ネット時代だからこそ気をつけたい「子どもの命名」 誤解で炎上することも(中川淳一郎)

ネット時代だからこそ気をつけたい「子どもの命名」 誤解で炎上することも(中川淳一郎)

イラスト・まんきつ

 名前が同じ、ないしは似ているということで勝手に誤解され、ネットで叩かれる事例が最近相次ぎました。一つは、ホームレスと生活保護受給者の命に価値はない、的発言をYouTubeでしたメンタリストDaiGo氏です。

 元テレビ朝日記者の介護福祉士で、2020年の松本市長選にも出馬した花村恵子氏が、同氏の発言をツイッターで批判し、「総理の孫がこれか」と書きました。「総理の孫」とは、竹下登元総理の孫のミュージシャン・DAIGOのことです。完全に勘違いしてしまったのです。

 花村氏は選挙の際は社民党などが作った市民団体の支援を受けたものの落選。過去にも同氏は自民党批判が多かったことから、「自民党叩きに利用できると飛び付いたんだろ」といった指摘も書き込まれました。花村氏は謝罪しています。

 もう一つは、東京五輪開閉会式のプロデューサーチームを統括した日置貴之氏を巡る騒動です。なんと「日置」という珍しい苗字でしかも「貴之」氏が存在し、この人がもらい事故に遭った。

 開会式も閉会式も酷評されましたが、開会式に先立つ日置氏の日刊スポーツのインタビューが凄まじい出来栄えだったのでした。「ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と調和)」という基本コンセプトの解説を聞いた後の記者とのやり取りがすごい!

 記者が「その『ダイバー…』」と質問を切り出すと「それを言えない段階でだめ。僕が大事にすべきは、みんながそれを言える、理解する開閉会式にしなければいけない」と日置氏は答える。あたかも質問を遮るかのように話し、記者がバカにされているように見える。

 この記事は、終始日置氏が不遜な態度だったように読める読後感の悪過ぎるもので、同氏をイヤなヤツに見せようとした記者の腕前が感嘆されたのでした。

 ネットでは日置氏に対する批判や嫌悪の声が噴出。すると「すでに昨日からいろんな人に言われるので、先にお断りしときますが、オリンピックの開会式を手がけるのは私ではなく、同姓同名の別の方です。もし何か起きても私は無関係なので凸らないで下さい」というツイートが登場。なんと明治大学に日置貴之という准教授がいたのです。

 酒井美紀と坂井真紀と水野美紀と水野真紀を間違えることは時々ありますが、まさか同姓同名の日置貴之氏がいたとは仰天です。

 これらを見て感じたのは、命名の重要性、です。名前はネット検索されるもののため、我が子を目立たせたくない人は「大輔」や「浩」「大翔」などよくある名前を付ければよい。

 芸名は反対にあり得ない名前を付けるのがいいと思います。「メイプル超合金」なんて最高ですよ。一方「フルーツポンチ」をグーグル検索したら、「フルーツポンチのレシピ」が1ページ目は並び、ようやく2ページ目に吉本興業のプロフィールが出てきた。

 最近の犯罪者では「渡邉摩萌峡(まほと)」という人物が登場し、犯罪内容以上に名前のインパクトでネットが盛り上がりました。微罪であっても名前が独特過ぎるとネットで永遠に騒がれるので、これから名付けをする親御さんは慎重に。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2021年9月2日号 掲載

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