「大宮ネットカフェ立てこもり男」 許されざる32時間の暴挙

インターネットカフェの立てこもり事件 男は個室ブースから一切出ず部屋から異臭も

記事まとめ

  • インターネットカフェで従業員の女性を人質にして32時間余り立てこもった事件があった
  • 容疑者は部屋の中で事件関連のニュースを閲覧し“捕まりたくない”と話していたという
  • 容疑者は個室ブースから一切外に出ないので、部屋から異臭が漂いはじめキツかったよう

「大宮ネットカフェ立てこもり男」 許されざる32時間の暴挙

「大宮ネットカフェ立てこもり男」 許されざる32時間の暴挙

事件現場はネットカフェ

■鍵穴に細工


 さいたま市大宮区のインターネットカフェで、20代の従業員の女性を人質にして32時間余り立てこもった事件で、林一貴容疑者(40)が逮捕監禁致傷容疑で送検された。広さ約3平方メートルの個室での32時間に何があったのか?

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 林容疑者が雑居ビル7階のネットカフェ店内で犯行に及んだのは17日だが、前日の16日午後8時ごろにもこのネットカフェを訪れ、17日午前8時に一旦支払いを済ませ退店。その2時間後に再び入店している。入店の際に会員証を示しているが、このネットカフェの都内にある別の店舗で会員登録をしており、この店舗を利用するのは今回が初めてだったという。前日からの宿泊は下見だった可能性がある。

 林容疑者は入店から4時間半ほどが経過した17日の午後2時25分ごろ、従業員女性に「部屋の中の備品が壊れたので見に来てもらいたい」と呼び出し、個室内に女性を引き入れた。

 社会部デスクによると、

「2時間経っても女性が戻ってこなかったのを不審に思った他の従業員が様子を見に行ったが、応答がないので部屋を合鍵で開けようとしたところ開かなかった。林容疑者が鍵穴に細工をしていたようですが、そこで初めて警察へ通報したということでした」

 捜査員が店舗へ到着し、説得が始まったのだった。


■垂れ流し状態


「捜査員は部屋のインターホンを通じ、林容疑者とやり取りを続けていました。“ナイフを持っている。怪しい動きをしたら女と一緒に死ぬ”と話していました。個室ブースは女性が宿泊するケースも少なくないので、プライバシーに配慮した防音構造になっており、室内の様子がわかるようなカメラも窓もなく、まさに密室。林容疑者は部屋の中で事件関連のニュースを閲覧していて、“捕まりたくない”とも話していたと言います」

 その時点で、すでに複数のメディアがウェブ上で第一報を報じていたが、埼玉県警から被害者保護の観点から報道自粛の要請があり、それらの記事はしばらく後に取り消される一幕もあった。

「一時、誘拐事件の際の報道規制のような状況になっていました。林は個室ブースから一切外に出ないので、部屋から異臭が漂いはじめ、それがどんどんキツくなっていったようです」

 林容疑者は飲食物に関して、差し入れを18日昼前まで要求しなかった。そのころに林容疑者から「甘いものがほしい」との求めがあったので、捜査員は2人分のパンとペットボトルのお茶を届けたという。

「林容疑者は突入されるのを避けるべく、個室の扉を開けての差し入れを拒み、代わりに扉に穴を開けるように要求しました。扉の中央付近には不透明のプラスチック素材でできた部分があり、そこに10センチ四方くらいの穴を開け、2人にそれぞれ渡しました。その後すぐに穴は塞がれたようです」

 捜査員による突入は18日午後10時35分ごろで、その際、林容疑者は寝ていたという。


■睡眠時は突入のチャンス


「突入の2時間前くらいに容疑者から“寝る”という連絡があり、実際に応答がなくなったので、ドアのカギを壊して突入したという流れです。思い出したのは世間を震撼させた1979年の三菱銀行人質事件でした。あの時も、新聞を読みながらうたた寝をしていた犯人の梅川昭美の様子が外部へ伝えられたことによって、警察は内部へ踏み込み、梅川を射殺するに至っています。監禁事件において容疑者の“睡眠時”というのは、突入と救出の絶好のチャンスであることは間違いないですね」

 救出後、女性はすぐに病院へ向かった。

「少しケガをしていたこともありますし、あまりに異常な体験をしたため精神面でのケアも踏まえ、身体全体についての診断を受けたようです。このまま逮捕監禁致傷容疑に留まるのか、それ以外の容疑に発展するのか、あるいは余罪が出てくるのかが捜査の焦点になっていくものと見られています。それにしても捜査や公判の過程で、監禁時の様子なども事情を聴き、明らかにしていかざるをえないのですが、それは被害者にとっては思い出すだけでも辛いことでしょう。その意味でも本当に許しがたい犯罪です」

デイリー新潮取材班

2021年6月21日 掲載

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