警察官が警察官を騙し「5800万円」詐取 天下り先「交通安全協会」の“立て替え制度”を謳い文句に

警察官が警察官を騙し「5800万円」詐取 天下り先「交通安全協会」の“立て替え制度”を謳い文句に

愛知県警察本部

■八つ上の先輩


 愛知県警の警察官が、先輩警察官の仕掛けた策略に嵌まり、総額5800万円を騙し取られた。特殊詐欺のメンバーが警察官を装った事例はあるが、警察官その人が加害者というケースはなかなかお目にかかれない。

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 3年前に愛知県警を定年退職した被害者が語る。

「私を陥れた八つ年上のYとは1994年4月、天白(てんぱく)署へ異動したときに知り合いました」

 所属はともに交通課。被害者が天白署を離れてからもY氏との付き合いは続いた。だがそもそも、なぜ一介の警察官が詐欺の標的にされたのか。

「2009年4月、パトカーの運転に必要な検定試験を見学していると、クルマが突っ込んできて、建物との間に下半身が挟まれました。大腿骨などに複雑骨折を負い、未だに、歩行には松葉杖が欠かせません」

 この大事故で受け取った保険金が狙われたのだ。


■“立て替え制度”


 Y氏は県警を定年退職後に「愛知県交通安全協会」へと天下り、5年で任期を終えている。15年2月、被害者は、協会を離れたばかりのY氏から協会の“立て替え制度”について聞かされた。

「“職員は出張時、新幹線代を自腹で支払い、後で精算しなければならない。しかし、職員が手元不如意(ふにょい)の場合もある。それに備え、第三者が新幹線代を一括で立て替えた場合、30万円につき1万円の謝礼がもらえる”と」

 Y氏から制度への協力を頼まれたので、被害者は自身のクレジットカードで新幹線チケット31万800円分を購入。Y氏から謝礼を受け取った。元本は、後日、Y氏から銀行口座に入金された。

 以降、足が不自由な被害者に代わってY氏が被害者のクレカでチケットを買うようになったのだが、Y氏は、領収書分以外にもチケットを買い、金券ショップで換金していたのである。

 最終的に、騙し取られた立て替え代金は踏み倒された分も含め3250万円。そのほかにも、Y氏の実弟が経営する建設会社のつなぎ融資として2550万円を貸し付けている。このつなぎ融資の口実も真っ赤なウソだった。被害総額は5800万円。19年11月、被害者はY氏を詐欺容疑で刑事告訴した。

「週刊新潮」2021年9月23日号「MONEY」欄の有料版では、被害者が騙された手口と刑事告訴に至る経緯を詳報する。

「週刊新潮」2021年9月23日号 掲載

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