帰宅困難者対策 BCP策定進まず 支援や呼びかけ強化

帰宅困難者対策 BCP策定進まず 支援や呼びかけ強化

情報提供拠点から一時滞在スペースである新大阪ワシントンホテルプラザまで徒歩で移動する帰宅困難者役の参加者ら=26日午後、大阪市東淀川区の市立青少年センター(小川原咲撮影)

 昨年6月の大阪北部地震の際、大阪市内で多数の帰宅困難者が出たことを踏まえ、JR新大阪駅周辺のホテルや鉄道事業者らで作る団体が26日、現地で初めての対策訓練を実施。24の企業・団体から約45人が参加し、帰宅困難者の安全確保や情報提供の手順を確認した。

 災害発生時に備えて、各企業が取るべき対応をまとめた「事業継続計画」(BCP)の策定が、都市部で思うように進んでいない。昨年6月の大阪北部地震で顕在化した帰宅困難者の対策には、行政だけでなく企業側の取り組みも不可欠だが、防災面に割ける人手が足りず、後手に回っている現状が浮かぶ。BCP促進のために公的助成をスタートさせた自治体もあるが、どこまで浸透するかは未知数だ。

 「『のど元過ぎれば』となっているのが、正直なところ」

 大阪市内にある金属部品メーカーの総務担当者はBCP未策定の現状についてこう語った。災害時の出退勤をどうするかも、マニュアル化はされていない。台風などで鉄道各社の計画運休があった際は、各所属長のその都度の判断に委ねられた。「人的にも時間的にも余裕がなく、ノウハウもない」と漏らした。

 帝国データバンク(東京)が5月に全国約1万の企業に実施した調査によると、BCPを「策定している」と回答したのはわずか15%にとどまった。

 取り組みが進まない要因としては、ノウハウ・人材の不足のほか「必要性を感じない」と答えた企業も2割強に上っていた。

 大阪北部地震や昨年9月の台風21号など相次いで災害に見舞われた関西企業であっても、動きの鈍さは全国的な傾向と同じ。大阪府が昨年8月に府内2184社を対象に調査したところ、BCPを策定していたのは約23%だった。

 先の帝国データバンクの調査を都道府県別にみると「策定意向がある」という企業が最も多かったのは高知県で、7割を超えた。5割以上だったのは和歌山や徳島、愛媛、静岡など11県で、南海トラフ巨大地震などにより大きな被害が想定される地域で高い傾向がみられ、防災意識の地域差も垣間見えた。

■行政なども取り組み

 こうした中、兵庫県では6月から、県内企業を対象にBCP策定に必要な経費を補助する取り組みを始めた。従業員の帰宅抑制規定を盛り込むことが条件で、策定にあたり専門家から指導を受けた際の謝礼金や、参考となる書籍の購入費などとして上限5万円を支給する仕組みだ。現在数社が補助を申請中といい、担当者は「制度活用により策定が広がれば」と話す。

 府や関西広域連合では北部地震の教訓をふまえ、企業側に災害時、従業員が3日以上過ごせるよう非常食や水の備蓄を求めるとともに、平常時からのBCP策定を呼びかけるなど働きかけを強化。大阪市では来年3月までに地域防災計画を改定し、災害時に従業員に対して帰宅抑制を図るよう促す文言を盛り込む方針だ。市の担当者は「企業には危機感を持ってもらいたい。経済団体と連携し、防災意識の向上やBCP策定の働きかけに力を入れたい」と話している。

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