【負の連鎖〜どうなる「引きこもり」と家族】本人も家族も「第三者」への相談が大切! 不安煽り、美辞麗句を並べる“悪質業者”に注意!

【負の連鎖〜どうなる「引きこもり」と家族】本人も家族も「第三者」への相談が大切! 不安煽り、美辞麗句を並べる“悪質業者”に注意!

川崎の事件以来、「引きこもり」家庭からの相談が絶えないという

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 「将来が不安」「どうすればいいのか、もう限界」「自分に攻撃が向かうのではないかと想像するだけで怖い」「行政に相談しても何もしてくれなかった」

 川崎市の児童ら殺傷と練馬区の元事務次官による長男刺殺の2つの事件から数日が過ぎても、 NPO「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」には、そんな親や兄弟姉妹からの切実な相談が今も続いている。

 その中には、引きこもる本人の「顔も見たくない」から「支援団体に家から連れ出してほしい」と訴えてくる家族もいて、同会スタッフが「本人から恨まれるだけで逆効果」だからと、何とか思いとどまらせることも少なくない。

 では、周囲の家族は、そんな本人にどう接すればいいのだろうか。

 元事務次官の事件の背景にあるのは、引きこもる子の存在が「恥ずかしい」「知られたくない」と、親が隠そうとするところだ。周囲には、上手くいっている家を演じ続けて、なかなか相談につながれず、悩みを抱え込んで家族全体が孤立し、煮詰まってしまう。一方で、引きこもる子の側も、自分が親から隠される存在であることを感じて、ますます重荷となる。

 また、家族がせっかく公的な相談機関に助けを求めても、相談員から「親の育て方が悪い」「どうしてここまで放置したの」などと責められるので「行きたくなくなった」「相談するのが怖い」といった相談の行き場を失っていた事例も、当会の8050件の問題の調査報告で明らかになっている。結局、窓口にいる人のコミュニケーション自体が相談を遠ざけていて、「社会に迷惑をかけている」という価値観に追いつめられ、孤立させられているのではないのか。

 安心できる場所に引きこもらざるを得なかった行為を否定して、つらい言葉を投げれば、当事者はますます追いつめられ、重症化していく。周囲が本人の意思を無視して侵入し、外に出そうとしたり、働かないことを責めたりすれば、生きていくことに深い絶望を感じて悲劇に至ることもある。

 「孤立は個人の責任だ」という自己責任論は、国が目指している排除される人のいない社会である「地域共生社会」の理念とは、対極の考え方だ。つらいとき、苦しいときは、本人も家族も外部の第三者に相談することが大事だ。

 ただし、民間支援業者の中には、ネット検索で上位に出てきて「放っておくと大変なことになる」などと親の不安を煽り、「3カ月で解決する」などの美辞麗句を並べる相手は要注意。親や当事者を騙し、本人の意思や人権を無視して連れて行く商業目的の業者に引っかかると、親は子に一生恨まれることになる。

 相談する相手としては、必ず公的な支援につながることと、地域の家族会に情報を求めてほしい。家族会では、同じような体験をしてきた仲間から情報を共有することができるし、愚痴も聞いてもらえる。何よりも「1人じゃない」ことを知って、例会に参加することで「途絶しない関係」を築けることが大事だと思う。

 ■池上正樹(いけがみ・まさき) 通信社などの勤務を経てジャーナリスト。日本文藝家協会会員。KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事。20年以上にわたって「ひきこもり」関係の取材を続け、1000人以上の当事者に向き合う。「ひきこもりフューチャーセッション庵−IORI−」の設立メンバー、東京都町田市「ひきこもり」専門部会委員などを務める。著書は『ルポ ひきこもり未満〜レールから外れた人たち』(集英社新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社/共著)ほか多数。

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