【新井浩文被告判決詳報】(上)裁判長、被告の供述真っ向否定「拒絶に気付かない事態、想定できない」

【新井浩文被告判決詳報】(上)裁判長、被告の供述真っ向否定「拒絶に気付かない事態、想定できない」

東京地裁前に集まった報道陣=2日午前、東京都千代田区(桐原正道撮影)

 《派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた俳優の新井浩文=本名・朴慶培(パク・キョンベ)=被告(40)の判決公判が2日午前10時、東京地裁(滝岡俊文裁判長)で始まった》

 《滝岡裁判長の合図で新井被告が入廷。これまでの公判と同様、黒のスーツ、ネクタイ、靴を着用している。裁判長に着席を促されると小さくうなずき、着席後は無表情で前を見つめた》

 裁判長「こちらを向いて立ってください」

 《裁判長の言葉に従い、証言台の前に立ち一礼する新井被告》

 裁判長「主文、被告人を懲役5年に処する」

 《実刑判決を受けても新井被告は微動だにしなかった。裁判長により、量刑理由の読み上げが始まる。裁判長に促され、新井被告は証言台の椅子に座った。被害者の女性は、これまでの公判と同様、特定を避けるため「A」と呼ばれる》

 《裁判長はまず、犯罪事実を読み上げた。新井被告は昨年7月1日未明、出張型マッサージ店に連絡。自宅に訪れた女性に対して午前3時25分ごろ、いきなり右手をつかんで引っ張り、自身の服の上から陰部に手を当て、さらに女性のズボンを無理やり脱がせて女性の体を触るなどした上、性交に及んだ、とした》

 《続いて裁判長は、裁判の争点について、「被告が暴行を加えたか」「性交についての合意があると誤信することはなかったか」の2点だと述べた》

 裁判長「被告人は、Aに暴行を加え、性交についてAの合意があると誤信することはなかったと認められると判断した」

 《裁判長は、その理由について述べ始め、その前提となる事実を列挙していく。(1)新井被告はマッサージ店が性的サービスを一切行わないことを表明していることを認識した上で、性的サービスの要求を行わない旨の同意書に署名していた(2)女性とは初対面で、女性から積極的に性交を求める言動は一切なかった(3)行為の直後に「悪いことしちゃったね。これ、おわび」などと言って、マッサージ料金とは別に7万円を執拗(しつよう)に手渡そうとしたが、女性に拒絶され、女性のバッグに強引に押し込んだ(4)被告の自宅を後にするや、送迎の運転手や店の経営者に被害を打ち明け、3時間もたたないうちに警察署で相談、「泣き寝入りは嫌だ」などと伝えた(5)数日以内に、被害の具体的内容を記したメモを作成した−といったことだった》

 《さらに女性は、9月2日の初公判で検察側の証人として証言。新井被告の鼠径部を施術中に「もっと奥」と言われ、「無理です」と返答、その後も女性は「やめてください」と何度も言い、抵抗したが、新井被告に服を脱がされ、胸をなめられるなどし、性交された、と証言した》

 《一方の新井被告は、女性から「やめてください」と複数回言われ、手を引かれるなどの抵抗を受けたが、口調が柔らかく力強いものではなかったと主張。さらに、胸をなめたりした際には抵抗がなく、これらの積み重ねで女性の合意があると思った、と主張していた》

 裁判長「Aの証言と被告人の供述は、暴行および、Aの抵抗の内容の点で食い違っているので、これらの信用性について判断する」

 裁判長「まずAの証言については、客観的な経緯や状況と整合し、これらによって裏付けられており、とりわけ、暴行の内容が(女性が記した被害の)メモの内容とよく符合する」

 「また、Aはセラピストとして施術する目的で初対面の被告人の自宅を訪れたにすぎず、意向に反して性交を強いられる事態に対し、相応の拒絶感や抵抗を示すことが十分に想定されるのであって、Aが一連の暴行に際しても抵抗したという趣旨の証言内容は合理性を備えている。この見方は、本件直後に被告人から現金の受領を拒むなど、被告人との性交に強い拒絶感を示していた経緯からも首肯できる」

 「さらに本件の直後にAから「抵抗したが、逃げ切れなかった」などと言われたという送迎の運転手の証言と整合することや、Aが覚えていないことはその旨、真摯(しんし)に証言し、ことさらに虚偽の供述をして被告人を陥れる状況も想定しがたいことなどを踏まえると、Aの証言の信用性は高いといえる」

 《女性の証言の信用性を全面的に認めた裁判長は、続いて、新井被告の供述の信用性についての判断を述べていく》

 裁判長「被告人供述は、(前提となる)事実関係を見ただけでも、Aの拒絶に気付かない事態がおよそ想定できないなど、こうした事実関係と整合しがたいから、信用に値しない」

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