進む新型コロナのワクチン開発、最速で4月には治療法完成か

進む新型コロナのワクチン開発、最速で4月には治療法完成か

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3月29日、東京都内の新型コロナウイルス新規感染者数は60人を超え、1日の過去最多感染者数を記録した。千葉県では、障害者福祉施設で計58人にもおよぶ集団感染を確認。感染は世界規模で広がり、東京オリンピック・パラリンピックも1年程度の延期が決まっている。

緊張感をもって事態に臨まなければならない状況が続きそうだが、新型コロナウイルスへのワクチンや治療薬は懸命な開発が続けられており、光明が差し始めているという。

「複数の国や財団で構成された感染症流行対策イノベーション連合(本部:ノルウェー)などが莫大な資金を研究機関に出資しており、世界各地で競争的に開発が進められています。ワクチンの開発スピードは史上最速で、数年単位だったものが数カ月にまで短縮されているんです」

こう語るのは、治療薬の臨床試験を主導する米国国立衛生研究所で、ウイルス研究を行う峰宗太郎医師。ワクチン開発は大量の資金や人手のみならず、最新の科学技術を投入のもと行われているという。

「米国立アレルギー・感染症研究所とモデルナ社は共同で、mRNAワクチンという全く新しいタイプのワクチンを開発しました。従来のワクチンは、弱毒化したウイルスやタンパク質を接種することで、病原体に対する抗体を体内に作らせます。いっぽうmRNAワクチンは、病原体の設計図である遺伝物質の一部を接種します。すると病原体の一部が体内でできる。これをもとにして、ウイルスや病原菌に対する抗体が作られるんです」(以下、括弧内は峰宗太郎医師)

mRNAワクチンの特徴は、従来のものより開発期間を短くできること。実際に、新型コロナウイルスに対するワクチンの試作品は、開発に着手してからわずか2カ月で完成した。

「すでに45人を対象に、安全性を確かめる人での第1相の臨床試験が始まっています。今後は投薬量を決めたりする第2相、有効性を確認する第3相の試験を行う予定。それぞれ最低3カ月程度は必要なので、順調に進めば1年程度で完成するでしょう。ただ、mRNAワクチンは今まで誰も作製したことのないワクチンです。副作用もはっきりしていないので、慎重に進めてほしいですね」

他にもワクチン開発は世界各地で進む。米国のミルケン研究所によると、3月26日時点で47ものプロジェクトが立ち上がっているという。なかでも、米国のmRNAワクチンと同様の速さで進むのが中国だ。

「中国のワクチンは作製に時間のかかる従来型のものですが、驚異的な研究スピードにより臨床試験がすでにスタートしています。中国政府は感染拡大を受け、試験に関する規制も緩和しているようなので、他国よりも早く、半年から1年程度でワクチンを完成させるかもしれません」

治療薬の開発・探索も並行して行われている。日本の国立国際医療研究センターによると、国内で新型コロナウイルス感染症の候補薬として上がっている薬は、抗HIV薬の「カレトラ」、新型インフルエンザ薬の「アビガン」、急性膵炎の治療に使われる「ナファモスタット」など計8種類。全世界では71ものプロジェクトが始動しているという。

「カレトラはすでに臨床試験の結果が報告されていますが、重症患者にはあまり効果がなかったようです。今は、感染初期や軽症の患者さんに効果がないかなどが調べられています。現時点での“最有力候補”はアビガンでしょう。中国では軽症者116人にアビガンを投与したところ、7日後に約7割の人が回復したという報告があります。日本国内には備蓄が潤沢にあり、臨床試験も始まっていますので、結果を持ちたいですね」

候補薬の多くは、他の病気の治療に使われている既存薬。ここに、治療薬の完成が早くなる秘密があるという。

「既存薬であればゼロから薬を探す手間を省けるのはもちろん、すでに他の治療で使われ、安全性等が確かめられているので、第1相の臨床試験を省くことができます。第2相と第3相の試験もまとめて行われることが多く、実用化に必須な試験を3つから1つにまで減らすことができる。早ければ4月にも有効な治療法が見つかってくるでしょう」

ただ、感染拡大を防ぐのに効果を発揮するのはワクチンで、治療薬だけでは食い止められない。ワクチンが完成するまでは、1人1人が予防に努めることが重要だ。外出の自粛や、こまめな手洗いは徹底的に行うようにしたい。

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