“医療崩壊現場”看護師の悲鳴「夜間は2人、1日17時間労働」

“医療崩壊現場”看護師の悲鳴「夜間は2人、1日17時間労働」

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首都圏では、感染症指定ではない病院も患者を受け入れ始めた。しかし、防護服や機材は足りずスタッフも不足している。破綻に直面する現場を看護師がレポートーー。

「4月初旬から、うちの病院で新型コロナウイルスの中等症患者を受け入れています。現在、6人が入院中で20人まで受け入れる態勢を作っていますが、防護服もマスクも数週間分しかない。まるで、竹やりで戦争に挑んでいくようなものですよ。これじゃ、患者の命を救えないどころか、私たちも感染して命を落としかねません」

そう訴えるのは、千葉県内の総合病院で働く看護師のAさん(40代)。中等症とは、4リットル以内の酸素吸入が必要と判断された感染者のこと。

Aさんが勤める病院では、3月から院内に“発熱外来”を設置。保健所から依頼があったコロナ疑いの患者に対し、PCR検査を行い、検体を保健所に送る作業を行ってきた。4月下旬から、病院の外にプレハブを設置して検査するという。

「3月は陰性ばかりでしたが、4月に入って陽性が増えています。うちの病院は感染症指定病院ではないので、入院患者を受け入れることはしないと思っていたんです」

しかし、3月末の医局の朝礼で、突然、こう発表があった。

「地域の感染症指定病院がコロナ患者で満床になったので、中等症の患者を受け入れてほしい、と保健所から要請がありました」

中等症であっても、人工呼吸器が必要な重症に移行する可能性がある。現場は受け入れ準備で大混乱に陥った。

「コロナ病棟を作るために、療養型病棟に入院中の、生活に医療や介護が必要な患者、約40人をほかの病棟や、他院に転院してもらいました」

現時点で、コロナ病棟の担当には、医師1人、看護師12人、介護士1人が決まっているという。

「20人の患者を受け入れるなら、少なくとも倍の人数は必要です。患者に呼吸器をつけるとなると、それだけで医師や看護師が4人ほど必要になることもあるんです。いまは、昼も夜も2人態勢で、夜勤は17時間連続の勤務。それでなくても、慣れない防護服での看護は大変なのに、疲れ切って着脱に失敗したら、自分も同僚も感染しかねない。夜、突然、患者の症状が悪化して人工呼吸器をつけることになっても、うまくいくかどうか……」

以前、実際にコロナ疑いの患者が一般病棟に運び込まれたときは、現場が混乱したという。

「何も訓練を受けていない一般病棟のスタッフが防護服を着脱する訓練をその場で行い治療にあたりました。幸いその方はPCR検査で陰性でしたが、コロナを100%否定できるわけではありません」

現在、あちこちで問題になっている院内感染。Aさんは、「感染のリスクがあるのは、コロナ病棟のスタッフだけじゃない」と危機感を募らせる。

「別の病気で運ばれてきた患者がコロナ感染している可能性もあるので、誰がいつ感染するかわからない。それなのに、私のような一般病棟の看護師たちは、なんの防護訓練も受けていません。コロナ疑いの患者が来たときに対応できるように、と、自主的に防護服の着脱訓練をしています」

自分も感染しているのでは、と心配でも、すぐにPCR検査が受けられないのは看護師も同じだ。

「それどころか、少し前までは、『休業補償をしたくないからなのか、4日以内の熱では仕事を休むよう指示は出しません』と、病院からお達しが出ていたほどなんです。もし、コロナに感染していたら院内感染を広げてしまうのに」

感染防護のマスクすら、1日1枚を消毒しながら使っている。

「防護服もマスクも、病院だけで確保できないなら、早急に国に動いてほしいと思うんですが。いったい、いつになるんでしょうか」

“アベノマスク”の配布だけでは、医療現場は救われない。

「これらは人の命を守る大切な医療資材なのに、価格競争にさらされ人件費が安いからという理由だけで海外の生産に頼っていた。そのツケが、いま回ってきたのでは」

Aさんは、いずれ自分もコロナ病棟に志願するつもりだという。

「行きたくはないけど、このまま見過ごすわけにはいきません。私が悩んでいたら、夫が『子どもの面倒は見るから安心して』と言ってくれました。子どもは、まだ4歳ですが、事情をわかっているのか『ママ死なないで、ママ死なないで』と言うんです」

命を軽視してきたツケが、医療現場と国民に襲いかかっている。

「女性自身」2020年5月5日号 掲載

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