【池田小事件】校長、「学校安全の手引き」作成に着手

【池田小事件】校長、「学校安全の手引き」作成に着手

作成中の「学校安全の手引き」について説明する付属池田小の佐々木靖校長=4日、池田市の付属池田小学校(南里咲撮影)

 「『あのときこうすればよかった』という思いを、形として残さなければ」。現在の池田小で唯一、事件当時も在籍していた佐々木靖校長(57)は、事件の反省を盛り込んだ同小の危機管理マニュアル「学校安全の手引き」の作成を進めている。かつて関係者だけに配布された内部文書なども活用し、遺族らの意見も反映させた上で、今年度中に完成させる考えだ。

 日本の学校の安全対策は、池田小事件を機に進んだ。平成21年に学校保健法が学校保健安全法に改正され、危機管理マニュアルの作成や職員研修などが義務づけられた。28年には文部科学省が「学校事故対応に関する指針」を作成、指針に沿った学校の危機管理マニュアル作成の手引きも示された。

 池田小では毎年、マニュアルを更新しているものの、指針に沿ったものはできていない。事件の正式な調査報告書がないため、教訓を踏まえた具体的な対応が明示されていないのだ。

 同小で事件を経験した教員は現在、佐々木校長のみ。日頃から事件の教訓を教職員に伝えてはいるが、事件から18年となるのを前に「事件の反省は、当時学校にいた教師しか知り得ない。文字にして残さないと、教訓がいつか消えてしまう」との危機感が募ったという。一念発起し、昨年から事件の反省と教訓を具体的に盛り込んだマニュアル作成に取り組み始めた。

 どのような対策をしていれば、あの事件を防げたのか。当時の対応や、教師間の役割分担はどうあるべきだったのか。事件後は、どのように対応すべきだったのか−。「文部省から通知が出されていたが『学校は安全』という社会通念を持ち続けていた」「目の前の対応に追われ、組織的な体制や緊急の指揮系統を欠き、救助活動の遅れを招いた」といった当時の内部文書を活用し、項目別にまとめる作業を進めている。

 事件の反省と教訓を踏まえたマニュアルは広く活用してもらえるよう、発信していく考えだ。佐々木校長はこう言う。

 「以前は、事件に関する世間の記憶が薄れることが風化だと思っていた。でも、関係者の『こうすればよかった』という思いを形に残すことこそ、風化防止につながるのではないか」

 当時を知る教師の責任として、取り組むつもりだ。

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