王室での処遇を”暴露”したメーガン妃の表情から、専門家が読み取ったものとは

王室での処遇を”暴露”したメーガン妃の表情から、専門家が読み取ったものとは

(Photo by Harpo Productions/Joe Pugliese via Getty Images)

 こんにちは。微表情研究家の清水建二です。

 本日は、3月7日にアメリカのCBSで放送された”メーガンとヘンリーとオプラ[Oprah with Meghan and Harry: A Primetime Special].”におけるメーガン妃の心理を推測したいと思います。

◆王室での苦悩を赤裸々に暴露したインタビュー

 番組では86分間にわたるインタビューが放映され、メーガン妃及びヘンリー王子の口から、王室での困難な生活、メーガン妃とキャサリン妃の確執、王室への不信、息子アーチーに対する人種差別問題、メーガン妃の抱えていたメンタルヘルス問題、王室離脱の理由、エリザベス女王やチャールズ皇太子やウィリアム王子との関係について語られました。

 とりわけメーガン妃の抱えていたメンタルヘルス問題と息子アーチーに対する人種差別問題は、放送を観た多くの人々の中で物議を醸し出し、英国王室も「指摘された様々な問題、特に人種に関するものは、懸念される。記憶は人によって異なるかもしれないが、指摘はいずれも深刻に受け止め、家族が内々に対応する。ハリー、メーガン、アーチーはいつまでも、大いに愛される家族の一員だ」とコメントしています。

 この二つの問題について、表情・言語分析の知見を用い、インタビューの情報のみから推測できることを書きたいと思います。

 結論から言うと、メーガン妃の抱えていたメンタルヘルス問題は事実の可能性が高く、息子アーチーに対する人種差別問題は事実と考える前に精査が必要、と私は考えます。

◆精神的に追い詰められていたメーガン妃

 最初に、メーガン妃の抱えていたメンタルヘルス問題について考えます。インタビューの37分後以降の場面です(編集部注:なお、筆者が参照した動画は日本の通常回線から視聴不可能であるため、タイムコードは省略致します)。

 メディアの様々なバッシングなどに苦しんでいたメーガン妃は、ヘンリー王子に自分の苦悩を訴えることを恥じていたものの、告白しなければ自ら命を絶っていたかも知れないと告白します。このとき、眉の内側だけが引き上げられる悲しみの表情が観られます。

 また、「生きていたくないという考えはとても明確で怖かった」と語りながら、眉が引き上げられると同時に眉間に力が入る恐怖表情を生じさせています。

 この悲しみと恐怖表情は、意図的につくることが難しい表情筋であることが知られ、メンタルヘルスの話題を語っているメーガン妃の表情に多々、浮かんでいるのが確認できます。苦悩の言葉と表情とが一致しており、精神的に苦しめられていた様子が伺えます。

 さらに、王室がサポートをしてくれなかったため、前の職場の組合に助けを求めたところ、「あなたの置かれている状況に同情するけど、職員ではない人には何も出来ない」と返答を受けたと語ります。そして、会話の再現が観られます。会話の再現は、真実の体験者に起こる傾向にあることが知られています。

 以上の非言語・言語反応より、ウソのサインは確認できず、メーガン妃の抱えていたメンタルヘルスの問題は事実であった可能性が高いと考えます。

◆人種差別の話では、違った表情を見せる

 次に、息子アーチーに対する人種差別問題について考えます。インタビューの32分前後で一度取り上げられ、1時間15分前後にもう一度触れられます。

 息子アーチ―の妊娠中に「アーチ―には警護が与えられない、称号も与えられない」と王室から伝えられたことを明かし、その後、少し間を置き、アーチ―の肌の色がどのくらい黒いかということを懸念する会話があった、と語ります。

 アーチ―の肌の色について語るとき、眉が引き上げられます。これは強調を意味する会話のシグナルです。この問題を意識的に強調して伝えようとしている様子が伺えます。

 「誰がそんなことを言ったのか」という司会のオプラ氏の質問に、メーガン妃は無言のまま眉間にしわを寄せ、口角を軽く引き上げ、オプラ氏を見つめます。感情のコントロール及び認知的負担が生じていると推測されます。

 「何?そんな会話があったの?」とオプラ氏は、驚きと嫌悪、動揺が混合した表情で反応し、同じ質問をもう一度投げかけます。しかし、メーガン妃は名前を明言することを避けます。

 先のメンタルヘルスの問題を語っているときのメーガン妃の表情・言動と比べると、息子アーチ―の人種問題について感情がそこまで大きく動いていないように見えます。

 自身の関心事が大きければ大きいほど、感情は大きく動き、その表れとして表情も豊かに動きます。しかし、そういった様子はあまり観られません。また、会話の再現もなされていません。

 オプラ氏はこの問題に関する質問をヘンリー王子にも問います。オプラ氏の質問にヘンリー王子は、うつむきながら軽く口角を引き上げ、羞恥の表情を見せ、引き続き、左側の口角を引き上げる罪悪感の表情を見せます。そして、答えたくないと発言します。

◆メーガン妃の告白をウソと断定するのは早計

 メーガン妃とヘンリー王子の話は事実でしょうか。

 それとも、人種問題を、例えば、人々の同情や共感を得るために、でっちあげているだけなのでしょうか。ただ、ウソと判断するのは早計です。このインタビュー情報のみから真偽は判断できません。色々な可能性を想像することが出来ます。

 例えば、人種差別の雰囲気を感じていた、人種差別的なうわさを耳にした、直接ではなく人づてに人種差別発言を聞いた、王室にいる人種差別者の名前を出すと攻撃が個人的になりすぎてしまう、といったことかも知れません。

 いずれにせよ、人種差別の問題については具体的に語られていないため、現時点では想像やうわさが一人歩きし、誤解が誤解を生むかも知れません。

 英国王室が「記憶は人によって異なるかもしれないが」と認識違いの可能性を考慮しているように、調査がなされ、人種差別発言が明確になされていたのか、そうであるならば、どの程度の差別が誰によって引き起こされたのか明確にされる必要があります。

 伝統と格式を重んじる英国王室が人種問題についてどのような見解を抱いているのか、どのような方向を示すのか、この問題の行方をしばらく追いたいと思います。

<文/清水建二>

<参考web>

Oprah With Meghan And Harry: A CBS Primetime Special(2021年3月10日現在。日本からはアクセス不可)

英王室、人種差別の非難「深刻に受け止める」 メガン妃の発言受け

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

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