セブンが東大阪“時短店”の駐車場に出店計画 元オーナーは「和解も拒否。徹底的に闘う」

セブン-イレブン本部が『時短店』駐車場に出店計画 朝日新聞が記事を掲載

記事まとめ

  • セブン-イレブン本部が、『時短店』の駐車場に出店計画していると、朝日新聞が報じた
  • オーナーは契約解除の無効を求めて提訴、セブン側も建物引き渡しを求めて提訴していた
  • セブン側は店舗の駐車場に仮店舗を建設することにしたといい、突然通告してきたという

セブンが東大阪“時短店”の駐車場に出店計画 元オーナーは「和解も拒否。徹底的に闘う」

セブンが東大阪“時短店”の駐車場に出店計画 元オーナーは「和解も拒否。徹底的に闘う」

松本実敏氏(撮影・角田裕育氏)

■まさに前代未聞


 朝日新聞は3月27日の朝刊に「対立店舗駐車場に出店 セブン本部が計画 大阪 FC契約解除の元店主『違法な実力行使』」との記事を掲載した。

 ***

 既に店舗が建っているのに、新しい店舗が駐車場にオープンすれば、前代未聞の事態である。一体、大阪で何が起きているのだろうか。

 見出しにある《対立店舗》とは、「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」だと説明すれば、コンビニ問題に詳しい向きなら「なるほど」と理解されるかもしれない。取材した記者が言う。

「オーナーだった松本実敏さんは2019年2月、深刻な人手不足を理由に時短営業に踏み切りました。セブン側は契約解除と違約金1700万円が発生すると警告しましたが、これが大きく報道されたのです。セブン側は契約解除を撤回し、松本さんは時短営業を勝ち取りました。ところがその後、セブン側は再び契約解除を求めました」

 19年12月には、「7年7カ月で336件と、日本で一番クレームが多い」ことを理由に契約解除を通告、大晦日に契約は解除された。

 これに対し松本氏は、20年2月、契約解除の無効などを求めて大阪地裁に提訴。セブン側も建物の引き渡しなどを求めて提訴していた。

 松本氏の支援者は多く、裁判で本人も手応えを感じていたという。


■新店舗建設は挫折?


 松本氏に取材を申し込むと、「裁判所も私たちの主張に耳を傾けてくれているという印象がありました」と言う。

「セブン側の契約がどれほど問題か、オーナーたちの労働環境がどれほど苛酷か、裁判では明らかになったと思います。ですからセブン側も必死です。私の“反乱”が他のオーナーに影響を与えると困るからです。資金も人材も豊富ですから、ありとあらゆる手を使ってきました」

 例えば、時短営業に踏み切った数ヶ月後、松本氏が経営していた「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」の近くに新店舗を出そうと動いていたという。

「近くの土地を所有している人が、『セブン-イレブンが店を出したいって、あちこちに声をかけてる。でも、セブンがひどいことをしていると報道されているから断ったよ』と教えてくれたんです」(同・松本氏)

 そこでセブン側は方針を転換し、店舗の駐車場に仮店舗を建設することにしたらしい。もともとの駐車場は、車を12台駐められるだけのスペースがあった。

 そこに2軒目のコンビニが建つとなると、駐車スペースがほとんどなくなってしまうのは言うまでもない。


■土地を分筆


 セブン側は突然、松本氏に通告してきたという。

「3月26日に公判が予定されていたのですが、前日の25日に『店舗を引き渡さない限り、3月29日から着工する』と通告してきました。翌日、法廷で弁護士が厳重に抗議し、裁判所も間に入ってくれて延期になりました。要するに嫌がらせなんです」(同・松本氏)

 セブン側は「東大阪南上小阪店」の建っている土地の所有者と交渉し、わざわざ駐車場の敷地を分筆して仮店舗の建設予定地とした。

 松本氏は「店舗と駐車場は一体の施設。勝手に仮店舗を作るのは許されない」との指摘を逃れるため、登記で土地を2つに分けたのではないかと見ている。

「文筆した土地はコンビニや駐車場とは無関係、というわけです。この主張が認められると、建設差し止めを求める仮処分を申請しようとしても、新たに提訴する必要があります。資金のない私にとって、新しい法的措置を講じるのは厳しいものがあります。セブン側は、そうしたことも計算済みなのでしょう」(同)


■マスコミも注視


 もともと松本氏は長年、工務店を経営していた。リーマンショックで経営が厳しくなり、セブン-イレブンの募集に応募した。

 自分が所有する土地や店舗を使ってセブン-イレブンのコンビニを経営するオーナーは、今や少数派だ。

 多くは松本氏のように、セブン側が土地を借り、そこに建てたコンビニで働くのが一般的だという。

 松本氏は「ここまでされたのですから、セブンとは断固として、徹底的に戦います」と言う。

「駐車場に新たなコンビニを建てるなど、非常識としか言いようがありません。仮店舗を建てる理由をセブン側は『買い物や防犯のため、近隣住民が営業を再開してほしいと言っている』と説明していますが、偽善と言わざるを得ません。それなら私が現場に戻ればいいだけでしょう。裁判所から勧められた和解には応じず、徹底的に争うことにしました」

 改めてセブン-イレブンについて感想を訊くと、「セブン側の態度には怒りも通り越して、情けなくなりますね」と苦笑する。

「セブン-イレブンという企業の本質が、はっきり見えてきたのではないでしょうか。仮店舗を建てたら、近隣の人たちや、マスコミの皆さんはどう判断されるでしょうか。何よりも、2つのコンビニが建った映像がテレビのニュース番組で流されたとしたら、視聴者の皆さんはどんな感想をお持ちになるでしょうか」

 そして4月1日、セブン−イレブンは駐車場部分に「仮店舗」をつくる工事を始めた。

デイリー新潮取材班

2021年4月2日 掲載

関連記事(外部サイト)