医師語るコロナ後遺症「日常生活がままならないほどの倦怠感」

医師語るコロナ後遺症「日常生活がままならないほどの倦怠感」

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「日常生活もままならないほど“コロナ後遺症”に苦しんでいるのに、病院では〈心の病いだ〉〈気の持ちようで治る〉などと言われ、死を考えるほど追い込まれている方がたくさんおられます。とくに女性は、男性に比べて約1.5倍、後遺症が出る人が多いことがわかってきました」

そう話すのは、ヒラハタクリニック(東京都渋谷区)の院長・平畑光一さん。“新型コロナ後遺症外来”を設置し、これまで400人以上の患者を診てきた。“コロナ後遺症”という言葉は聞いたことはあっても、どのようなものかを知らない人は多いだろう。平畑院長は、こう続ける。

「その症状は、動けないほどの倦怠感や、気分の落ち込み、胸痛・筋肉痛など体の痛み、頭痛、息苦しさ、食欲不振、嗅覚・味覚障害、脱毛など多岐にわたります」

今年8月に新型コロナに感染したHey! Say! JUMPの伊野尾慧(30)も「臭覚が戻るのは時間がかかった」と11月26日に出演した『めざましテレビ』(フジテレビ系)で吐露。また、4月に感染したハリウッド女優のアリッサ・ミラノ(47)は、クシで髪をとかすと大量の毛が抜ける動画を8月になってSNSに投稿して話題になった。

ヒラハタクリニックを訪れる患者が訴える症状のなかで、特に深刻なのが“倦怠感”や“食欲不振”だと平畑院長。

「うちに来る患者さんで症状が特にひどい方は、『歯ブラシを持つのもつらい』とか、『歯を磨くために風呂の浮力を利用しています』なんておっしゃるほど。強い倦怠感で日常生活や仕事に支障をきたしている方が多いんです。先日も、小さな子どもが2人いる40代の女性がいらして、体がだるくて子どもの世話をまったくできなくなってしまった、と。ほかにも、ほとんどモノが食べられなくなったという30代の女性も来ました。痩せ細っていく妻を、旦那さんがオロオロ心配しておられて……」

しかし、こうした症状を訴えても、「どこも悪くない」と治療すらしてくれない病院が多いという。

「海外では研究が進んでいますが、日本ではまったくコロナ後遺症が認知されていません。そのため医師からは、『心の病いだ』と診療を放棄され、家族からは『なまけている』と叱責され、勤務先からは『さぼっている』と思われて、派遣やパートを辞めさせられた人も多いと聞いています」

平畑院長は、今後の治療に役立てるため、症例のデータベース化を進めている。コロナ後遺症を診るようになったきっかけは、患者の“異変”だった。

「今年2月下旬ごろから、うちに長年通院している患者さんの中から、倦怠感や体の痛みなどの症状を訴える人が出てきたんです。ツイッターでそれを発信したところ、同じような症状を訴える方がどんどん受診に来られるようになって」

こうした症状を抱える人がSNSでコロナの後遺症ではないかと発信すると、「不安をあおるな!」「デマだ!」などと心ない誹謗中傷を受けることが少なくない。しかし、コロナの後遺症の存在は世界では常識だ。

「コロナ後遺症の研究が進んでいるイギリスの大学、キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームが約4,200人の患者を対象に行った調査でも、同様の症状に苦しむ患者がいることが明らかに。また、和歌山県が9月、県内で新型コロナに感染し、2週間以上経過した163人にアンケートを実施したところ、46%の人が嗅覚障害、倦怠感、味覚障害、呼吸困難などの症状を訴えています」

さまざまな症状を有するコロナ後遺症だが、体に異変を感じたらどうすればいいのか。

「早めに医師に相談することです。ただし問題なのは、コロナ後遺症に理解ある医師が少ないこと。うちに来た患者さんの中には、『運動すれば倦怠感は治る』と言われ、運動したらそのあと何日間も動けなくなってしまった方もいます。そうなると、ますます気分が落ち込んでいく。最近では、少しずつですが理解ある医師も出始めているので見極めが必要です」

「女性自身」2020年12月22日号 掲載

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