほとんど講じられなかったこと。第四波で果たしてどうなってしまうのか。Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg via Getty Images

◆全世界で反転上昇が始まったCOVID-19パンデミック

 北半球での「秋の波」=COVID-19季節性パンデミックですが、感謝祭やクリスマス、年末年始によるによる顕著なSpikeと季節性のSurgeがたいへんに大きな合成波を形成し、北米と欧州で猛威を振るいました。本邦をふくむ東部アジア・大洋州は、謎々効果*によって守られていますが、本邦と韓国では秋の波が第三波季節性エピデミックとして東部アジア・大洋州では特異的に猛威を振るう形となりました。

〈*モンゴル、中国、ミャンマー以東の東部アジア、大洋州ではCOVID-19パンデミックによる被害が他の地域、特に米欧に比してきわめて小さい。筆者はこの事実に2020年2月末頃に気がつき、同3月には「謎々効果」(謎々ボーナスタイム)と名付けている。全く同じ効果を”Factor X”と呼称している人たちもいる。米欧メディアや研究機関が注目するものの、謎々効果の原因もそれがどのような現象であるかも不明であった。謎々効果の原因は依然不明だが、この領域では、感染率が当初米欧の1/1000程度に抑えられていたることが謎々効果として可視化されていることである。致命率(CFR)は謎々効果があっても米欧他と大きな差はない。CFRは、主として医療への負荷によって変動している。謎々効果は、アフリカ大陸でもほぼ全域で見られている〉

 韓国は、K防疫体制の強化により12月中旬には制圧の成果が出始め、1月下旬には3月中の収束が見えてきましたが、1月下旬の宗教団体による大規模Spikeの発生後、このSpikeそのものは制圧出来ましたが、季節性Surgeは完全に下げ止まり、二月下旬には反転上昇しています。韓国ではK防疫の緩和が焦眉の政治的課題ですが、既に二月中旬以降、高いベースラインから日毎新規感染者数が増加に転じており、K防疫の緩和は難しいと考えられます。

 本邦は、韓国と異なり無為無策であり、忘年会、クリスマスと年末年始の巨大なSpikeによって12月末から1月上旬にかけてたいへんに危険な状態に陥りましたが、菅内閣による1/8の緊急事態宣言(菅緊急事態宣言)における外食産業の営業制限(外食時短)が劇的な効果をあげ、巨大Spikeこそ政府施策とは無関係に自然終息しましたが、季節性のSurgeは主として外食時短によって数週間から1カ月程度の早期収束へと向かいました。しかし、死者数の減少が大きく遅延し、医療への高い負荷がかかったままで2月中旬には日毎新規感染者数が下げ止まり、3月に入り僅かに反転上昇へ転じています。本邦においても菅緊急事態宣言の解除は焦眉の課題となっています。

 既に合衆国でも日毎新規感染者数の反転上昇が2月末には見られましたが、3月上旬では再度下げに転じるなどしています。しかしここにきて多数の共和党系州政府によるマスク着用義務の撤廃など規制緩和が拙速且つ急速に進んでおり、3月末からが憂慮されます。

 南米はこれから冬に向かうために元々季節性Surgeが始まるのですが、ブラジルのボルソナロ大統領による「コロナはたいしたことない」政策によってたいへんに危険な状態となっています。既にブラジルでは医療がウィルスに圧倒されており*、ブラジルの経済中心であるサン・パウロ州知事であるジョアン・ドリア氏は、「我々ブラジルは、二つのウイルスと闘っている。コロナ・ウィルスとボルソナロ・ウィルスだ。ワクチンを寄越せ。」"Brazil is fighting two viruses - the coronavirus and the Bolsonaro virus,"**とTV演説するなど、騒然とした状況にあります。南米は、これから冬を迎えるブラジルをエピセンターとして状態はよくありません。

〈*Brazil's hospitals reach breaking point as health minister blames new coronavirus variants 2021/03/01 CNN〉

〈**Brazil covid: 'We have to save lives before saving the economy' 2021/03/05 BBC

 南半球はこれから冬ですので、感染者数が増加して行くことはやむを得ないのですが、北半球の欧州やアジア、大洋州、北米で新規感染者数がBaselineとしては高い水準で下げ止まり、下げ渋りをみせたり、増加に転じることは、何か特異的な理由がない限り本来は起こりにくいことです。

◆脅威を増す英国変異株。ワクチンナショナリズムの兆しも

 この季節要因の挙動とは異なるパンデミック増進の原因は、昨年9月に英国で発見され、11月下旬から2月にかけてTV演説中のボリス・ジョンソン英首相が時々言葉を詰まらせるほどに英国をたいへんに苦しめた英国変異株(B.1.1.7)による非季節性パンデミックであると考えられており、各国は警戒を厳にしています。

 このB.1.1.7は、最初に発見された英国を中心として、欧州全域で猛威を振るっており、欧州では、多くの国が11月以降にソフト・ロックダウン*をしていたのにもかかわらず、ドイツを除く多くの国で11月下旬以降に大規模なエピデミックSurgeが発生しています。

〈*緩やかなロックダウンで、学校の運営継続など社会の機能をできるだけ維持するもので、先の秋以降、多くの国で導入された。英国のティア3ロックダウンが該当する。当初、SARS-CoV-2ウィルスの在来株には十分な効果を見せたが、B.1.1.7には、全く歯が立たなかった〉

 1月から2月にかけてようやく欧州でのエピデミックSurgeは収束に向かっていますが、現在イタリアでB.1.1.7によるエピデミックSurgeが始まっており、昨年のイタリアの悲劇を既に3倍上回る規模となり、さらに増進中です。またフランスもじわじわと感染者数が増加しつつあり、たいへんに厳しい状況です*。

〈*"COVID-19 Cases Remain Stubbornly High in France and Italy, Possibly Due to UK Variants" 2021/03/05 Pharma Technology Focus〉

 この様な中、欧州におけるワクチン・ナショナリズムは激化しており、イタリア政府は、国内製造の豪州向けアストラゼネカ製ワクチン25万回分の輸出を阻止しました*。

〈*Covid: Italy 'blocks' AstraZeneca vaccine shipment to Australia 2021/03/05 BBC、イタリア、国内製造ワクチンの輸出を阻止 EU初 2021/03/05 BBC〉

 この様な状況で、合衆国ワシントン州シアトルにあるIHME(保健指標評価研究所)は、合衆国西海岸時間の2021/03/06にCOVID-19パンデミックの評価と予測を更新しました。今回の更新では、月初めのためにいよいよ予測期間が7/1まで拡大され、3月と4月の予測もかなり精度が上がってきています*。今回からIHMEによる3/6更新の予測と評価を用いて第四波エピデミックについて日韓台を中心に論じて行きます〈*IHMEによるCOVID-19予測と評価は、毎週金曜日頃に更新であり、毎月はじめに予測期間が四ヶ月後の1日に拡大される。また通常は毎月はじめに評価と予測の見直しが大規模になされ、予測の下方修正が行われる傾向にある。筆者は、月初めのIHMEによる予測と評価の更新を重要視している〉

 但し、予測と評価の前に現状把握が必須ですので、日韓台についての定点観測を二度に分けて行い、その次にIHMEによる最新予測をご紹介します。

◆定点観測2021/03/08日本

 いつもの様に本邦と韓国、台湾、アジア全体を観察し、比較して行きます。

◆完全には食い止められなかった日本の第三波

 本邦では、季節性の第三波エピデミックSurgeが1月末には減衰しはじめ3月末までには収束する見込みでした。しかし日毎新規感染者数は、二月中旬には下げ止まりはじめ、二月下旬から三月にかけて完全に下げ止まり、最近は反転増加の可能性が高いです。残念ながら現状では、昨年11/10時点の水準である8ppmでありBaselineとしては、5月の20倍、9月の2倍と高止まりしており、これは昨年6月時点の欧州でのBaselineに相当します。

 筆者は、日毎新規感染者数の一週間変化率と二週間変化率*を主用しています。本邦は、2月中旬から減少率が小さくなり始め、3/5以降、僅かに増加に転じています。二週間変化率からも2月中旬から減少率が小さくなっており、今後は長期にわたって増加傾向を維持する蓋然性が高いです。

 但し、現時点での増加率はまだ筆者が目安としている+20%未満ですので社会的行動制限の強化や、大量検査による感染者の把握と隔離を行えば短時間かつ低コストで制圧出来ます。

〈*当日の一週間移動平均と前週同日7日間移動平均の間の変化率および当日の二週間移動平均と二週間前同日14日間移動平均の間の変化率。+で増加、0で変化無し、―で減少を意味する。筆者は、基本的に二週間変化率から倍加時間または半減時間(半減期)を算出しており、一週間変化率から傾向を読み取っている〉

 日毎死亡者数と致命率(CFR)*をみますと本邦は、特異な挙動を示しています。まず、発症日から死亡日までの推定される死亡日数が、30日近くとなり、これは本来平均18日であることからたいへんに過大な数値となっています。次に、新規感染者数は、最大値の約1/6迄下がって日数が経過していますが、死亡者数は現時点で最大値の約1/2です。これは医療への負荷が高いままであることを意味しています。また死亡統計か、感染者数統計のどちらかに系統的なたいへんに大きな誤差ないし大きな欠陥がある可能性を強く示唆しています。

〈*CFRとは診断付きの死者数を診断付き感染者数で割ったものである。その為概ね10倍ほどの過大評価となる傾向があるが、実測値として一般的に使われている。これに対し真の死者数を真の感染者数で割ったものはIFRであるが、推定値となる〉

 結果として本邦は、1/18以降一貫してCFRが上昇し続け、既に韓国と合衆国を追い抜き、上回っています。

 本邦のCFRは、未だに中庸な値となっていますが今の時期に一貫してCFRが上昇し続ける国は公衆衛生と医療の状態が思わしくないアフリカ諸国とフィリピン以外あまり見かけられず、しかもその上昇の程度が本邦は目立って大きいという特徴を本邦はみせています*。

〈*COVID-19パンデミックにおいてもCFRは、パンデミック初期に高い値となり、その後は一貫して減少して行く。これは当初ウィルスの奇襲を受けるために医療が対応出来ずに多くの人が死んでしまうが、その後暫定的であっても標準療法が確立され、次いで薬餌療法の確立、ワクチンの開発が行われ、感染者数に対し死者数が急速に減少するためである。中国や豪州の様に当初大勢の人が死に、その後は感染者発生が良く抑制されている国では、見かけ上CFRが高止まりしている。これは感染者が発生しないために初期のCFRが高いままで固定されているためである〉

 本邦は、効果が衰えているとはいえ謎々効果によってCOVID-19パンデミックの威力こそは米欧の約1/10程度*ですが、死亡者数の下げ渋りとCFRの上昇は、医療への過負荷を示しており、更に統計の大きな歪みを示す死者数の異常な遅行もあってたいへんに憂慮されます。

〈*約10ヶ月前は、約1/200であった〉

◆英国変異株が主力になっている可能性

 こういった中で本邦は、実測で英国変異株(B.1.1.7)が既に主力株(ドミナント)になっている可能性が高いと考えられます*。感染性が在来株に比して70〜100%強力でありかつ死亡率が30%高いとされるB.1.1.7**が現状でドミナントになると、医療への圧力は4月から5月にかけて限界を超えてしまいます。

〈*コロナ変異株、神戸の感染者36人 割合は徐々に増加「気を緩めず感染対策を」2021/03/01神戸新聞〉

〈**感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第6報)2021/02/15国立感染症研究所〉

 日毎新規感染者数の反転増加は、非季節性第四波エピデミックSurgeの発生を示しており、ワクチン接種が全世界でもとくに遅れている本邦では、ワクチン政策の失敗によってワクチン接種は、第四波に間に合わない事が確実であり且つ非薬理的手法についても国策により過去14ヶ月極めて消極的であり失敗し続けてきたという最悪の状況にあることを意味しています。

 本邦では、12/29に急減したモビリティ(移動傾向)が、2月に入り漸増し、3月にはとうとう昨年12月前半の水準に戻りました。但し、移動傾向の増加よりは、屋内営業レストランの方が新規感染者数への寄与が遙かに大きいです。故に、外食時短の緩和、撤廃は慎重を期すべきです。

 またB.1.1.7が既にドミナントとなっており、この英国変異株は、感染力が在来株に比して170%〜200%と大幅に強くなっており且つ在来株と異なり子供にとくに感染しやすいという特徴を持ちますので、現状での社会的行動制限の効果は、今後大きく減じるものと考えられます。このことは、英国における11月のティア3ロックダウンが11月中旬に突然破綻し制御不能となったことが如実に示しています。

◆無責任な自称「専門家」たちの犠牲

 本邦は、検査はしない、医療は制限する、ワクチンは導入失敗、接種体制も極めて貧弱、そもそも全てについて透明性が殆ど無く、専門家を僭称してきた医師や医学研究者、看護師が1年間ウソをつき続け、全国の対エピデミック行政に干渉・妨害し市民に膨大な犠牲者を出した挙げ句、ワクチン接種開始とほぼ同時に集団で「私は専門家では無い」「私は博士でも無い」「私は野良医者だ」と豹変し逃亡を図るなど極めて不自然且つ無責任な行動をしています。

 謎々効果が無ければ、国が滅んでいても不思議でないくらい惨憺たる本邦の実力の無さと現状ですが、次回は、韓国と台湾の現状をご紹介し、次々回からIHMEによる7月1日までの予測とこれまでの評価を執筆時点での最新情報で詳細にご紹介します。

 IHMEは、長年本邦の政府、地方行政府からの受託研究が多く、本邦を知り尽くしていると考えて良いです。そのIHMEが現状から本邦と韓国、台湾、世界各国をどう評価し、予測しているかは第四波エピデミックを前に知っておくべきことでしょう。

 最後に、IHMEによる本邦における真の感染者数の推定を示して今回は締めくくります。本邦は、謎々効果のおかげで規模こそ大きく異なりますが、昨年11月末の英国と同様の傾向にあると考える必要があります。

◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ41:第四波エピデミック(2)

<文/牧田寛>

【牧田寛】

Twitter ID:@BB45_Colorado

まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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