池袋事故引き起こした87歳の大暴走 車に不具合なく…「高齢者運転」のリスクとは

【池袋車暴走事故】高齢者運転のリスクを識者が指摘 「個人の能力をチェックすべき」

記事まとめ

  • 池袋の乗用車暴走事故で、車を運転していたのは87歳の元通産官僚の男性だった
  • 乗用車に機器の不具合は確認されず、運転ミスの可能性が浮上している
  • 「年齢を重ねることで運動能力が衰えるため、一定のリスクはある」と識者は指摘した

池袋事故引き起こした87歳の大暴走 車に不具合なく…「高齢者運転」のリスクとは

池袋事故引き起こした87歳の大暴走 車に不具合なく…「高齢者運転」のリスクとは

乗用車は赤信号を無視して150メートルにわたり暴走した

 東京・池袋で19日に乗用車が暴走して31歳と3歳の母子の命を奪った事故で、車を運転していたのは、87歳の元通産官僚の男性だった。車に不具合は確認されず、警視庁は運転操作ミスの可能性を視野に捜査している。男性に持病はないが、運動能力が低下する高齢者の運転にはリスクが潜む。免許更新にあたり、厳格な医療検査を導入すべきとの意見もある。

 「まさかうちの孫娘とひ孫だなんて…」。

 事故で松永真菜さん(31)と長女、莉子ちゃん(3)が亡くなったことを知り、莉子ちゃんの曽祖父は悲嘆に暮れた。

 曽祖父は莉子ちゃん一家と同じビルで暮らし、事故当日の19日朝も2人と顔を合わせた。いつもと変わらず「『おじいちゃん、おはよう』とあいさつしてくれた」といい「一番悲しいのは(莉子ちゃんの父親である)孫だ」と声を絞り出した。

 事故を起こした車を運転していた男性について、20日付の読売新聞朝刊は、旧通産省工業技術院の元院長と報じた。元院長は1953年に通産省に入り、89年に退職後、機械メーカー「クボタ」で副社長などを務めた。2017年に運転免許を更新した際、認知機能検査で異常はなかったという。

 一方、事故当時にエアバッグが正常に作動するなど、乗用車に機器の不具合は確認されていないことが判明。元院長による運転ミスの可能性が浮上している。

 警視庁によると、元院長は「アクセルが戻らなくなった」と話し、飲酒や薬の服用、持病は確認されていない。車のドライブレコーダーには「危ないよ」と呼びかける妻に対し、「どうしたんだろう」と話す音声が記録されていた。

 20日付朝日新聞朝刊によると、元院長は最近、周囲に運転をやめる意思を示していたといい、駐車場にうまく止められず、何度も切り返していることもあったという。

 近年、高齢ドライバーによる事故が後を絶たず、リスクを指摘する意見もある。

 高齢者の運転リスクについて、山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏は「一般的に、年齢を重ねることで運動能力が衰えるため、一定のリスクはある。ただ、身体機能の差は年を取るほど、個人差が大きくなる。年齢で運転免許を制限するべきではなく、個人の能力をしっかりチェックするべきだ。例えば、後期高齢者である75歳以上の人には、病院で厳格な検査を受けたうえで、免許更新を認めるような仕組みが必要ではないか」と話した。

 不幸な事故を再発させない制度設計が必要だ。

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