【朝日新聞研究】“令和フィーバー”に危機感!? 「皇室」に関する論調、変化した朝日新聞

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 このところ、朝日新聞の皇室に関する論調が変化してきたようだ。それは上皇さまによって行われた、平成時代の「平成流」に対する評価に関してである。つまり一方的な称賛から克服、あるいは否定に変わってきたように感じるのだ。

 例えば、4月25日の天声人語は「『象徴としての務め』は、平成に入ってから目立つようになった。なかでも第2次大戦の戦地への訪問の一つひとつは、日本の加害の歴史を忘れないようにという試みだったのだろう。平和憲法を体現する道ともいえる。しかし、こうも思う。その営みは、天皇という権威が担えばすむことなのか」と記した。

 これは控えめな方で、もっとはっきりした個人の意見も掲載している。

 3月7日の耕論で、渡辺治・一橋大学名誉教授は「私は、天皇の行為の憲法からの逸脱は、正すべきだと思っています。戦争を繰り返さないこと、戦争に対する責任を明確にすることは、国民が自らの主体的責任で解決すべき問題であり、天皇の『おことば』や訪問で代行したり、解決したりできないし、またすべきではありません」と語っている。

 上皇さまの「平成流」を一貫して支持してきたと思えた朝日新聞が、ここにきて豹変(ひょうへん)したように感じる。「令和フィーバー」「皇室フィーバー」に、かえって危機感を抱くようになったのではないか。

 4月29日から5月6日まで、改元をまたいで連載された、天皇と憲法に関する「1条 憲法を考える」は、基本的に同様な観点から編集されていた。

 最終回は、見出しに「加害の歴史 向き合うのは誰」と掲げている。そこで、岐阜大学の講座「平和学」の講師は「学生は戦争の現実を初めて知って驚く。天皇の軍隊が何をしたのか、加害や抵抗の歴史が伝えられていない」と語っている。

 さらに、今年の憲法記念日(5月3日)の講演会で、作家の高橋源一郎氏は、上皇さまの慰霊の旅を「戦争責任を問われないまま、昭和天皇がやり残したことの贖罪の旅をやってきたのではないか」と表現したという。朝日新聞の豊秀一編集委員は、上皇さまと比較するように「過去への真摯な反省の言葉を持ち得ていない最近の政治の姿だ」と政治家を糾弾する。

 この連載は次のような文章で結ばれる。

 「過去から学ぶことの大切さを、高橋さんは講演でこう表現した。『令和が始まったというが、平成が終わったわけではない。昭和も終わってはいない』」

 朝日新聞は、戦争中に戦意高揚に大いに貢献した。自分自身の戦争犯罪は棚に上げて、日本国民に対して、永久に「加害の歴史」を反省し続けることを、卑劣にも強要するのである。

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、新聞や月刊誌で記事やコラムを執筆する。著書に『虐日偽善に狂う朝日新聞』(日新報道)など。

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