【有本香の以毒制毒】「安倍・トランプ叩き」に興じる愚か者は無視! いまこそ“朝鮮半島危機”に備えよ

 ドナルド・トランプ米大統領が訪日日程を終えて帰国してもまだ、「安倍晋三首相はトランプ氏を接待しすぎ」だ何だと騒ぐ一団がいる。

 やれ、「見返りはないのか」だの、「米国一辺倒の外交はいけない」だの、「安倍首相もトランプ氏も自分の選挙のことしか頭にない」だのと、ウルサイことウルサイこと。

 賢明な夕刊フジ読者の皆さまにおかれては、マスメディア、特にテレビ文化人らがたれ流すこの種の騒音の類いは丸っと無視していただきたく思う。

 その代わりに、いま私たちが本気で考えるべき重大事は何かといえば、最近ジリジリとステージが上がってきている「朝鮮半島危機」への備えだ。

 え? 安倍首相は日朝首脳会談に前向きだから、いま北朝鮮とは雪解けムードなんじゃないの? と思う人もいるかもしれない。だが、残念ながらその認識は誤っている。

 なぜか日本のマスメディアが熱心に取り上げないが、注目すべき情報を1つ挙げよう。

 5月9日、米司法省は対北朝鮮制裁に違反して同国から石炭を輸送しようとしたとして、北朝鮮の船舶を拿捕(だほ)したことを明らかにした。

 この船は北朝鮮への重機輸送にも利用されたもので、実は、昨年インドネシアによっても拿捕されたが、それを北朝鮮に返却されないよう、米国が押さえて自国領へ運んだとの報道である。

 最近の日本メディアでは、北朝鮮の困窮はよく伝えられるが、その裏でいま、米国が何をしているかはあまり伝えられない。そして、なぜか浅薄な反トランプ的見解ばかりが重宝されている。

 実際、米国は、北朝鮮の瀬取りや、制裁をかいくぐる術が巧妙化する動きを本気で阻止しようとしている。この米国の動きに国際社会も同調連携しているのだ。

 この連携の動きに反するかのような姿勢を見せているのが、本来、最も真剣な参加者であってよいはずの韓国と、日本の一部マスメディアである。このタイミングであえて、日米首脳の「蜜月」アピールを嘲笑し、日米離間を薦めるかのような報道に勤しむのは、どう見ても異常だ。

 最近、古い資料を漁っていて、たまさか25年前のある報道に目が留まった。1994年4月、ソウルで行われた南北協議の場で、北朝鮮代表が「ソウルが火の海になる可能性もある」と発言したことに対し、当時の柿澤弘治外相が「集団的自衛権の行使を違憲とする従来の憲法解釈を再検討する必要」に言及した件である。

 柿澤氏はこのとき、「従来の解釈で日米安保条約が機能するのか、有事に対応できるのか、国民的議論をしてほしい」と発言した。

 これを日本のメディアが袋だたきにして、外相の発言を撤回させた。

 もし25年前に、安全保障についての「国民的議論」ができていたら、いま日本はどうだっただろうか。考えると虚しいものがあるが、四半世紀前のこのメディアの罪はいまあらためて問われてしかるべきだろう。同時に、一部メディアの論調に流されて、自国の行くべき方向を見誤る愚を二度と繰り返さないよう、肝に銘ずるべきである。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす』(産経新聞出版)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』(産経新聞出版)など多数。

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