婚姻20年以上の配偶者なら「生前の家の贈与」は遺産分割の対象外

婚姻20年以上の配偶者なら「生前の家の贈与」は遺産分割の対象外

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改正相続法が今年7月に施行された。今回は、多くの人、とりわけ女性にとって、有利な改正になっているが、どれほどの人が知っているだろうか。また、来年にも新制度が始まる……。施行から3カ月、改正相続法の遺産の新ルールを弁護士の松下真由美さん、弁護士の外岡潤さんが解説!

【ケース】

生前贈与で夫から資産価値2,000万円の自宅を贈与されていたD子さん。夫が突然亡くなり、3,000万円の金融資産が遺された。あまり仲がよくない夫の前妻の子と1,500万円ずつ分割するものだと思っていたら、自宅の2,000万円も加えた5,000万円で遺産分割することを求められた。2,500万円ずつということになるので、現金は500万円しか相続できず、老後の生活設計が狂ってしまうことに

【新ルール】夫婦間の自宅の贈与は遺産分割の対処外に

「これまでの法律では、夫から自宅を『生前贈与』されていた場合、夫が遺したお金(この場合3,000万円)に、自宅の不動産価格(同2,000万円)を“持ち戻した”金額(同5,000万円)から遺産分割をしなければなりませんでした」(外岡さん)

遺書に特段の記載がない限り、妻が夫の生前に贈与された自宅でも、遺産に「持ち戻して」遺産分割するというのが基本だった。

しかし、今年7月から、「婚姻期間が20年以上の配偶者」は、自宅の贈与に限り、「持ち戻し」が、“免除”されることになった。

「改正法により、遺言がなくても、生前贈与された自宅に関しては『相続財産に加えない旨を被相続人が意思表示した』、つまり故人に『持ち戻し免除の意思表示があったもの』として考えられるようになりました」(外岡さん)

このケースの場合、D子さんが生前贈与で受けていた自宅の2,000万円は相続財産に含めないでよくなるため、夫の死後に残ったお金である「3,000万円」のみを、夫の前妻の子と2分の1ずつ分ければよいということになる。

「さらに、婚姻期間20年以上の夫婦間では、自宅の贈与に限って2,000万円まで贈与税はかからないという特例がある。つまり、これらのルールを知っていれば、贈与税も払わず、ほかの遺産の取り分を減らすこともなく、D子さんは夫から自宅を継承できるのです」(松下さん)

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