【国家の流儀】政治家と一部マスコミの「女性天皇」「女性宮家の創設」論… 皇室の伝統への敬意、理解が欠落している!

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 天皇陛下が第126代天皇として皇位を継承され、新しい時代が始まった。10月22日には、天皇即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が行われ、世界各国の元首や首脳が、新しい君主の即位をお祝いすべく馳せ参じる予定だ。ここであえて「君主」と書いたのは、国際社会は日本を立憲君主国とみなしているからだ。

 確かに、現行憲法の制定に伴い、憲法上の天皇の地位は「統治権の総攬者」から「国民統合の象徴」に変更された。そのため、憲法学者の多くが「天皇は象徴に過ぎず、君主ではない」という解釈を打ち出したが、憲法には、実質的に君主としての権限が明記されているのだ。

 例えば、第6条は、《天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する》とある。第7条では、《憲法改正、法律、政令及び条約を公布》《国会召集》《衆院解散》などが、天皇の権限(国事行為)とされている。

 よって、政府の方は「象徴」とは実質的な元首を意味し、日本は立憲君主国だと考えてきた。

 《現在の憲法のもとでも、天皇は国の象徴であるという面、さらには、ごく一部ではございますが、外交関係において国を代表する面を持っておられるのでありますから、そういう面をとらえて元首という定義によるならば、天皇は元首であるということにもなる》(昭和48=1973=年6月13日、参院本会議、田中角栄首相)

 しかも政府は、政治的責任を内閣が負うことを前提に、天皇のご意思は「尊重」されなければならないと考えてきた。外国ご訪問に関連して、こう答弁している。

 《海外旅行にお出かけになるということは(中略)憲法7条の国事行為のうちに入っておらないわけでございますので、その点につきましては、むろん終局的には天皇の御意思によって決定するということになると思います》(高辻正巳内閣法制次長、昭和39=64=年3月13日、衆院内閣委員会)

 ただし、自らの政治的主張を通すために、天皇の権威を政治利用することは厳に慎まなければならない。天皇は党利党略の圏外にあって、国民を統合するご存在であるからだ。

 なぜ、こんなことを説明したかと言えば、政治家とマスコミの一部が「愛子さまを天皇に」「女性宮家の創設を」といった議論をしているからだ。そこには、君主への敬意も、男系継承を重視してきた皇室の伝統への理解も欠落しているように見える。何よりも憲法をよく理解していないようだ。

 というのも、憲法第2条には、《皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する》とある。皇位は何よりも《世襲》に基づくのであって、「皇室の伝統」と、君主たる「天皇のご意思」を踏まえて、慎重に議論されるべきなのだ。

 政治家の皆さんには議論を始めるに際して、天皇陛下への敬意と皇室の伝統に対する理解を深めることをまず求めたい。(評論家・江崎道朗)=おわり

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