伊藤詩織さんの準強姦逮捕状を“握り潰した”男が警察庁長官に就任 その内幕とは

伊藤詩織さんの準強姦逮捕状を“握り潰した”男が警察庁長官に就任 その内幕とは

“忖度”のかいがあった?

 全国約30万人を数える警察職員の頂点、それが警察庁長官である。栄達を極めるまでの道のりもさまざまだろうが、次期長官となる中村格(いたる)氏(58)は殊更に独特だ。官邸との近さをウリにし、関係者の逮捕状を握り潰すなど朝飯前というのだから。

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 警察庁次長の中村氏が長官に昇進するという人事が今月10日に内示された。正式就任は22日付。中村氏は東大法学部を卒業して1986年に入庁し、警視庁刑事部捜査2課長ほかを歴任してきた輝かしい経歴だが、警視庁刑事部長時代に安倍官邸のために“あり得ない大ワザ”を放った人物として知られる。

 2015年、ジャーナリストの伊藤詩織さんに対する準強姦の容疑で元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に逮捕状が出されたが、執行直前、これをストップさせたのだ。

「山口氏はTBS政治部に在籍した経歴から、かねて安倍晋三前総理をはじめ安倍政権の要人らと親しく、官邸とはズブズブの関係などといわれてきました。一方、菅義偉総理の官房長官時代に秘書官を3年つとめた中村さんは15年当時、警視庁に戻って刑事捜査の元締めの座にあったわけです。自分を気に入ってくれている安倍さんや菅さんに忖度し、得点を稼ごうとして山口氏を守ってあげたと囁かれたものです」(警察関係者)

 この件は伊藤さんの告発を本誌(「週刊新潮」)が報じ、大きなニュースになった。当時、中村氏は本誌の取材に、

〈(捜査の)指揮として当然だと思います〉

 と述べたが、

「さる警察幹部は“疑いを持たれること自体が問題”と渋い顔でした」(同)

 そして、こんな揶揄(やゆ)の声まで聞こえてくる。

「菅政権の退陣間際での滑り込み的な人事発令に、中村さんも安堵していることでしょう」(官邸関係者)


■河井夫妻の事件でも


 人事レースでいえば、本来、同期の露木康浩官房長が先頭走者だと目されてきた。そこを逆転するにいたった力の源泉は、つまるところ、“安倍―菅官邸との距離の近さ”以外の何ものでもない。

 19年の参院選で河井克行・案里夫妻が広範に現金をばらまいた事件。広島県警は当初、広島地検と協力して捜査を進めようとしたものの、早々に降りる形となった。これについても、

「警察庁ナンバー2である中村次長の意向が働いたといわれます。先の広島の選挙はご存じの通り、菅さん肝煎りでしたから」(同)

 伊藤さんに見解を訊くと、

「中村氏の一言で捜査が中止になるならば、その逆のことだって起こり得ます。今度、警察庁長官になろうというひとが、これまで何をしてきた人物なのか。これは、大勢の方の暮らしにも直結する話です」

 漫画家の小林よしのり氏は、こう話す。

「権力の恣意的な使い方に問題意識をもつ人を、もっと増やしていかないと」

 相手は警察トップなのだ。

「週刊新潮」2021年9月23日号 掲載

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