交通事故を起こした「群馬県警本部長」は「工藤会」と対峙した将来の警察庁長官候補

交通事故を起こした「群馬県警本部長」は「工藤会」と対峙した将来の警察庁長官候補

事故を起こした千代延本部長は将来の警察庁長官候補

■福岡県警の元暴力団対策部長


 群馬県警の千代延晃平(ちよのぶ・こうへい)本部長が運転するクルマが男性と接触し、男性が軽傷を負う事故が起きた。事故後に自ら110番通報するという、警察キャリアとしてあまりない経験をしたこの本部長は工藤会と対峙した福岡県警の暴力団対策部長で、将来の警察庁長官候補なのだという。

 まず、事故のあらましは以下の通りである。

9月23日午後0時5分ごろ、前橋市内の林道で、千代延晃平本部長運転の乗用車が作業員男性(30)と接触。男性は作業の合間の休憩中だったとのことで、ケガは腕や脚に打撲の軽傷。千代延本部長は私用で外出中だったという。事故後本部長は自ら110番通報した。

 千代延本部長は事故後すぐにおわびのコメントも発表している。
「秋の全国交通安全運動の期間中であるにもかかわらず事故を起こしてしまい、大変申し訳なく思う」

 一連の対応についてウェブ上では、〈事故は誰でも起こす可能性がある。事後の対応が肝心〉〈隠ぺいしなかったのが良かった〉〈すぐに申し訳ないとコメントを出したのが良かった〉などとおおむね評価する声が多く、否定的なコメントとしては、〈交通安全期間中でタイミングが悪い〉〈自分で運転するな〉といったものが目立った。


■工藤会の壊滅作戦で陣頭指揮


 千代延本部長は1993年に警察庁に入庁し、栃木県や福岡県警の刑事部捜査2課長、警察庁警備局の警備1課長、警備企画課長などを歴任し、2020年8月、群馬県警本部長に就任した。

「群馬県警本部長は、山口組やその中核組織である弘道会対策に尽力した大物長官の安藤隆春さんが経験したポストでもあります。千代延さんは同期にライバルは少なくないものの、かねて警察庁長官候補と言われてきたエース。何でもソツなくこなすタイプで嫌味がない。ちなみに奥さんは栃木県警捜査2課長時代に知り合った全国紙の記者。そんな彼の経歴で際立っているのは、2014年8月から2年間、福岡県警の暴力団対策部長に就き、工藤会の壊滅作戦の陣頭指揮を執った点ですね」(社会部デスク)

 工藤会は危険な不当要求行為を繰り返す指定暴力団として国内で唯一「特定危険指定暴力団」に指定されていた。千代延氏が暴対部長に着任後すぐ、県警はその2トップである野村悟総裁と田上不美夫会長を殺人容疑などで逮捕し、その後も組織的殺人未遂容疑などを含めて計6回、逮捕・起訴。21年8月、福岡地裁で野村総裁に死刑判決が、田上被告に無期懲役が下されたのは記憶に新しいところだろう。


■事故後の対応は適正で問題ない


 頂上作戦から約1年後のメディアのインタビューでは、千代延氏は工藤会から離脱する組員が昨年比3倍となったことに触れたうえで、

〈(工藤会は)特に市民を対象にした凶悪な襲撃事件を繰り返してきた。組織基盤に徹底的な打撃を与えて弱体化させる必要がある〉〈組織内の統制は大きく揺らいでいる〉〈暴力団の壊滅には資金を断つことが必要。(上納金に関して野村総裁を所得税法違反容疑で逮捕した件について)こういったアプローチがあるんだという先例となるよう、全容解明に努めたい〉

 などと語っていた。

 福岡県警の暴対部長のすぐ後には、警察庁の刑事局組織犯罪対策部暴力団対策課長に就任し、反社会的勢力への対応ポストが続いた。

 今回の件について、先の社会部デスクは、

「警察庁としてはもちろんない方がよかった案件ではありますが、事故後の対応は適正で問題ないという判断をしているようです」

 と話す。ウェブ上では正直に事故を申告した点を肯定的に見て、〈出世のレールから外れないでほしい〉という声も少なからずあった。事故後の対応としては至極当然のものではあるのだが、それが評価されるということは、逆にいえば警察不信が一部に根強くあることの現れなのだろうか。

デイリー新潮取材班

2021年9月28日 掲載

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