事件現場清掃人は見た 立て続けに孤独死した“2人の男性”の気の毒すぎる共通点は?

 孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。長年、この仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、今も忘れられない2人の孤独死について聞いた。

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 長年、特殊清掃をしていると、思わぬ現場に遭遇することがある。偶然にしては気の毒すぎる2人の男性のケースをご紹介する。

「神奈川県にあるアパートの大家からの依頼でした。40代の男性がトイレで亡くなり、1週間経ってから発見されたそうです」

 と語るのは、高江洲氏。

「会社から近かったため、すぐに現場に向かいました。亡くなった男性の部屋は2階で、間取りは6畳2間の2DKでした。隣の住人が変な臭いがするというので、大家さんが部屋に入ったところ、トイレで遺体が発見されたのです」


■引っ越したその日に


 部屋に入った高江洲氏は、いつもの現場とは全く違う様子に驚いたという。

「人が暮らした形跡がまったくないのです。家具は、ソファーベッドにサイドボードだけでした。しかもサイドボードの中には何も入っていません。蒲団もなし。その代わり、部屋にはいくつものダンボール箱がありました」

 高江洲氏は、大家に事情を聞いてみた。

「男性は、1週間前に引っ越したばかりだったそうです。引っ越したその日、荷物を解く前に急に体調を崩し、トイレで亡くなったのです。というから心筋梗塞だったようです。人間はいつ死ぬかわからないと、しみじみと思いました」

 大家にしてみれば、とんだ災難である。

「家賃を1度も貰わないうちに住人が亡くなってしまった。しかもリフォームしたばかりの部屋を特殊清掃しなければならないわけですからね。遺体が発見されたトイレの汚れはひどく、全面的にリフォームする必要がありました」

 高江洲氏は、清掃とリフォームを終えると、すぐ新たな仕事が入った。

「マンションの家賃保証会社から依頼がありました。都内のワンルームマンションで60代の男性が亡くなったというのです」

 早速、いつも使用している会社のトラックで現場に向かった。

「部屋に入ると、?然としました。こんなことってあるのでしょうか。またもや、人が暮らした形跡がほとんどないのです。部屋にはダンボール箱が5、6個あるだけ。引っ越して数日後に亡くなったようでした。なんだか、キツネにつままれたような気がしました」

■学会の仏壇


 このマンションは、月末になると大家へ直接家賃を持っていくことになっていた。

「家賃を持ってこないので、大家さんが部屋に行ってみたそうです。呼びかけても返事はないし、電気はついたままで換気扇もまわっていた。ドアチェーンもかかったまま。そこで大家さんは警察へ通報、警官が窓ガラスを割って部屋に入ると、ベッドの上で亡くなっている男性を発見したのです。死後1週間ほど経っていたそうです。このケースも、住人は引っ越したばかりで家賃は1度も払わずに亡くなったのです」

 部屋には、仏壇があった。 

「線香を横に置く四角い香炉があったので、某宗教団体の仏壇だとわかりました。生活した形跡はなくても、お祈りだけはきちんと行っていたようですね」

 トイレには、血痕があった。

「具合が悪くなって、トイレで下血したようです。その後ベッドで横になったようですが、そのまま亡くなったということでした」

 高江洲氏は、特殊清掃にかかる見積もりだけ出して、マンションを出た。

「続けて行った現場で、住人がいずれも引っ越しした直後に亡くなったとは……。さすがの私もびっくりしました。同じ時期に、同じ状況下で亡くなった2人は、どんな巡り合わせだったのでしょうか。人生の不思議さを感じました」

デイリー新潮取材班

2021年6月25日 掲載

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