日大2億円流出事件、背景に“元タカラジェンヌ愛人”の存在 逮捕された理事の実姉

日本大学2億円流出事件、背景に錦秀会前理事長の“元タカラジェンヌ愛人”の存在か

記事まとめ

  • 日本大学の“ドン”田中英壽理事長は、特捜部からの本格聴取をかわし続けているという
  • 日大理事の井ノ口忠男容疑者と医療法人・錦秀会前理事長の籔本雅巳容疑者が背任で逮捕
  • 籔本容疑者の"愛人"元タカラジェンヌA子さんと事件は無関係でないと関係者は話した

日大2億円流出事件、背景に“元タカラジェンヌ愛人”の存在 逮捕された理事の実姉

日大2億円流出事件、背景に“元タカラジェンヌ愛人”の存在 逮捕された理事の実姉

田中英壽理事長(日本大学のHPより)

 国内最大のマンモス校・日本大学に斬り込んだ東京地検特捜部の捜査が山場を迎えている。疑惑の最後のピースを埋める同大トップの関与の立証に向け、水面下で攻防は激化。一方で、先に逮捕された面々にも新たな疑惑が浮上し、事件の全貌があらわになりつつある。

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 渦中の“ドン”田中英壽理事長(74)は、この約1カ月間、特捜部からの本格聴取をかわし続けているという。

「9月8日の日大本部や理事長宅へのガサ入れ翌日から、田中氏への事情聴取が行われましたが、同12日、田中氏側が“長時間の取り調べは受けられない”との医師の診断書を検察側に提出。すぐに都内の日大病院に入院し、特捜部は聴取継続が暗礁に乗り上げる“煮え湯”を飲まされた」(全国紙社会部デスク)

 特捜部内では現在、「籠城するなら在宅起訴で挙げればいい」との強硬論も浮上するなど、熾烈な神経戦が繰り広げられているという。

 今回の事件の構図は、日大板橋病院の建て替え工事に絡み、日大の関連会社「日本大学事業部」を舞台に2・2億円が不正に流出したというもの。すでに10月7日、資金流出に関与したとして、3年前の“日大アメフト危険タックル事件”で隠蔽工作に動いた日大理事の井ノ口忠男容疑者(64)と、大阪の医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳容疑者(61)が背任容疑で逮捕。

 一方の田中理事長はこれまでの聴取に対し、「知らない」などと否認を続け、徹底抗戦の構え。しかし流出した資金の流れを追うと、疑惑は深まるばかりだ。


■タックル問題で加害者に隠蔽を強要


 発端は2020年4月、建て替えに伴う板橋病院の設計業務などが、都内の設計会社に約24億円で発注されたことだ。前年12月に、建て替え業務は井ノ口が取締役を兼務する日大事業部に委託され、発注先の選定に井ノ口の意向が強く働いたとされる。

 同年7月、日大から着手金として7億3千万円が設計会社に払われ、翌月に井ノ口の指示で、うち2億2千万円が同社から籔本が全株保有する港区の法人に送金。

「同法人は活動実態のないペーパーカンパニーで、入金直後に籔本側からまず3千万円が田中理事長へ、さらにその後、井ノ口が実質支配する会社にも6600万円が送金された。うち2500万円は手渡しで井ノ口に渡っています」(同)

 一連の資金移動を主導したのが、「ドンの最側近」として学内で睨みを利かせてきた井ノ口である。

 18年、日大アメフト部の選手が相手選手の後方からタックルを浴びせ、全治3週間のケガを負わせた危険プレーに批判が集中。監督とコーチの指示によるものだったが、問題発覚後、井ノ口が加害選手と父親に「(隠蔽に同意すれば)一生面倒を見る。そうでなかった時は総力を挙げて潰す」などと恫喝した事実が明らかになり、事業部取締役と日大理事の職を追われた。

「ところが、ほとぼりが冷めた1年後にちゃっかり復職。おまけに以前にも増して権勢を振るうようになり、事業部の手掛ける取引はすべて井ノ口さんが仕切るようになった」(日大関係者)

 親分に倣(なら)って、井ノ口容疑者も否認を続けているが、捜査の過程で前述の6600万円以外にも、籔本から現金や高級時計を受領していた疑いが浮上。二人の関係に改めて焦点が当たるなか、さる日大職員OBはこう証言する。

「籔本氏の息子の一人は日大松戸歯学部卒ですが、入学時、“彼は井ノ口さんの計らいで『アメフト部推薦枠』で入ったので、くれぐれもよろしく”との申し渡しが、局長など各関係者になされた。要は“特別ルート”での裏口入学だから、アフターフォローも怠るなということです」(日大は同証言について「把握していない」と回答)

 実は名前は伏せられているが、1997年、都内の医療法人会長に「アメフト部の推薦枠を使えば歯学部に入学できる」と持ち掛け、5千万円を騙し取った「裏口入学詐欺犯」として、井ノ口は新聞に報じられた“前科”を持つ。


■容疑者を繋いだ理事の実姉


 そもそも籔本・田中両氏と井ノ口を繋いだのは彼の実姉のH女史だ。大阪で広告会社を経営するH女史は田中理事長の妻・優子夫人に取り入り、日大の広報事業に食い込むと、弟の井ノ口も「大学内に自動販売機を置く各飲料メーカーに“1口300万円の協賛金”を姉の会社に支払うよう要求」(同)し、日大利権を貪った“強欲姉弟”。

 そのH女史がオーナーの会員制の秘密サロンが大阪の堂島にあり、かつては「故・やしきたかじんなどの芸能人や医師などが大勢出入りしていた」(元会員)という。同サロンは日大事業部の接待にも利用され、同じビルには井ノ口が代表を務める会社も入居。

 その隣に建つビルに、元タカラジェンヌのA子さんがオーナーを務める美容サロンが店舗を構える。実はこのA子さん、籔本とタダならぬ関係とされ、錦秀会元幹部はこう話す。

「A子さんは関係者の間では数年前から“籔本さんの愛人”となかば公然と語られてきた女性です。逮捕された当日も、実は籔本さんは彼女のマンションから出頭した。A子さんはモナコやパリなど海外旅行の写真を自身のブログに頻繁にアップしていましたが、籔本さんの逮捕と同時にすべて削除。一見、彼女しか写っていない自撮り写真のように見えますが、撮っていたのが籔本さんでした」


■父親は愛人関係を肯定


 A子さんに話を聞くことは叶わなかったが、父親に二人の“道ならぬ関係”について尋ねると、

「そうやったんやないの。俺は籔本さんに会うたことはないけど。娘も40歳過ぎてるし、親がガタガタ言うことやないやん。結婚しとったら別やけど……」

 と話し、逮捕当日、二人が一緒だったことについても「聞いてます」とのこと。

 また事件とA子さんの存在は無関係でないと話すのは別の錦秀会関係者だ。

「昨年から今年初めにかけて、大阪国税局が錦秀会に調査に入った。そこで問題視されたのが、籔本さんの交際費。年間で億単位にのぼっていたが、経営する病院などの法人経費として計上していた。そのなかにはA子さんとの海外旅行分なども含まれていたが、それらを国税は“私費で経費に当たらない”と指摘。以来、彼女との関係をこれまで通り継続させるのに支障が出て、新たな資金作りが必要だったとの話もある」

 元横綱・朝青龍のタニマチや人気力士・遠藤関の後援会長なども務めていた籔本だが、その華麗な交遊は政界にも及び、安倍晋三・元首相の“ゴルフ友達”としても知られる。

 しかし永田町で「安倍さん以上に近しい」と囁かれるのが、籔本が結婚式の仲人を務め、直近3年間で900万円近くの献金をしていた自民党の中山泰秀・衆院議員である。

 その中山氏の話。

「事件の一報を聞いた時はサプライズの一言でした。以前、籔本先生が“日大が困ってるんや”と話されていて、なんでも病院経営のノウハウの提供を田中理事長などから請われていたそうです。籔本先生のことは人間として尊敬しており、いまも“ハメられたのでは?”との思いが拭えない」

 籔本は取り調べで、流出資金のうち1億円を受領し、クレジットカードの支払いなどに充てたことを認めた一方で、違法性は否認。しかし「早い段階から資金流出のスキームを井ノ口容疑者から説明されていた」(前出・デスク)という。

 事件の闇の奥底はまだ見えていない。

「週刊新潮」2021年10月21日号 掲載

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