今井絵理子氏「どんな時も笑顔でいこう」聴覚障がいを抱きしめ誓った覚悟

今井絵理子氏「どんな時も笑顔でいこう」聴覚障がいを抱きしめ誓った覚悟

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「どうして歌を歌っている私のもとに、神様は耳が聞こえない子供を授けたのだろうと思いました」

こう話すのはかつてSPEEDのメンバーとして活躍し、現在は参議院議員として活動する今井絵理子氏(38)。

そんな今井氏の一丁目一番地は「障害者政策」。それは今井氏が聴覚障がいのある我が子・礼夢くんを育ててきたからだ。今井氏は生後わずか3日目で、我が子の耳が聞こえないことを知った。

「突然、何の知識も何の情報もなく、障がいのある子どもを育てる母親になるわけなんです。障がいとはどういうことなのだろう、耳が聞こえない子どもにはどんな支援が必要なのだろう……。とにかく不安で、どうしたらいいのかまったくわかりませんでした。子どもに対しても、五体満足に産んであげられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいで、涙ってこんなに流れるものなんだというぐらい、涙が枯れ果てるまで泣き続けました」

だが今井氏は翌日、病室に差し込む朝の光を浴びながら、我が子を抱きしめ、こう誓ったという。

「『どんなときも笑顔でいこう』と誓いました。隣りにいる母親が、障がいを受け入れ、笑顔で育てなくちゃだめだろうと思ったんです。息子にとってはたったひとりのお母さんなのだから、しっかり前を向いていこうと。息子は耳が聞こえないぶん、目から入る視覚の情報がすべて。その中でお母さんがずっと泣いていたり、くよくよしていたら、自己肯定感が育たないと思ったんです。これからいろいろな壁があるかもしれないけど、ちゃんと乗り越えられるんだよ、という姿を、私が見せていかなくちゃと思いました」

目からの情報がすべてである息子の礼夢くんのため、礼夢くんが今井氏や友達と楽しく笑っている写真を並べた。四季を感じてもらうために、春は桜を見に行き、夏は沖縄の海へ、秋は栗拾い、冬は雪だるまを作った。息子の感性を豊かにすることとともに彼女が子育てでいちばんこだわってきたのは、息子の意思を尊重することだった。

「私自身、デビューの話をいただいて、12歳で沖縄の親元を離れて東京に出てきて、夢を叶えるために頑張ってきました。今だからわかるんですが、両親も心配で仕方なかったと思います。それでも最後は『あなたが決めたことだから』という言葉で送り出してもらったので、息子にもいろいろな選択肢を与えて、決めるのは自分だよ、と教えることを大切にしてきました。

例えば雨の日に履いていく靴について。私は汚れるし濡れるから長靴を履いてほしいんですが、息子はサンダルを履きたいと。そういうときは息子の意思を尊重して、サンダルを履かせて送り出します。すると、濡れて気持ち悪いとか寒いということに、自分で気がつくんですよね。そこで『そういえば、お母さんは長靴がいいと言ってたな』と思い出す。ここで親子の信頼関係も生まれるわけです。あくまで自分で決めさせることが大事。もちろん失敗もするだろうし、困ることもある、悔しい思いをすることもあると思います。でも、失敗を乗り越える強さは誰にでもあると思うんです。自分で気がついて、学びとして受け止められる人間に育ってほしいと思っています」

息子の礼夢くんは、今年17歳。中学卒業後、プロレスラーになるという夢を叶えるために、プロレス団体「ヒートアップ」の試験に合格。昨年12月、見事プロレスラーとしてリングに上った。

「息子がプロレスラーを目指すと言い出したときはさすがに驚きましたが、一つずつ問題をクリアしてく息子のひたむきな姿を見て、人間の可能性が無限大だということを、改めて教えてもらいました。私も息子が生後3日目で耳が聞こえないと知ったときはどうしていいかわかりませんでしたが、その事実をネガティブに思うのかポジティブに思うのかは、きっと自分の心次第。捉え方次第で、すべてが変わっていくのではないかと思います。そう思って、私は息子の子育てを楽しんできました。知らない世界を教えてくれた息子には感謝していますし、息子と私のこの先の人生を想像すると、ワクワクします」

11月10日に著書『動かなきゃ、何も始まらない』を刊行したばかりの今井氏。その中でも語っているように、コロナ禍で多くの不安や悩みを抱える子育て世代のお母さんたちに向けてこうエールを送る。

「私自身、母親やまわりの人、ママ友などの助けがなければ息子を育ててこられなかったと思います。人は絶対に1人では生きていけないので、誰かに頼っていいと思うんです。悩みや迷いのある方には、相談窓口などを活用して、少しでも精神的な負担を軽くしてほしいと思います。今はSNSで政治家とも繋がれる時代ですから、うまく政治家を活用してほしいと思います」

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