最近出会った“ギャップがスゴすぎる”男性にくぎ付け 次々に飛び出す驚異の天然エピソード(中川淳一郎)

最近出会った“ギャップがスゴすぎる”男性にくぎ付け 次々に飛び出す驚異の天然エピソード(中川淳一郎)

イラスト・まんきつ

 人間、「ギャップ」ってヤツが案外大事なんだな、と感じています。私の場合は、ツイッターでは暴言が多いのですがこれは完全に別人格です。実際に会うと低姿勢のため、「怖い人だと思っていたんですが、いい人だったんですね」と毎度言われ、優しく対応をしてもらえます。まぁ、リーゼントにボンタンの不良が高齢者に電車で席を譲るような感覚とも言えましょうか。こうした件、新聞の投書欄で「人を見た目で判断してはいけないと痛感した」などと書かれるんですよ。

 そしてですよ。佐賀県の某役所で知り合ったA氏がこれの究極とも言えるような人物です。今、A氏への興味が俄然湧いております! 同氏はすらりとした体躯で穏やかな表情を浮かべる31歳男性。スーツが似合い、これから出世するのだろうな、といった臭いがプンプンする。しかも、声が低音でイイ! 私が「佐賀の姜尚中」と呼ぶほど、惚れ惚れとする落ち着いた渋い声をしています。

 他の同僚がお調子者や呑気者な中、唯一の冷静かつドライな人物なのかな、と思っていたのですが、初対面の5時間後、佐賀県太良町の名産「竹崎カニ」がドカーンと積まれた中、A氏が大量に食べまくるではないですか!

 えっ? こんな細いのに10杯ぐらいは食ったぞ! と思っていたら、「こんないいカニ、滅多に食べられません。僕も久々です」。その姜尚中ボイスを聞いた時に、同氏が実は呑気キャラだったのでは、と思ったのです。

 以後、同氏と会う度に「ちょっと、ギャップあり過ぎ!」と思うことが増えました。列挙します。

 ワカサギ釣りに行ってボートに乗るも方向感覚がおかしく、A氏の操縦するボートが逆方向に行く/そのうえ、釣り糸をリールの内部で絡ませて同行者に対処してもらう。これを2回やる/「池の水ぜんぶ抜く」(テレビ東京系)に参加した際は溺れて汚れた水を飲み、腹を下した。しかも同氏はオンエアで登場せず/側溝に自転車で落下。濡れる/唯一嫌いな食べ物はまさかの梅干し。そのため梅干しを見てもツバが出ない/ハイチュウのぶどう味を食べると小便の臭いが変わる/フェイスブックのアイコンはゴリラで、理由を聞いたら「僕、ゴリラが好きなんです」とのこと。ゴリラが好きなあまり多摩動物公園近くの大学に進学するも同園にはゴリラがおらず、約2時間かけて通って上野動物園でバイト。ナンにソーセージを挟む仕事をするが、このバイトは18時まで。16時30分にゴリラの見学は終了するためゴリラを見られず/私を車で佐賀駅まで送ってくれるも、それまでいた場所に鞄を忘れる/ナポリピザの名店を予約してくれた理由を聞いたら「僕、ピザが好きなんです。ピザ窯まで買いました」とのこと。後日、その窯を使うチャンス到来。本来は1日発酵させなくてはならないのに、我慢できなくなって40分で妥協したところ、マズく、以後は市販のピザをピザ窯で焼くように……

 A氏は仕事では非常に有能なのですが、それ以外の面でほのぼのし過ぎていて……。同氏を見ているとギャップが自分自身のイメージを高める結果になるのだな、と感じます。そのギャップを知るためにまた会いたくなるんですよ、コレが。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2021年4月15日号 掲載

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