【新井浩文被告判決詳報】(下)「重い犯罪。地道に信頼を取り戻す努力を」裁判長、被告に説諭

【新井浩文被告判決詳報】(下)「重い犯罪。地道に信頼を取り戻す努力を」裁判長、被告に説諭

東京地裁に入る新井浩文被告を乗せたタクシー=2日午前、東京都千代田区(桐原正道撮影)

 《派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた俳優の新井浩文=本名・朴慶培(パク・キョンベ)=被告(40)の判決公判は、争点についての説明が始まった》

 《弁護側は、女性の証言の一部に疑問を呈した上で、新井被告は反抗を著しく困難にするような暴行はしておらず、同意があったと誤認したとして、検察側と主張が対立していた》

 《強制性交罪の成立には、抵抗が著しく困難になるほどの「暴行または脅迫」が必要とされており、滝岡俊文裁判長は、こうした暴行があったのかについての判断を述べた。女性の証言によると、ズボンや下着を脱がされるなどの暴行があった。裁判長は新井被告がこれらの暴行を加えた上で、「ベッドに押し倒し、A(女性)と性交したと認められる」と述べた》

 裁判長「こうした一連の本件暴行および性交は、そもそも被告人が深夜の時間帯に明かりも消された自宅寝室のベッド上でAからマッサージの施術を受けるという機会に乗じ、そうしたAの置かれた状況に付け込んで敢行されている」

 《裁判長はさらに、女性が抵抗できたかどうかについても言及した》

 裁判長「その暴行の態様に加え、被告人がAから何度も拒絶感を示され抵抗されたのに性交に及んだことや、両者の体格差も踏まえると、Aが被告人に対して物理的、心理的に抵抗することが困難な状況であったと推認される」

 《そして、こう断じた》

 裁判長「本件暴行はAの抵抗を著しく困難にさせる程度に達するものであったと評価でき、被告人がAに対して刑法177条所定の暴行を加えたと認められる」

 《刑法177条とは強制性交罪について定めた条文だ。次に、争点の説明は、性交について、新井被告が合意があったと誤認したかについてに移った》

 《新井被告は被告人質問で、女性の勤めていた派遣型マッサージ店について、「健全な、グレーゾーンではあるけれど、マッサージ店だと思っています」などと述べていた》

 裁判長「そもそもAが性交に同意するとは考えにくいと分かっていたはずといえる。加えて、Aから性交について積極的な言動が一切なかったことはもとより、Aが一連の本件暴行に対し、拒絶感を示し抵抗していたことも前記のとおりであるから、被告人がAの合意があったと誤信するとは到底考え難い」

 《裁判長はさらに、新井被告が事件以前に、性的サービスに応じた別のセラピストとの間で合意の上で性交した際、追加料金を払わなかったと供述する一方、本件では性交後、女性に現金を渡そうとしたとして、そのこと自体が「被告人が当該性交に当たり、Aの意思に反するとの認識を備えていたことを指し示しているというべきである」とも指摘。その上で、こう結論付けた》

 裁判長「そうすると、被告人が性交についてAの合意があると誤信することはなかったと認められる」

 《争点についての解説が終わり、次に量刑の理由についての説明が行われた》

 裁判長「本件の暴行自体が制圧的というほどに強度ではないにせよ、被害者が被告人方で施術中であるという抵抗しにくい状況に付け入り、続けざまに暴行を加え、性交に及んだのであり、その犯行は、被害者の性的自由を侵害する卑劣で悪質なものというほかない。被害者の処罰感情が厳しいのも当然といえる。そして、被告人は、自己の性的な欲求を優先して犯行に及んだのであり、その経緯・動機に酌むべき点はなく、厳しい非難に値する」

 裁判長「本件は同種事案の中で重い部類に位置付けられ、被告人は相応期間の実刑を免れない」

 《新井被告は公判の中で、女性に謝罪したものの、一貫して無罪を主張していた》

 裁判長「被告人が不合理な弁解に終始していることも考えると、本件事案の特徴を踏まえ、量刑の傾向も参照した上、被告人の前科前歴がないことなど酌むべき事情を考慮しても、酌量減刑をすべきとまではいえず、主文の刑を定めた」

 《判決言い渡しの後、裁判長は新井被告に立つよう促した。裁判長は新井被告に語りかけた》

 裁判長「あなたや弁護人から無罪主張がありました。重い犯罪です。被害者を傷つけた責任は取らなければいけません」

 裁判長「社会人としての信頼を失い、取り戻すのは難しいことですが、あなたの人生が終わったわけではありません。まずは責任と向き合って罪を償い、地道に信頼を取り戻す努力を続けてほしいと思っています」

 《裁判長の言葉を聞いた新井被告は一礼して退廷した》

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