村上世彰が15億円の課税を巡り敗訴 “アウト”とされた村上氏の手口とは

村上世彰が15億円の課税を巡り敗訴 “アウト”とされた村上氏の手口とは

生涯節税家(若い頃の村上世彰氏)

 一般には馴染みがないけれど、「判例時報」は法律家必読の専門誌である。

「新しい判例など、注目すべき事件を毎号紹介しており、裁判所の考えを知る上でも同誌は欠かせません」(大手法律事務所に所属する弁護士)

 その判例時報の5月1日号に紹介されたのが、「X社」と国税当局の行政訴訟だ。そこには、また、X社の支配株主としてA氏なる人物も登場する。

「判決は昨年9月に東京地裁で出されたものですが、X社は『レノ』という会社です。レノはかの“村上ファンド”の関連会社の一つで、A氏とは投資家の村上世彰氏のこと。この裁判でレノは、約15億円分の課税を取り消すように求めていました」(同)

 経緯はこうだ。村上氏は2011年にシンガポールに移住する際、東京にあるレノに164億円を貸し付けた。年利は14・5%。レノはこの金利分を“損金”として計上し、法人税額をゼロ円として申告した。まず、その狙いを国税庁担当の記者が解説する。

「村上氏はシンガポール移住にあたって国内の資産も移そうと考えていたのですが、うまくいかなかった。そこで考えたのがレノへの貸付による“資産フライト”だったと見られています。実際これによって村上氏は約24億円の利息を得ています」

 ところが、東京国税局はこれを見逃さなかった。レノと村上氏の関係を2年かけて追跡し「過少資本税制」を適用したのだ。海外法人が日本の子会社の税負担を減らすために、わざと過大な貸付を行うことを阻止するもので、追徴税を課したのである。レノは、これを不服として訴えていたワケだ。

 が、判決はレノの敗訴。

 前出の弁護士によると、

「レノ側は、貸付があった時点で村上氏はまだシンガポールに転居しておらず、レノの株を直接保有しているわけでもない、つまり、過少資本税制にある『国外支配株主等』にあたらないと主張していました。しかし、裁判所は村上氏が実質的に国外からレノを動かしていたと認定したのです。過少資本税制が争われた事件としては初めての判例と言えるでしょう」

 もっともレノ(村上氏)は、この判決に納得しておらず、本件は控訴審でなお係争中だという。

「週刊新潮」2021年5月27日号 掲載

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