【相模原45人殺傷初公判・詳報(1)】被告暴れ、怒号飛ぶ法廷 傍聴人ぼう然

 《相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で始まった》

 《公判の主な争点は刑事責任能力の有無。植松被告は、横浜地検の鑑定留置で人格障害の一つである「自己愛性パーソナリティー障害」と診断されたが、地検は完全責任能力があったと判断し、起訴した》

 《障害者が狙われ、19人もの死者を出した前代未聞の事件。この日は一般傍聴席26席に対し、1944人の傍聴希望者が集まった。開廷は午前11時の予定だったが、傍聴希望者が多かったことなどから手続きに時間を要し、20分遅れて始まった》

 《静まり返った法廷。小さな音を立てて開いたドアに傍聴人の視線が集まる。黒いスーツに青いネクタイを身に着けた植松被告が、刑務官らに付き添われて入廷した。腰辺りまで伸びた髪は後ろでひとつに束ねている。緊張した面持ちで法廷内を見渡し、数回会釈しながら弁護人の脇にある椅子に着いた》

 《裁判長が審理に先立って注意事項を伝える》

 裁判長「今法廷は、バーの中のみならず遮蔽された付近も、バーの中、公判廷とみなして被害者参加人に出席してもらっている。限られたスペースでご迷惑をかけますがご理解ください」

 《被害者が数多くいるため、被害者参加する遺族や関係者も多い。そのため地裁は、傍聴席の3分の1のスペースを参加人に割り当てた》

 裁判長「また参加人の心身の状態などから検察官の申し出を受けて、対象の参加人は被告や傍聴人との間に遮蔽を設けている。遮蔽版の中に入ったりのぞいたりすることは禁じられているので絶対にしないように」

 《参加人の席の周囲には被告や他の傍聴者から見えないよう、パーテーションが設けられている》

 《裁判長の合図で、控室にいた裁判官や裁判員が入廷。促されて植松被告が証言台の前に立ち、人定質問が始まった》

 裁判長「名前は」

 植松被告「植松聖です」

 裁判長「職業は」

 植松被告「無職です」

 《植松被告は小さな声だが、はっきりと答えていった。裁判長が再び注意事項を述べる。公判は、被害者の氏名などを伏せて審理できる「被害者特定事項秘匿制度」が適用され、ほとんどの被害者に、アルファベットなどを用いた匿名呼称が用いられる》

 裁判長「被害者特定の秘匿を決定しています。1人を除いて被害者の氏名などは明らかにされません。被害者は殺人事件について『甲A』『甲B』など、殺人未遂事件について『乙A』など、職員について『丙A』など仮名(かめい)を用いることにします。訴訟関係人は秘匿決定された被害者の氏名などが明らかにならないよう注意してください」

 《検察官の起訴状朗読に移る。植松被告は28年7月26日未明、入所者の男女ら43人を刃物で突き刺すなどして19人を殺害、24人に重軽傷を負わせたとして起訴された。また、結束バンドで廊下の手すりに縛り付けた職員2人を負傷させたなどとされる。植松被告は検察官に体を向け、気を付けの姿勢で朗読を聞いている》

 裁判長「今読み上げた内容に違っているところはありますか」

 植松被告「ありません」

 弁護人「植松被告には精神障害がありました。その影響で責任能力が失われていたか、著しく減退していました」

 《起訴内容を認める植松被告。一方、続けて意見を述べた弁護人は心神喪失か心神耗弱の状態だったと訴えた》

 《この後、弁護側は裁判長に植松被告に発言させてほしい旨を申し立て、裁判長が許可。証言台の前に立っていた植松容疑者が再度口を開く》

 植松被告「皆さまに深くおわびいたします」

 《消え入りそうな声で言った途端、急に口のあたりに手を持っていった植松被告がうめき声を上げる。周りにいた刑務官が制止しようとするが、植松被告は激しく暴れ、床に倒れた状態で刑務官に取り押さえられた》

 地裁職員「傍聴人はそのままで」

 《傍聴人に着席のまま待機を命じた職員。その間も植松被告は床に押さえつけられたまま暴れ続ける》

 職員「傍聴人は退廷してください」

 《職員はすぐさま判断を覆したが、傍聴人は何が起こったのか分からず呆然(ぼうぜん)と植松被告を見つめる人がほとんど。動き出さない傍聴人に職員が「退廷してください!」と怒号を上げ、暴れる植松被告を背景に法廷内は騒然となった》

 《開始15分で休廷となった初公判。地裁は休廷となった理由について「被告人に不規則な行動があったため」と説明。植松被告の行動が意図するものは何なのか。午後1時15分に再開される法廷は、検察側の冒頭陳述が行われる》

 

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