湘南美容で脱毛サービス改悪? 専門家は「手抜きとも言える変更」と指摘

湘南美容クリニックの脱毛施術のサービス変更に疑問 「手抜きとも言える変更」の声

記事まとめ

  • SBC湘南美容クリニックが脱毛施術サービスの内容を変更し、疑問の声が上がっている
  • 変更は3点だが、「脱毛後のローション塗布は、薬剤お渡しに変更」となった
  • 日本美容外科学会元理事長は「手抜きとも言える変更」と指摘している

湘南美容で脱毛サービス改悪? 専門家は「手抜きとも言える変更」と指摘

湘南美容で脱毛サービス改悪? 専門家は「手抜きとも言える変更」と指摘

湘南美容クリニックのCMに出演する相川佳之代表(SBC Medical GroupYouTubeより)

 医師が次々と好きな言葉を唱えるCMで有名になったSBC湘南美容クリニックは、2000年に神奈川県藤沢市に開院した。その後、20年余りでグループ全体では100院超を展開し、美容医療市場トップに急成長した。現在は、代表の相川佳之氏が登場するCMが放送中のこのクリニックで、脱毛施術のサービスに関して美容医療の専門家や利用者から疑問の声が上がっている。


■脱毛のサービス内容変更


「湘南の医療脱毛は、毛を生やす機能を壊します」と、グループ代表の相川氏がCMでアピールするように、湘南美容クリニックの脱毛の施術は、両脇1回500円、VIO1回9800円と医療脱毛としては破格の低価格で人気を得ている。

 最近、湘南美容クリニックで脱毛の施術を受けた女性が明かす。

「今月、脱毛の施術を受けに行ったところ、受付で『脱毛のサービスが変更になりました』という案内を受けました」

 その時、女性が受け取ったのが〈脱毛を受けてくださるお客様へのお願い〉と題する用紙だ。

 続いて〈SBCでは、お客様へより良いサービスをご提供させて頂きたく、お客様から頂戴したお声や改善点を日々検討しております。その中で、脱毛において、お客様にとってより良い施術になる様、以下の3点の改善を検討させて頂き、9月15日より完全移行とさせていただきます〉と記されている。

 そこには、機械の照射スピードと施術者の照射技術を見直し照射時間を短縮することや、照射後のお冷やしは肌トラブルがあった場合のみ行うといった変更が告知されている。

 客の利便性を考えたサービス改善のように思えるが、問題はもうひとつの変更点である。


■炎症止めのローション塗布を廃止


 3点目の〈脱毛後のローション塗布は、薬剤お渡しに変更になります〉である。〈脱毛後に炎症止めのローションを塗布させていただいておりましたが、ご帰宅後、お客様が必要な部位に、ご自身で塗布できる様なシステムに変更させて頂きたく、照射後のローション塗布を廃止し、帰宅後のケアとしてお薬をお渡しさせていただく事に変更いたします〉と説明されている。

 そもそも脱毛後になぜローション塗布が必要なのか、日本美容外科学会元理事長で日本医科大学名誉教授の百束比古氏に解説してもらった。

「医療脱毛は、レーザーを照射し毛根にある細胞を焼き切るので、施術後は照射部位が熱を持ちます。そのため、冷たいものを当てたり、抗炎症薬を塗るなどして、冷ます必要があるのです。冷まさないままでいると、炎症など肌トラブルを起こすことがあります」

 では、今回、湘南美容クリニックが行ったローション塗布の廃止と薬剤配布という変更についてはどうか考えるか。

「本来は、脱毛後にローションを塗ることとクーリング(冷やすこと)までクリニックで行うべきでしょう。それを省略するというのは、患者の回転をよくすることだけを考えた、手抜きとも言える変更だと思われても仕方がありません」(同)

 確かに、これまで湘南美容クリニックは〈照射後のお薬塗布(照射後毎回)〉が無料であることを売りの1つにし、HPにも記載していた。それが省略されたということは、サービスの低下と見ることも出来るだろう。

 取材後、〈照射後のお薬ご提供※初回は無料、2本目以降は200円(税込)〉という内容に変更された。


ステロイドは難しい薬剤


 配布される抗炎症薬は合成副腎皮質ステロイド剤で、この女性が受け取ったものは内容量5グラムの「リドメックスコーワクリーム」という薬剤だった。

 先の百束氏は、

「背中など、脱毛した箇所によっては自分で塗るのが難しい部位もあります。帰宅後に塗り忘れることもあるでしょうし、お客さんに自分で塗らせるというのは適切ではありません」

 このクリームには〈用法 赤身やかゆみがある部位に1日1回〜数回適量を塗ります(赤みやかゆみが消失したら使用を中止してください)〉と記載されているが、使用にはさらなる注意が必要だという。

「ステロイドはよく効く分、使い方が難しい薬剤でもあります。適切な使用方法を守らないと、毛包炎やステロイド皮膚炎などの副作用を起こす可能性があり、医者が塗り方や塗る量、塗る期間についてきちんと説明し、それを守ってもらわなくてはなりません」(同)

 ステロイド皮膚炎というのは、ステロイドを長期間塗ると起こる可能性がある疾患で、赤みや痒みを引き起こすものである。

「ステロイド皮膚炎を脱毛による炎症だと勘違いし、ステロイドを塗り続けることでさらに悪化する可能性があります。だから、お客さんに“勝手にステロイド剤だけ塗っておいて”と薬剤を渡すのは、無責任です。さらにステロイドの主な副作用の中には多毛といって、産毛を太くさせるものがあり、脱毛後に塗った炎症止めで産毛が太くなってはせっかく施術したのに勿体無いです。同じ抗炎症薬でも、せめて副作用の心配が少ない非ステロイド性のものを渡すべきでしょう」(同)


■2本目以降は有料


 さらに、〈次回以降は、希望時有料にてご購入とさせていただきます。※2本目以降はご購入となります〉と記載されている。つまり、最初に配布された抗炎症薬を使い切ったあとは、追加で購入しなければならないのだ。

「全身脱毛など、脱毛の範囲が広い人は、5グラムの薬剤をすぐに使い切ってしまうでしょう。その場合は、お客さんが脱毛の度に新しい炎症薬を購入することになるわけですから、たとえ価格が安いとしても、クリニックは薬剤販売の利潤を得られます」(同)

 実際、今回の変更を受けてSNS上では〈炎症止めが足りない〉といった不満の声が上がっている。

「もともと湘南美容クリニックは、ベルトコンベヤー式に大量のお客さんに対応し、いわば薄利多売で利益を上げてきたところです。しかし、クリニックと名乗るのであれば、利益だけを追い求めるのではなく、患者さんのためになるようにより安全で丁寧なサービスを求めるべきではないでしょうか」(同)

 取材に対しSBCメディカルグループマーケティング部は、

「使用する機器によっては、全てのお客様にお冷やし・ローション塗布の両方を実施していましたが、抗炎症効果、副作用リスク、これまでの臨床実績などを総合的に検討した結果、ご指摘の変更を行いました。説明書の記載を変更しましたが、今後も、個別のお客様の状態を踏まえて、必要に応じて、お冷やしやローション塗布を行うこともございます」と回答。

 ステロイド剤を使う理由については、

「効果面と当グループにおける有害事象報告が極めて少ない実績を踏まえてもステロイド外用剤が妥当であると判断しております」とのことだった。

デイリー新潮取材班

2021年10月4日 掲載

関連記事(外部サイト)