空前の金融バブル到来で激増!投資詐欺・炎上騒動の裏側に肉薄

空前の金融バブル到来で激増!投資詐欺・炎上騒動の裏側に肉薄

やまさんがSNSにアップした愛車

 株、ビットコインが高止まりするなか、詐欺的手口でお金を巻き上げられるトラブルが増えている。いかにして大金を失ったのか? 当事者たちの声をもとに、その裏側を探った。

◆資産100億超の元GSを騙って数十億円を集金!?

 今や日経平均3万円時代。にわかに投資ブームが熱を帯びているが、その裏でキナ臭いトラブルが相次いでいることをご存じだろうか?

「昨年、月利10%で3000万円貸したのですが、その後、返済がストップ。催促しても電話に出ないし、直接回収は絶望的かと思ったら、今年2月末に別の人に無心していたことがSNSで発覚して唖然としました」

 こう話すのは会社経営者のB氏。3000万円もの大金を貸した相手は、SNS上で「やまさん」と名乗る著名なトレーダーだった。高級時計や高級車のコレクターとしても知られる人物だ。

「1本1000万円以上する時計を担保として押さえてあるので、最悪、担保を売りさばけば大損はしない。ただ、私の知り合いもかなりの金額をやまさんに貸していて返済が滞っているうえに、担保割れしている。おそらく数十億円単位の貸付金が焦げ付いていると想像しています」(B氏)

◆元本すら返ってこないと泣いている被害者も……

 実際、やまさんは多くの人に粉をかけていた。同じく会社経営者のA氏が話す。

「時計談議で意気投合し、親しく付き合うようになった’19年から何度か『お金を貸してほしい』と頼まれました。金額は毎回、数億円。『海外口座には数十億円の資金があるが、送金に時間がかかるので、オークションで落札した代金を貸してほしい』など理由はさまざま。高級時計や高級車好きのネットワークを通じて、お金を引っ張る相手を探していたようです」

 個人投資家のT氏のもとにも、アンティークコインの落札代名目で借金の申し込みがあったという。

「『知人に10億円貸してるから手元に資金がない。5億円だけ貸してくれ』と。私は断りましたが、元本保証、月利10%以上で資産運用を代行すると口説かれて億単位のお金を預け、元本も返ってこないと泣いている被害者もいます」

◆金銭消費賃借契約書で資産を預かり運用代行

 なぜ、やまさんなる人物は、大金を借り入れることができたのか。そこには特異な自己プロデュース力があった。ゴールドマン・サックス(GS)出身の凄腕トレーダーを自称し、資産が100億円を超えることをにおわせていた。

 真実味を持たせるかのように、ツイッターのアイコンには9000万円以上するパテックフィリップのグランド・コンプリケーション・ミニット・リピーターを使用。中古でも4000万円以上するフェラーリ812スーパーファストなど、超高級車を複数保有することもたびたびアピール。SNS上では勝ち組として知られていたのだ。

「話すと、時計やクルマに関する豊富な知識で相手を飽きさせない。実際に身に着けている時計を見せてもらいましたが当然、本物。オーデマピゲなどの正規販売店で購入していたので鑑定書も所持していた」(A氏)

 だが、メッキは昨年6月に?がれた。SNS上で前職を問われたやまさんが「GSはシンガポールです! ヘッジ込みで1万6000本アウトラインでやってました!」とツイートしたところ、元外資系証券マンたちが嘘を見破った。かつてGSでトレーダーとして活躍した志摩力男氏が話す。

「GSシンガポールにプロップデスク(自己勘定取引を行う部署)はありません。1万6000本と言いますが、1本100万ドルなので総額1兆円以上。そんな大きなポジションを一人に任せるわけがない。ちなみに業界用語で、ヘッジをせずにポジションを持つことをアウトライトと言います。アウトラインなんて使いません」

◆SNSを通じてお金を巻き上げられる例はほかにも

 こうして炎上騒ぎを起こしたやまさんは雲隠れ。だが、水面下で資産家へのお金の無心を続けていたことが2月に発覚したのだ。

「しつこく催促すると少額だけ返済するようなので、詐欺要件を満たしにくい。金融商品取引法の縛りをくぐり抜けるためか、資産運用代行目的でお金を預かるときも金銭消費賃借契約書しか交わさないようです。法的責任を問おうと動いている方もいますが、今のところ進展は見られない」(T氏)

 GSで1兆円以上のポジションを任されていたという資産100億円超えのスゴ腕トレーダーの真相はいかに? 週刊SPA!はやまさんの携帯電話を鳴らし、メールでも質問を投げたが、3月10日時点で返答はなかった。

 実は同様にSNSを通じてお金を巻き上げられる事件が、近年多発している。

「出会い系アプリで知り合った台湾人女性が積極的で、会ってもいないのに私もその気になってしまいました。一緒に将来に備えてお金を稼ごうという話になって、彼女の勧めで海外取引所にアカウントを開設。そこに日本の取引所で買ったビットコインを送って、彼女の指示に沿って運用していたら、最終的に海外取引所にアクセスできなくなって、彼女も音信不通に。300万円以上、だまし取られました」(30代・男性)

 2月半ばには国民生活センターが、出会い系サイトを通じた詐欺被害の相談が1年で8倍に増加したと発表している。足がつきにくい仮想通貨を利用してカネを巻き上げる詐欺が急増しているのだ。その多くで台湾や韓国などの外国人女性を自称する加害者が登場するが、「実際に詐欺の絵を描いているのは日本人と見て間違いない」(情報商材関係者)という。海外発の仮想通貨詐欺となれば、日本の警察では追いきれないためだ。SNS上には詐欺師たちが跋扈していることを忘れてはならない。

◆元大阪・区長が関与するプロジェクトが炎上?

「1月に突然、報酬体系を変えると発信して猛反発を呼んだんです」

 こう話すのは’13年から仮想通貨に投資してきたベテラン投資家のI氏。猛反発を呼んだのは「EVISU」なるビットコインのマイニング案件だとか。

「月利8%を謳って、昨年ローンチしたプロジェクトです。電気代の高い日本でのマイニングは、常識的に考えると採算が合わないはずですが、マシンを独自に改造することで採掘効率を高めたと宣伝していました。怪しいなと思いつつ、試しに7000ドルだけ投資したら、実際にドル換算で毎月8%程度に相当するビットコインがもらえて、ビットコインの値上がり利益も出た。

 それで知り合いにも声をかけたんです。MLM(ネットワークビジネス)の仕組みで人を紹介するほどランクが上がって報酬が増えたので。ところが、1月になって急に『毎月、継続的に新規の投資家を紹介しないとランクを落とす』と言い出した。新規のお金を入れ続けないとプロジェクトが回らない自転車操業に陥っているのではないか?と噂されています」

 このEVISUプロジェクトを主導してきたのは大阪では名の知れた人物。橋下徹市長時代に実施した公募区長制度で、天王寺区長を務めた経歴を持つ水谷翔太氏だ。実は、水谷氏が関与するもう1つのプロジェクトが炎上中だという。’17年にICO(トークン発行による資金調達)で220億円も集めたファイルコインという仮想通貨をマイニングする「E−FILE」というプロジェクトだ。

「中国企業の技術を活用したマイニングで、水谷氏が経営するフィルコマンドという会社は、その中国企業の提携先として日本でのサポートなどを担当。そのプロジェクトの募集に際して提示していた『想定パターン別の利益シミュレーション例』によると、最高のパターンで『1か月で元金30万円に対して500万円強の利益が出てしまう』と謳っていました。予想の平均値でも『1か月で元本の85%を回収できる』と。ところが、実際には1か月のリターンが1%にも満たなかった……」

◆水谷氏を直撃!

 なぜ、利回りの85分の1未満に激減したのか? 水谷氏が話す。

「E−FILEのローンチに当たって、セミナーで何度も私がその魅力を説明させてもらったのは事実ですが、当社はプロジェクトの提携先の1つにすぎず、運営企業は別。ただ、その運営企業が顧客対応を十分にできていないことは把握しています。現在、マイニング効率の向上ととともに、運営会社への派遣を通じて顧客対応力を向上させることを検討しています」

 EVISUに関しても、「運営やセールスには携わっていない」と話す水谷氏。実際、EVISUの運営元はマイニングとは縁もゆかりもなさそうなベトナムの不動産企業なのだ。著名人を広告塔に使った投資案件は注意が必要だ。

<取材・文/高城 泰(ミドルマン) 池垣 完>

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