覚醒剤、600キロ沖で受け渡しか 密輸船、横浜から出港

 静岡県南伊豆町の海岸で過去最多となる約1トンの覚醒剤が小型船から押収され、中国人の男7人が警視庁などに逮捕された事件で、小型船が5月末に横浜市内の会員制クルージングクラブを出港し、事件前日に約600キロ南方の太平洋で覚醒剤を受け取っていた疑いがあることが6日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁組織犯罪対策5課は密輸グループが捜査当局の監視を警戒して、遠海を覚醒剤の受け渡し場所に選んだとみて捜査している。

 捜査関係者によると、逮捕された中国人グループの一部に香港出身者が含まれていたことも判明。過去にこの海域で行われた密輸では、香港から覚醒剤が運ばれたとの情報があり、同課が関係性を調べている。

 密輸グループは陸路と海路の二手に分かれて行動し、警視庁と海上保安庁がそれぞれ監視態勢を取って動きを追尾。海保は巡視船に加え、航空機も投入したとみられる。

 メンバーらは5月末、横浜市中区の会員制クルージングクラブに集結。係留されていた全長約10メートルの小型船に荷物を積み込んだ上で出港した。陸路のメンバーは同時期に車で移動を始めたという。

 小型船は出港後に南進し約600キロ離れた海域まで移動。覚醒剤授受の確証は得られなかったものの、事件前日に船から物体を海面に投下する様子が確認された。

 洋上で違法薬物を受け渡す瀬取りでは、運んできた薬物に浮具をつけて落とし、一方が拾い上げる手口が一般的とされる。捜査関係者は、小型船が受け渡し場所を設定するため、衛星利用測位システム(GPS)を搭載するなどした目印を投下したとの見方を示した。

 当時、現場海域には複数隻の船舶が航行しており、この中に覚醒剤を運び込んできた船があった可能性があるという。現場は伊豆諸島の八丈島(東京都八丈町)から300キロ以上南で、緯度は鹿児島県の屋久島と同程度の太平洋上だった。

 小型船は6月3日夜に南伊豆町の弓ケ浜海岸周辺に現れ、午後9時半ごろに先着していた陸路メンバーとともに覚醒剤の荷降ろしを開始。同課の捜査員らは密輸現場を急襲し、4人をその場で取り押さえた。3人は逃走したが、身柄を確保して翌日に逮捕した。

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