【正論大賞東京記念講演会】西修氏と百地章氏の発言要旨

【正論大賞東京記念講演会】西修氏と百地章氏の発言要旨

【第34回正論大賞受賞記念東京講演会】講演会に臨む西修氏(左)と百地章氏=9日午後、東京都千代田区(川口良介撮影)

■西修氏

 憲法9条は知られているようで知られていない。朝日新聞も政府の9条解釈を理解できていない。社説で自衛隊の存在を政府が「9条の例外」として許容してきたと書いていた。だが、自衛のための必要最小限度の実力組織は憲法上認められており、9条の枠内で合憲というのが政府の解釈だ。朝日は憲法の例外として解釈しており、全然違う。いかに朝日が無能力であるかが分かる。

 9条と文民条項の成立経緯はGHQを通じて強引に導入されたもので、衆院での審議時間はゼロだった。成立経緯をきちんと整理し、世界の憲法動向と比較しないといけない。日本の憲法は新憲法といわれるが、世界の189カ国の憲法を見ると、古い方から14番目。日本の憲法は唯一の平和憲法といわれるが、実際は159カ国が戦争放棄などの条項を設けている。平和主義を求め、万が一平和をおかされたらどうするか、緊急事態条項をおくのが世界の憲法常識だ。わが国がいかに小さい憲法論議をしているか強調しておきたい。

 本来憲法はその国の国民が最初から最後まで作成するのがあるべき姿だ。異常な成立経緯をいつまで引きずるのか。今を生きる私たちが真摯(しんし)に議論していくべき課題ではないか。

 ■百地章氏

 現行憲法は占領下でGHQの圧力のもと短期間でつくられたもので、さまざまな欠陥がある。最大の問題点は緊急事態条項が存在しないことだ。大規模自然災害の備えが全くない。緊急事態条項は、速やかに国家的危機(大規模自然災害、大規模テロなど)を克服し、国民の生命、財産を守る規定で、先進国ではすべて緊急権が認められている。法律上の規定だけではだめで、憲法に根拠規定が必要だ。国の存亡にかかわる首都直下型地震がいつ発生するか分からない。思い切って大規模自然災害にしぼってでも緊急事態を盛り込むべきだ。

 自衛隊を憲法に明記することによって法的地位は高まり、違憲論がなくなる。自衛隊の社会的地位は高まり、国民の意思を対外的に発信することも、大きな効果がある。明記することは小さな一歩ではあるが、大きな効果がある。これに成功すれば、国民は自信を持ち、憲法改正に対する心理的なハードルが下がる。これから若い世代が増えれば、第二、第三の憲法改正もそんなに先のことではない。急いで100点満点をとらなくても、まずは合格点を取り、そこからこの国を立て直そう。

 令和になって、国民の意識が高揚している感じがする。この機運は憲法改正にも追い風になると期待している。

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