JR常磐線 9年ぶりに全線再開

JR常磐線 9年ぶりに全線再開

大勢の人が出迎える中、JR双葉駅に着いた常磐線の下り特急「ひたち3号」=14日、福島県双葉町(芹沢伸生撮影)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で不通が続いていた、JR常磐線の富岡(福島県富岡町)−浪江(同県浪江町)間、20・8キロの運行が14日再開し、常磐線は約9年ぶりに全線がつながった。

 双葉駅では、運転再開後に初めて停車する特急列車、下り「ひたち3号」の到着に合わせて出迎え式を実施。双葉町の標葉(しねは)せんだん太鼓保存会のメンバー8人の和太鼓演奏が響く中、JR東日本の深沢祐二社長や赤羽一嘉国土交通相、福島県の内堀雅雄知事らがホームに降り立つ人たちを出迎えた。

 復旧区間の運転本数は普通列車が1日11往復。品川・上野−仙台間を直通する特急「ひたち」は1日3往復運転され、双葉駅、大野駅にも停車する。

 今回の開通区間のうち、帰還困難区域にあったのは13・6キロ。この区間では屋根瓦が落ちガラスが割れ荒れ果てた家や、ひび割れたテニスコートなど、震災当時の風景も残っている。

 普通列車で双葉駅に降り立った井戸川由美子さん(66)は、震災まで双葉町に住んでいた。現在は茨城県つくば市で避難生活を続けており、この日は叔母の遠藤芳子さん(67)と2人で訪れた。

 井戸川さんは「駅前は工事関係者だけで一般の人や子供がいない。明日からどうなるのか」と、少し心配そう。「まだ、(自宅の避難指示が解除されていないため)帰ってこられないけど、心の古里だから…」と話した。

 遠藤さんの自宅は富岡町の夜ノ森にあるが、現在はいわき市に避難しているという。「(常磐線の)全線開通初日に乗ると決めていた。お祝いだから黒の留袖できた」と明るく笑った。

 遠藤さんは「常磐線の運転再開を知り、自宅の新築を決めた」といい「8月には(夜ノ森に)帰れそう。年を取ると車を運転できなくなるので、鉄道はありがたい」と声を弾ませた。夜ノ森駅は双葉駅のふたつ先。2人は「これから夜ノ森に行く」と言ってホームへ向かった。

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