眞子さまが一時金を辞退されたのは、好ましいことだと思う理由

眞子さまが一時金を辞退されたのは、好ましいことだと思う理由

小室圭さん、眞子さま

 秋篠宮家の眞子様は、10月26日に小室圭氏と結婚し、皇籍離脱されたあと、ビザの取得などの手続きをした上で、小室圭氏とともに渡米されることが予定されている。それまでは、民間マンションを借りて住まわれるといわれている。【八幡和郎/評論家】

 臨時に宮内庁のもつ公務員住宅に住まわれるとかいう説もあるが、普通には考えにくいし、賛成しかねる。

 以上のような日程通り事が進むかどうかはなんともいえないし、納采の儀など公的な儀式は行わないといわれるが、ささやかな結婚式もしないのか、ご両親や両陛下など皇室の方々とのお別れはどのような形でするのかといった課題があるし、米国のビザは取れるのか、ニューヨークでの住宅はどうするのかも不明だ。

 小室圭氏は、現在はローウェンスタイン・サンドラーという法律事務所に、法務助手としてつとめ、12月頃にニューヨーク州司法試験に合格していれば、弁護士として一千数百万円以上の給与を得ることが出来るといわれる。

 ただし、果たして司法試験に合格できているかどうかは不明である。そもそも、アメリカの司法試験は難関ではなく、ロースクールを卒業したら合格率は半分以上といわれるが、小室氏の学力は全く不明だからなんともいえない。

 司法試験の発表まで待てば良いのにと不思議であるが、うがった見方をすれば、10月26日の入籍というのは、もし不合格になったら、いちおう、生活するめどが立ったから結婚するという口実が崩れる一方、これ以上の延期は眞子様の気持ちが切れてしまうことをおそれて、結果が分かる前にという主旨なのかもしれない。

 いろいろ生活基盤を整えるのは手間がかかるだろうが、留学生が卒業して就職し、日本人と結婚して呼び寄せるとかいうことは、いくらでもあることだから、心配することもあるまい。ICUの先輩で、幼い頃に台湾から来日して帰化し現在はロサンゼルス在住の、立川珠里亜国際弁護士という後見人もいるそうだから、そのネットワークが助けてくれるのだろう。

 ただ、この後見人がいかなる人物で、背後に組織やスポンサーはいないのかについて、宮内庁は把握しているのかどうかも含めて何も確かな情報はない。

 当座の準備費用は必要だが、眞子様はこれまで、給与にあたる皇族費などのかなりの部分を貯蓄されていたようで、数千万円の貯蓄があるとみられることから、最初の一、二年は困られることはあるまい。

 この貯金の存在も、一億数千万円といわれる、一時金を辞退された理由だと言われる。

 この結婚が、皇室にとって歓迎できるものでないのは自明の理だが、男性皇族の場合と違って、女性皇族の結婚に皇室会議の了承はいらない。まして、両性の合意に基づいて結婚が行われるとしている憲法の主旨からしても、どうしても翻意してもらえないなら、最後は仕方ないのだと思う。


■私が書いてきた「殿下への進言」


 私はこれまでいってきたことをまとめて、「秋篠宮殿下への進言」というタイトルのコラムや雑誌記事をいくつか書いてこの春に関係者にもお見せした。

 内容は、ひとつは、辣腕の弁護士でも雇って、眞子様や小室母子とも建設的な話し合いをするべきだということだった。眞子様は宮内庁参与などに相談されたというが、それは元最高裁判事や政府高官で、男女間の機微が分かる人ではない。必要なのは、優秀な弁護士であり、人生経験豊かなアドバイザーだと提案した。

 そして、殿下から眞子様と小室圭氏には、次の三つの提案のどれかをとったらどうかとした。

 最初のふたつは、国民の理解が得られるのを待つことを前提にしたものだ。第一は、米国弁護士として確固とした職業基盤を数年かけて確立するまで待つこと。

 第二は、語学力を活かして国際交流団体など堅実な職場に就職し、落ち着いたら、そこでの給与に見合った生活設計をする。

 上記の、いずれの場合でも、400万円問題やそれ以外の借金返済などのめどを立て、それ以外の(三人連続自殺なども含めた)さまざまな疑惑について、世間が納得する説明を母子がして国民の理解を得ることが前提だ。そうすれば、結婚を認め、通常の親戚としての扱いをすればいい。

 上記のように、何年もかけて条件が整うのが待てないというなら、第三の選択として、儀式などは行わず、眞子様が皇籍を離脱し、一時金も受け取らず、今後は皇室行事にも参加しないし、皇室施設内には足を踏み入れない(両殿下などと外部で会うのは別)。また、小室母子には、両殿下もほかの皇族も会わない。ただし、将来、生活ぶりが適切で国民の理解が得られたら、部分的に解禁すればいい。

 あと第四の選択として、もし、二人が結婚を諦めるなら、小室氏の名誉回復と再出発の相談に乗るというおまけも書いた。

 結局、詳細はともかく、私の第三案に近いようなものになりそうだ。論理的に考えればこうなるだろうということでの提案で、私でなくとも考えつく話だが、ここ何年か、ことあるごとに関係者にもいってきたから、間接的に参考にして頂いたかもしれない。


■一時金、「辞退できない」という誤解


 そして、宮内庁はこの二人をできるだけ特別扱いしないほうが、国民も好感を持つし、眞子様が庶民として生きていくことに慣れてもらえるし、小室圭氏に間違った思い上がりをしないように誘導もできる。

 出国までしばらくのことだから、ウィークリー・マンションにでも滞在するか、短期の新婚旅行でもして、そのあとは、小室氏の実家に滞在してもなにも構わないのである。かつて、昭和天皇の皇女たちも庶民の家に住んだりして花嫁修業したくらいなので、できるだけ、そのような方向に軟着陸させるほうが、安全第一、警備のしやすさばかりをいうより、よほど将来のためになろうというものだ。

 ところで、皇籍離脱に伴う一時金辞退の話が、ずいぶんと話題になっているが、いろいろ誤解もありそうだ。

 この問題については、婚約直後から私はさまざまな形で取り上げてきたし、辞退の可能性について最初に論じたのもおそらく私なので、少し解説したい。

 この一時金については、辞退できないはずとか、警備費用の前払いだとかいう話があるが、まったく根拠はない。たしかに、辞退を予定した規定はないが、辞退を認めないという法律の主旨とも読めない。

 私は内閣法制局経験者など行政法務のプロとも議論したが、辞退できない、さらには、支給しないということを排除したものとは読めないということで意見は一致している。また、支給するとしても、極めて少額の支給とすることを妨げる条文もない。


■「警備費用の前払い」というのも…


 たとえば、皇族が公務員や民間企業のサラリーマンなら懲戒免職にすべきようなことをして皇籍を離脱するような場合にも、支給しない、減額するということもできないわけでもあるまい。それと、同じことだ。ただ、それが認められると、何らかの問題を抱えた皇族について、支給すべきかどうかということが議論になるので、宮内庁が好まず、嫌がっていることはあるかもしれない。

 その主旨については、警備費用の前払いだという人もいるが、皇籍離脱した皇族方も、普通よりは少し安全な住まいに住む以上のことはされていないし、特殊な事情があって、警備員を長期に亘って貼り付けたりするなら、一億数千万円などそれほど長く持たないわけで、そんな主旨はない。

 目的はあくまでも元皇族としての品位を保つためで、生活態度においてもみっともない真似は止めて欲しいとか、皇室との交流を続けるなら、それなりの服装や交際費なども必要だろうということだ。退職金としての意味もあろうが、30歳そこそこで寿退社したときの退職金など会社にもよるが100万円程度でしかないはずだ。

 遺産相続の前渡しとしての意味はあるかと云えば、皇族にも私有財産があるし、眞子さまもご両親からの相続権を失うわけでないから、その主旨はない。

 余談だが、高松宮殿下は有栖川宮家の財産を引き継がれていたので比較的豊かだったが、喜久子妃がなくなったのち、遺産は妃殿下の実家である徳川慶喜家の兄弟やその子のもとに相続された。また、女系からの相続もありうる。美智子上皇后は、正田家の遺産相続を放棄されたが、三笠宮信子様は麻生家から相続されているのだろうか。


■一時金をもらわない意味


 いずれにせよ、品位保持のために相応しい用途に使われなければ、国民から批判を受けるのは当然で、小室圭氏があの400万円や、小学校の奨学金とか今回の留学費用などかなりの負債をかかえているらしい状況と、これまで財産や収入に見合わない贅沢を繰り返してきた点を考えれば、まとめて一時金を渡すことには慎重であるべきだろう。

 さらに、結婚相手がこれまで無収入の学生で、今回、就職が決まったといっても司法試験合格が前提で、また、アメリカの実情からして、それなりの安定を見るのは先のことであるとかいう状況では、結婚が維持できるかかなり将来が危なっかしいし、破綻という可能性も想定しておくことは必要だ(別にこれにかぎらず、皇室典範は離婚について十分に定めていないから考え直すべきだが)。

 これまでの皇族女性の結婚相手は、それなりの財産や仕事をもつ相手であるから、たとえ結婚が破綻しても、経済的な面倒は見てくれそうな相手だったが、今度はそういうわけではない。

 一般の裕福な実家なら、離婚しても娘や子供の面倒くらい見るだろうが、秋篠宮家にそれを期待できないので、実質的に皇室や国が何らかの形で面倒をみることが必要なことだっておおいにありうる。そのときに、すでに一時金は受け取ったが、全部使っていたではなかなか国民の理解を得られない。しかし、もらっていないなら、何か知恵をだすことに国民の理解も得られると思う。そういう意味で、いま一時金をもらわないことに意味があると思う。

 さらに、制度論としていえば、品位保持の主旨でいえば一時金で全部渡すのでなく、年金のようなものにするか、元皇族が希望するなら、宮内庁の嘱託のようなかたちで、元皇族が皇室の仕事を手伝って収入を得られる仕組みをつくったほうがいいと思うが、すぐにというわけにはいかない。

 そんないろんな理由で、一時金を辞退されるのは、好ましいことだと思う。

八幡和郎(やわた・かずお)
評論家。1951年滋賀県生まれ。東大法学部卒。通産省に入り、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。徳島文理大学教授。著書に『誤解だらけの皇位継承の真実』『令和日本史記』『歴史の定説100の嘘と誤解:現場からの視点で』など。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月25日 掲載

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