近所の人は減刑の嘆願書を検討…神戸市祖母介護殺人の悲哀

近所の人は減刑の嘆願書を検討…神戸市祖母介護殺人の悲哀

近所の人は減刑の嘆願書を検討…神戸市祖母介護殺人の悲哀の画像

「A子ちゃんが、笑顔でおばあちゃんの車いすを押している姿を見かけたことがあります。本当は自殺したくなるほどつらい思いをしていたのに、無理やり明るく見せようと思うたんかな……。あの笑顔を思い起こすだけで胸が痛みます。おばあちゃんの面倒をみていたのは彼女だけだったと近所の人間は知っていますから、みんなで減刑の嘆願書を出そうかと話し合っていたんです」(近所の住民)

昨年10月、兵庫県神戸市内の自宅で、介護中の90歳の祖母を殺害した元幼稚園教諭・A子(22)の判決が9月18日、神戸地裁で言い渡された。懲役3年執行猶予5年。

社会人1年目で、当時21歳だったA子は、なぜ大好きだった祖母を手にかけてしまったのかーー。神戸市須磨区にある事件現場を取材した。

「おばあちゃんの家の近くには3人の子ども、A子ちゃんにとって父親、伯父、叔母が住んでいます。でも、おばあちゃんの家に出入りしていたのはA子ちゃんだけだったと思います。一度、おばあちゃんが自宅前の坂道で転んだことがあり、近所の人が『徘徊もあるし、施設に入れたほうがいいのでは』と親族に話したら『施設や病院ではなく、最期は家でみとりたい』と言い返されたそう。でも、介護はA子ちゃんが1人で背負っていたのですね」(近所の住民)

A子は幼いころに両親が離婚し、母親と暮らしていたが、母親が亡くなり児童養護施設に。その後、祖母が引き取った。地元紙記者が語る。

「A子は、しばらく祖母の家で暮らしていましたが、気性の激しい祖母との生活で精神のバランスを崩してしまい、中学校に上がったときに叔母の家に身を寄せました。ところが、’19年2月に、祖母はアルツハイマー型認知症と診断され、要介護4に。1人ではトイレに行くことも身の回りのこともできなくなってしまった。親族から『あんたがするのが当然』と言われて、祖母の面倒をA子がすることに。祖母は幼稚園の先生になるための学費や生活費を工面してくれた人。自分がやるしかないと思ったのでしょう。幼稚園教諭として働きだして1カ月後に祖母と同居が始まりました」

それから5カ月間は祖母の介護をたった1人で担っていたA子。夜中に何度もトイレに起きる祖母につきそい、睡眠時間は毎日1〜2時間だった。親戚からケアマネジャーとの接触を禁止され、相談する人もなく孤立無援での介護が続いた。さらに仕事場でも……。

「幼稚園での仕事では、ミスをしたり、遅刻したりすることもあって上司や同僚からよく叱られていたようです。祖母の介護をしていることを説明しても『嘘つき』と信じてもらえなかったことも。それでもA子は懸命に仕事と介護を続けていましたが、昨年10月8日早朝、汗をかいた祖母の体を拭いているときに『あんたがおるから楽しくない』と怒鳴られ、謝っても非難され続けた。『もう黙って……』とタオルを祖母の鼻と口に押しつけたのです」(地元紙記者)

裁判では、介護による睡眠不足や仕事のストレスで心身ともに疲弊していたことがあったと結論づけられたが、A子の父親は報道陣に「刑務所に入るべきだ。『かわいそう』との前提で判決が出ている」と語ったという。

祖母とA子が暮らした自宅の前にある花壇は荒れ果て、枯れ草が風に揺れていたーー。

「女性自身」2020年11月24日号 掲載

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