羽生九段、公式戦で連敗の絶不調 原因は加齢と若手の“AI研究”か

 昨今、棋界の話題を独占中なのは藤井聡太三冠(19)だが、積み上げてきた実績でいえば、かの羽生善治九段(51)にまだ遠く及ばない。史上初のタイトル七冠独占、永世七冠の資格も保持。そして国民栄誉賞まで受賞。そんなレジェンドが今、苦境に立っているという。

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 近年、羽生九段の成績が今ひとつだったことは否めない。2018年の竜王戦で挑戦者に敗れ、27年ぶりの無冠に。タイトル通算99期はもちろん歴代最多だが、100期まであとタイトル獲得1回という状態で足踏みし、現在にいたる。

 8月28日には将棋日本シリーズを1回戦で敗退し、今期は9月28日時点で4勝10敗と絶不調。このまま負けが込めば、将棋人生で初の年度内“負け越し”となる。また、1986年のデビュー以来35年の長きにわたって維持してきた“通算勝率7割台”という偉大な数字もついに割り込んだ。

 さらに、心配され始めているのがA級からの陥落である。羽生九段は9月17日にも豊島将之竜王にA級順位戦で敗れたばかり……。

 将棋ライターの松本博文氏が解説する。

「9月末現在、羽生九段はA級順位戦リーグで10人中成績9位です。全9局を戦い終えて9位と10位の2人がB級1組に陥落しますから、その可能性もゼロとは言えません。また公式戦6連敗中(未放映のテレビ対局をのぞく)で、5年前に記録した最多連敗数に並ぶなど本調子には見えません」

■“ノーベル賞級”?


 不調の理由としては、

「ひとつは年齢的なものでしょう。一般的に棋士の全盛期は20代から30代なので。ただ、羽生九段が衰えているというよりも、周りのレベルが上がっていることも大きい。藤井三冠はじめ、若手はAI(人工知能)を使って広く深く序中盤を研究していますが、そうした競争は年配の棋士には厳しい」(松本氏)

 日本将棋連盟常務理事の森下卓九段(55)も「自分だって今年度は2勝11敗で、かつ連敗中。ひとのことを言える立場じゃないんですよ」と自嘲しつつ、次のように同情を寄せる。

「私は羽生さんより四つ年上なんですけど、やっぱり年齢を重ねると目が疲れるよね。終盤になると霞んでくるし。それに体力も落ちるので、長く座っているのだって辛くなる。根気が続かなくなるんです」

 台頭する“若手AI勢”についてもこう語る。

「彼らは自宅で将棋盤ではなくパソコンに向かい、AIが示す手順を懸命に暗記しています。その数は膨大で、手順を正確に覚える点では若い人たちの方が凄い」

 とはいえ、羽生九段はこのままでは終わらないとして、こう続ける。

「それこそ年齢差が32歳もある藤井さんからタイトルを獲ったらノーベル賞級ですが、それだって成し遂げるかもしれない。そんなふうに思わせる凄みが羽生さんにはあるんです」

 伝説は復活するか。

「週刊新潮」2021年10月7日号 掲載

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