ユーチューブ投稿の警察無線 元警部補が傍受、時効

 警視庁の警察無線とみられる音声が動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開された問題で、当時、山梨県警に勤務していた50代の元男性警部補が職場の無線受令機を持ち出して無線を傍受していたことが23日、捜査関係者への取材で分かった。元警部補は録音した音源を知人男性に販売、その後、ネット上で公開された。暗号化された通信の内容を漏らす行為は電波法違反に問われるが、元警部補と知人は公訴時効(3年)が成立しており、警視庁保安課は立件を見送った。

 同課の聴取に対し、元警部補は警察無線を傍受したことなどを認め、「借財返済のためだった。無線マニアに高値で売れるのではないかと思いついた」などと説明しているという。

 同課は23日、同法違反容疑で、流出音源を入手したパート従業員の男性(41)=浜松市=と、転売された音源を公開したアルバイトの男性(49)=岩手県花巻市=を書類送検した。2人は容疑を認めている。

 捜査関係者によると、元警部補は平成21年、職場からイヤホン型無線受令機2台を持ち出し、非番の日に中央道の石川パーキングエリア(東京都八王子市)に向かい、無断で傍受した警視庁の無線を備品のICレコーダーに録音していたという。

 その後、録音した音声データなどを知人の無線愛好家の50代の男性=兵庫県=に数万円で提供。その過程で音源はCDに収録された。無線愛好家がパート従業員の男性に譲渡し、パート従業員はフリーマーケットアプリに出品した。アルバイトの男性がCDを購入し、動画3本に編集してユーチューブに投稿したとされる。

 書類送検容疑は、パート従業員の男性が昨年9月に警察無線の音声を販売、アルバイトの男性が同11月にネット上に公開し、それぞれ無線通信の秘密を漏らしたなどとしている。音声には車のナンバーや所有者の個人情報が含まれており、警視庁は捜査記録との照合などから、21年に起きたひき逃げ事件に関する通信指令本部とパトカーのやりとりと認定した。

 警察無線は暗号化され、外部の機器による傍受は不可能とされる。都道府県警ごとに別の系統で運用されているが、他警察の通信圏内に入れば警察共通のイヤホン型無線受令機で受信できるという。同課によると、漏洩(ろうえい)による被害は確認されていない。

 元警部補は24年、職場から無線機の脱落防止ひもを盗み、インターネットのオークションサイトで売却したとして窃盗の疑いで逮捕され、懲戒免職処分を受けた。

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