日本医師会・中川会長、“噂の女性”と高級寿司デート 3密の店内でシャンパンを飲み

日本医師会・中川会長、“噂の女性”と高級寿司デート 3密の店内でシャンパンを飲み

“噂の女性”との寿司デート

 国民に強い言葉で我慢を強いる日本医師会の中川俊男会長(69)。政治資金パーティーに発起人として参加していただけでも驚きだが、それだけではなかった。3密の店内でマスクを外し、噂の女性とシャンパンを傾けながら高〜い寿司に舌鼓を打っていたのである。

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 このコロナ禍、最も強い言葉で国民に行動の自粛を呼びかけている人物はだれか、と問えば、日本医師会の中川俊男会長の名を挙げる人が、おそらく一番多いのではないだろうか。たとえば、4月21日の定例記者会見でも、「3度目の緊急事態宣言は不可避の状況」としたうえで、「新型コロナの感染拡大を抑える基本は各人の意識と行動だ」と、あらためて促していた。

 ところが、その前日、自身が後援会長を務める自民党の自見英子(はなこ)参議院議員の政治資金パーティーに、発起人として出席し、登壇していたのは周知の通り。しかも、「会場のホテル側と十分な協議を行い、感染症対策のガイドラインにもとづいて開催された」などと弁明したものだから、我慢を強いられている人たちの怒るまいことか。

「感染対策をきちんとやったから、なんておかしな話ですよ。自分たちは資金集めのパーティーをやって、飲食店は自粛だなんて、知り合いにも怒っている人がたくさんいます。ああいう立場の人は民間の医者たちを奮起させて立ち上がらせる、っていうのが役目じゃないですか」

 と怒り心頭なのは、東京は下北沢の居酒屋「第三新生丸」のオーナー、浅沼一秋さん。都内で2店のスナックを営む女性も、

「中川会長たちの度重なるアナウンスのために、開けていると周囲から白い目で見られるので、2店とも閉めていて、協力金をもらっても赤字です。それなのに自分は発起人になって政治資金パーティーに参加したって、どういうことですか。“会食はしていない”“感染防止策は徹底していた”とか言っていましたが、私たちはどんなに感染防止策を講じても営業はダメだ、と突きつけられています。中川さんたちのパーティーはよくて私たちはダメだという違いを説明してほしい」

 と、切実に訴える。そして、つけ加えた。

「こういうのを二枚舌って言うんじゃないですか」

 ところが、医師でもある東京大学大学院法学政治学研究科の米村滋人教授は、

「これまでも日本医師会は、自分たちの利益を重視して行動する傾向にあり、その点は一貫しています」

 と話す。舌は一枚だというのだが、どうしてか。

「国民に重ねて自粛などを呼びかけている日本医師会ですが、本当に国民の安全を考えての発言なのか疑問視する声もかなりあります。あくまでも医師会に所属する開業医と個人病院の利益を代弁した発言と捉える向きも多い。日本は全病院の81%が民間経営で、公的医療機関は2割にすぎず、コロナ患者を受け入れているのは、その2割が中心。開業医や個人病院の多くは、コロナ患者を受け入れると一般患者の足が遠のき、職員に感染者が出る、などのリスクから、なかなか受け入れが進んでいません。しかし、本来なら日本医師会が先頭に立って会員病院の不安を取り除き、受け入れに向けた調整をしてしかるべきですが、そのような動きはほとんどありません。公の利益を優先すると、自分たちの利益が損なわれる可能性があるからです」

 したがって、自分たちの利益を政策へと昇華させうる政治家の政治資金パーティーには、このご時世であっても平気で参加するのが日本医師会流、そして中川会長流であり、たしかに一本、芯が通っているようである。しかも、芯が通った行動は、実は、昨年夏にも観察されていた。


■3密マスクなしで高級寿司


 昨年6月の選挙で、横倉義武前会長を接戦の末に制して就任した中川会長。さる日本医師会の会員は、

「医師会の既得権益を守ろうという意志が非常に強く、自分の考えを曲げないので、話し合っても折り合えない。厚労省や財務省の役人にも厳しく、自分がこれと思うものは押し通し、気に入らないものは受け入れないところがあります」

 と評する。だから、これから述べる昨年8月25日の行動も、ご自身の既得権益を守るために、世間の自粛ムードと折り合いたくなかった、という強い意志の表れだったのか。

 その日の18時すぎ、東京都文京区本駒込の日本医師会館で中川会長を乗せたトヨタ・センチュリーは、日本橋高島屋前に停車。中川会長を降ろすと走り去ってしまった。専用車を帰すほどそこに長居する事情があるのかと思えば、高島屋の1階を脇目も振らず、まっすぐ通り抜け、裏側に出ると、タクシーを止めて乗り込んだのだ。

 その後も車で移動するなら、なぜセンチュリーからタクシーに、それも足早に移動してから乗り換えたのか。運転手を信用していないのか。ともかくタクシーは中川会長を乗せて走り出し、八丁堀駅前でいったん停車。降車した会長は、こだわりのワインが並ぶ酒店に入り、買ったのはシャンパーニュだろうか。待たせていたタクシーに再び乗り込んで向かった先が、1人当たりの単価が平均2万円を超える寿司店であった。

 満席で、カウンターの席と席の間にアクリル板もない店の一番奥には、ショートヘアで細身の、40代とおぼしき女性が待っていた。マスクを外して1時間半ほど、その女性とシャンパーニュを飲みながら寿司に舌鼓を打った中川会長は、店員に見送られてタクシーの迎車に乗り込み、女性を送り届けたのち、自身のマンションに帰宅した。

 そのころの定例会見などでの中川会長の発言を拾ってみる。7月22日には「初心に返って3密を避けるとともに、不要不急の外出を避け、人との接触を控える」ように呼びかけ、29日にも「引き続き三つの密を避け、不要不急の外出を避けていただきたい。感染が拡大するか収束に向かうかは、国民一人ひとりの行動にかかっている」と強調。

 8月5日には「感染拡大の一因となる可能性が高い業種」に対し、「要請や指示だけでなく、一定の強制力のある命令ができるようにすべきだ」と指摘し、12日には「我慢のお盆休み」の必要性を説き、「身近な人と一緒にいるときにもマスクの着用を徹底すること」と呼びかけていた。

 一方、中川会長ご自身であるが、「初心に返」らずに狭く混みあった「3密」と言うべき、「感染拡大の一因となる可能性が高い」店内で、「我慢」などすることなく、「身近な人と一緒にいるとき」は「マスクの着用を徹底」せずに、高級な寿司とシャンパーニュのマリアージュを楽しんでいらっしゃったわけである。

 もっとも、それを「不要不急の外出」だなどと安易に批判してはいけない。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、中川会長が政治資金パーティーに参加していた件について、こう話す。

「感染症などの専門家で、自分が言い出したことを自分で破る人はほかにもいます。感染症数理モデルの世界的スペシャリストで、イギリスのロックダウン政策を決めたニール・ファーガソン教授も、自ら破って女性を家に呼んでいた。なぜそうしてしまうかというと、大衆には禁令を守ってもらい、自分はルールを破るほうが合理的だからです。みんなが禁令を守ってくれれば感染が広がらず、病床は逼迫せず、自分は好きなことができる。そういう思いが、今回の中川会長の行動にもにじみ出ています。昨年多くの政治資金パーティーが延期になり、政治家は資金不足で思うような活動ができなくなりました。それは、いま飲食業や宿泊業が直面している状況と同じですが、世の中の状況と自分の状況が同じだということを、わかっていながら考えないのです」

 もとより、すべては自分たちの利益のためで、国民が自粛してくれてこそ可能になる逢瀬は、中川会長には「要」で「急」のものだったに違いない。やはり中川会長、芯が通っている。


■「記憶にないな」


 先の日本医師会の会員は、件のパーティーの裏に、

「医師でもある自見英子議員は、日医傘下の政治団体の組織内候補で、仮に来年の参院選で彼女が落選でもすれば、中川会長の求心力がゼロになってしまう。この最悪のタイミングでパーティーを開催した背景には、そうした焦りもあったのではないでしょうか」

 という事情を読む。自分が大事で、自分のためにも身内が大事。そんな中川会長が守ってくれたら、きっと心強い。“寿司デート”の相手女性にも、そんな思いがあったのかどうか。とにかく、この女性を紹介しなくてはなるまい。日本医師会総合政策研究機構の研究員で、仮に山田陽子さんとしよう。日本医師会の関係者によると、

「もう10年以上前から、中川さんと山田さんはとても仲がよく、中川さんは彼女の給料を上げるようにロビー活動し、成功したと聞きます。昨年6月の会長選までは、週末には料理屋で二人の姿がよく見られ、札幌に妻子を残している中川さんと独身の山田さんの関係を噂する声も、少なからず聞いたことがあります。そんなことがあるので、中川さんに向かって、会長選に出るべきではないと進言した幹部もいたほどです」

 また、別の日医関係者はこう話す。

「中川さんは昔から山田さんを高く評価していますが、二人ともマラソンが趣味というのも、仲良くなった理由かもしれません」

 昨夏、そんな噂を耳にし、気になってご様子を窺った次第。ただ、なにか疑念を抱いたか、寿司店の中川会長は途中から警戒モードで、こちらを凝視する場面も。この夜、“寿司デート”でお開きになったのは、そのためでもあったのか。

 ところで、日本医師会の「綱領」には、〈1.日本医師会は、国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活を支えます〉と書かれている。中川会長も、社会や経済が大きなダメージを受け、明日の暮らしが見えない人が増え続けているいま、マラソンという健康的な趣味を共有する異性と、日本の食文化の粋たる寿司を泡の芸術品シャンパーニュとともに楽しみ、〈健康で文化的な明るい生活〉の範を示そうとしたのかもしれない。中川会長、あっぱれである。

 だが、疑問も生じる。先の「綱領」には〈人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指します〉とも書かれている。中川会長ご自身の〈尊厳〉は、一連の行動においても十分に〈大切にされ〉ているけれど、中川会長からコロナの怖さばかり繰り返し説かれている国民の〈尊厳〉は、現状、あまり〈大切にされ〉ていないようにも思える。

 しかし、ご自身の行動から察するに、中川会長はコロナなど少しも怖いと思っていないように見受けられるから、国民にもそれを伝え、ご自身を範に、〈健康で文化的な明るい生活〉の送り方について、メッセージを投げてはどうなのか。

 そんなことも伝えるべく、日曜日のジョギング帰りの中川会長を、自宅マンションの前で直撃したが、最初は「中川会長!」と呼びかけるも、

「いや、違います」

 あらためて名を呼ぶと足を止めたので、山田さんをかなり厚遇されているのではないか、と尋ねると、

「そんなことはありません。(彼女は)日医総研の人間で、単なる部下です」

 そして、件の政治資金パーティーについては、

「あれ(への出席)は私の判断ミスでした」

 と答えたが、昨年8月の“寿司デート”については、

「それは……、ちょっと記憶にないな」

 デパート内を脇目も振らずに突き抜けてタクシーに乗り換えた日のことを、もうお忘れになるほど、日々が充実しているということなのか。ちなみに、山田さんは寿司店に行ったと認めたのだが。そして、

「私はやましいことはまったくないですから。こういう生活をしてますから。スーパーとコンビニの往復しかしてませんから」

 と、食材が入ったスーパーのビニール袋を見せるのだが、〈健康で文化的な明るい生活〉を送っているのだと、胸を張ればいいではないか。そこを誤解されているようなので、この先は日本医師会と中川会長への提言を記すことにしたい。


■日本の医師の代表ではない


 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長の川口浩氏が言う。

「日本医師会は学術専門団体を名乗っていますが、現実には政治圧力団体のようになっています。中川会長らパーティーに参加した幹部は、コロナ云々より政治的つながりを保つことのほうが大事なのでしょう。われわれ医師からすれば、医師会は一部の勤務医が所属していても、基本的には開業医の集まり。コロナ指定病院で、重症患者対応の最前線で体を張って戦っている医師のなかに、医師会会員はほとんどいません。ところが、世間が中川会長を日本の医師の代表だと思ってしまうから困ります。現実には、医師会会員は日本の医師全体の半数程度。医師会の先生方にも、すごく優秀で見識が高い方も大勢いらして、彼らは“中川会長をはじめとする幹部たちは、個人の見解を勝手に喋っているだけ”と訴え、また、メディアで医療崩壊だと無責任に煽っているのを、冷めた目で見ています」

 では、中川会長はいま、なにをすべきか。

「本当に彼が医療の代表なら、やるべきは医療の逼迫を改善すること。重症病床の使用率を示す分子は重症患者数で、政府や分科会は分子の縮小に躍起になって迷走していますが、医師会は確保病床数という分母の拡大に尽力すべきです。具体的には後方支援病床を拡大すること。PCR検査で2回陰性になっても基礎疾患の悪化で入院している患者は、コロナ感染症は治癒して、ほかの合併症で入院していることになる。感染力のなくなった患者を本来の合併症名に変更し、指定病院から一般の後方病院に転院させれば、指定病院の入院患者の回転が上がって、ベッドが空きます。そういうシステム構築にこそ、医師会は着手すべきです」

 第1次安倍内閣などで厚生労働大臣を務めた、前東京都知事の舛添要一氏も、

「医療崩壊を起こさないように病院の編成替えをするのは、行政も関わる話だけど医師会の仕事。ところが、それをサボっている」

 と指摘し、こう続ける。

「私が厚労大臣のときに一番対立したのは日本医師会でした。当時、新型インフルエンザが流行し、やはり医師不足で、妊婦さんがたらい回しになった挙句亡くなることもあった。救急病院に行っても医師がいないような状況でしたが、“医者は余っているから増やしてはいけない”と反対したのが医師会でした。病院が乱立する駅前に、もう1軒できると儲からなくなるという理由です。そこで私は11年ぶりに閣議決定を変更してもらい、医者の数を増やしたのですが、その後、元の木阿弥になってしまった。でも、欧米にくらべれば患者数は相対的に少ないのだから、病床さえ確保されていれば緊急事態宣言だって出す必要はないのです」

 たしかに、医師会が後方支援態勢をふくめ患者の受け入れ態勢を築けば、中川会長のような〈健康で文化的な明るい生活〉を、それこそ医師会の「綱領」にあるように、国民が送るのを支えられるはずである。 


■コロナ禍でも暇なので


医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏は、

「中川会長は、政治資金パーティーで飲食をしていない、と弁明しましたが、人流を抑制しろと言いながら、会場に着くまでに人流を作っています。そういう観点からも明らかにおかしい」

 と指摘し、続ける。

「感染対策さえしていれば開催していいなら、映画館も、美術館や博物館も営業していいのではないか、ということになります。ただ黙って映画を見たり、美術作品を鑑賞したりすることに、いったいどれほどのリスクがあるのでしょうか」

 しかし、その点は、対策さえすればパーティーにも感染リスクはないと、身をもって示してくれた中川会長に感謝するしかあるまい。東京都の小池知事らが強(し)い続ける休業要請に、なんの意味もないことが浮き彫りになったのである。

 ついでに飲食店で密を避けることや、パーテーション、マスク会食などが無意味であると、中川会長は訴えておられる。これについても、ご自身の行動が拠って立つ科学的根拠を示していただければ、国民への大きな朗報になるだろう。元厚労省医系技官で医師の木村盛世さんも、

「自分たちが、新型コロナウイルスなんてこの程度だ、と思っていることを、日本医師会は明らかにした」

 と言うが、自見議員のパーティーを通じて、医師会会員たちが存外に暇なことも浮き彫りになった。なにしろ、医療の逼迫が叫ばれるなか、常勤役員14人全員のほか、医師会所属の医師が大勢出席していたのである。木村さんが続ける。

「新型コロナに対応すると、風評被害で患者さんが来てくれなくなるので、医師会会員の開業医の多くは、コロナ患者を診るのは嫌だと言う。事実、コロナ対応をした病院の9割がたが赤字になっています。しかし、コロナを診ていない開業医などの相当数は暇なので、五輪で募集したスポーツドクターに、定員の倍の応募があったりするのです」

 現在、各地のゴルフ場が医師会会員で混雑しているというが、そんなに暇ならワクチン接種を手伝ったらどうか。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授で、循環器科、心療内科医の石蔵文信氏は、

「医師や看護師、歯科医師はだれでもワクチンを打てます。中川会長の行動は医者のサイトでも非難囂々で、パーティーに出ている暇があるなら、ワクチン対応をしっかりしてほしい」

 と話す。先の三浦さんは、

「ワクチン接種に関しても、医師会の協力度合いは政府が期待していたほどではありません。通常診療を脇に置いてまで、コロナのワクチン接種に集中しようという発想はないでしょう。ノルマやインセンティブを考える必要があります」

 と呆れるが、中川会長には、暇な医師に号令をかけてもらえないものか。内閣広報室によれば、

「ワクチンは現在、国際便で順次届いており、6月21日からの第8クールまでに、予定の6万7210箱に達する見込みです」

 ひと箱で概ね千回強は打てるので、これで高齢者全員分になるとのこと。今後も予定通り届くなら足りないのは打つ人なのだから、中川会長はご自身のライフスタイルを範として示すだけでなく、得意の強い口調で、暇な医師にワクチン接種に協力するよう号令をかけてはどうか。いまの逆風を追い風に変えることもできる、かもしれない。

「週刊新潮」2021年5月27日号 掲載

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