「龍角散」社長の訴訟、本人が法廷でセクハラを“自供” 女性社員に「軽くハグをしました」

「龍角散」社長の訴訟、本人が法廷でセクハラを“自供” 女性社員に「軽くハグをしました」

支離滅裂な答弁を披露した藤井社長

「龍角散」のセクハラに端を発した裁判が大詰めを迎えている。一連の騒動の主役である社長本人がついに法廷に姿を見せたのだが、そこで飛び出した驚きの証言内容とは。

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 9月16日、東京地裁510号法廷。濃紺のスーツ姿で入廷した龍角散の藤井隆太社長(61)の表情はいくぶん緊張しているようにも見えた。

 原告・被告双方の弁護士による質疑はその後、約1時間におよび、大半がセクハラ行為に関する質問に費やされた。

 そこで飛び出た藤井社長の答弁に触れる前に、まずはこれまでの経緯を振り返っておく。コトの発端は2018年12月、社内忘年会の席で藤井社長が契約社員(当時)のA子さん(40代)に“抱きつく”などのセクハラを働いたとされることだった。

 現場に同席していた女性執行役員が問題視し、法務部長を務めていた妹に相談。のちに裁判の原告となる法務部長が調査を始めたところ、逆に社長からクビを言い渡されたのだ。

 この報復人事に対し、元法務部長は19年6月、解雇の無効など地位確認を求めて提訴。そして今回、“疑惑の中心人物”がようやく証言台に立ったのである。


■アレッ、認めてる?


 冒頭、藤井社長は原告の元法務部長の調査を「事実を捻じ曲げた」ものとしてセクハラを否定。しかし原告側が具体的な質問を始めると、風向きは妙な方向へ。

弁護士:(忘年会当時の)言動を記憶していますか?

「(A子さんに対して)軽くハグをしました」

弁護士:背中のほうまで手が回っていたのでは?

「う〜ん、回っていたのかな、はい、はい」

弁護士:“首筋が色っぽい”と言った?

「言ったかもしれないですね、はい」

弁護士:“後ろを通るたびにゾクゾクするんだ”という話もしたか?

「それはそうですね、はい」

弁護士:手を触ったことはありませんか?

「激励の意味を込めて握手したというのはあります」

 ……と、ほぼセクハラを“自供”したように聞こえる答弁を行った一方で、藤井社長は「嫌がっていたら逃げますよ」「A子さん本人はセクハラと思っていない」などとも強弁。

 社長の発言について同社に見解を尋ねると、「外部法律事務所による調査報告書によると、元々セクハラがあった事実は認められず、原告による社内調査が公正さを欠くものであった点が認定されている」(広報担当)と、法廷での社長答弁に沿う回答が返ってきた。

 セクハラ問題に詳しい「さくら国際法律事務所」の板倉由実弁護士の指摘。

「飲み会の場で“ハグ”するという行為や“首筋が色っぽい”といった発言は業務上不必要かつ不適切な身体的接触や言動であるといえ、当事者の女性側がセクハラと思ってなくても、他の女性社員の就業環境の悪化に繋がり、環境型セクハラに当たり得るといえます」

 原告の姉の執行役員は左遷後、2年近くも自宅待機を命じられたまま。他の忘年会出席者の多くも雇い止めや降格などの憂き目に遭った。そんななかで唯一、A子さんだけが騒動後、契約社員から正社員に登用され、年内に開かれる次回弁論で被告側証人として出廷予定という。

 判決はその後となる見通しだ。セクハラの外形的事実については、すでに白黒ついているように思えるが、“告発の行方”の帰趨はA子さんの証言にかかるところが大。さて彼女は……。

「週刊新潮」2021年9月30日号 掲載

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