性的暴行容疑で異例の10回再逮捕…「元リクルート関連会社社員」を追い詰めた捜査の内幕

性的暴行容疑で異例の10回再逮捕…「元リクルート関連会社社員」を追い詰めた捜査の内幕

丸田憲司朗容疑者

 飲みの場に誘い出され、知らぬ間に睡眠薬入りのカクテルを飲まされた女性たち。彼女たちのほとんどが、男に何をされたのか覚えていなかったという。「魂の殺人」とも言われる性的暴行の疑いで、元リクルートコミュニケーションズ社員の丸田憲司朗容疑者(31)が最初に逮捕されたのは、昨年11月のことだった。その後も準強制性交容疑などで再逮捕は続き、今月には10回目。なぜ警視庁はこのような異例の捜査を展開してきたのか。

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■朝起きると、舌が真っ青になっていた


 すべての始まりは、30代女性の訴えからだった。朝、目覚めると、昨晩一緒に飲んだ男の家でパンツ一枚になっていた。男とは3カ月前に知人宅で開かれたパーティーで知り合あったばかりの関係で、二人きりで会うのは初めてだった。

 舌が真っ青になっており、身体に違和感があった。お店で白ワインを飲んだ後の記憶がない。薬物を盛られたのではないか――。男の家を出た後、近くの交番に被害届を提出した。体内から睡眠薬の成分が検出され、丸田容疑者の犯行が明らかになった。

「警視庁が丸田容疑者の自宅を捜索すると、700錠もの睡眠薬と錠剤を砕くために用いられたすり鉢が見つかった。さらにスマートフォンを調べたところ、被害を受けたとみられる20 数人もの女性の動画や画像が残っていた。ほとんどの女性が記憶を失った状態で襲われており、白目を剥いているようなおぞましい動画も見つかったようです」(警視庁担当記者)

 丸田容疑者は逮捕後、最初の犯行は認めながらも、余罪については「記憶にない」などと認めようとしなかったという。そこから、警視庁の執念がにじむ異例の捜査が始まっていくのである。


■性犯罪に対する断固とした姿勢


「捜査員たちはスマホに残っていた情報から、被害にあったと思われる女性を一人ひとり訪ね歩いていきました。被害者の中には、その日の出来事に違和感を覚えつつも、自分が襲われていたことを知らずに過ごしていた人も多かった。薄々気づきながらも思い出したくもなかった、そもそも知りたくもなかったという人もいたはず。そういう被害女性一人ひとりに、性犯罪の捜査に慣れた女性警官たちが慎重に接触し、被害届を出す意思があるか確認していったのです」(同前)

 事件が一躍注目されたのは2度目の逮捕時。丸田容疑者が女性を誘い出すのに「就活マッチングアプリ」を利用していたことが大きな話題になった。丸田容疑者は甲南大学出身だったにもかわらず、神戸大学卒と就活生に偽っていた。ただし、彼が狙った女性は就活生ばかりではない。被害者にはクラブで声をかけられた女性や飲み会で知り合った女性などもいた。2年前から友人関係にあった女性も被害にあっていた。

 警視庁は1カ月に1回のペースで再逮捕を繰り返していったが、この種の犯罪でここまで再逮捕を繰り返すことは非常に珍しいという。

「数回再逮捕して、残りの余罪は追送検するのが一般的です。卑劣な性犯罪に断固として向き合っていこうという警視庁の強い意思の表れだったのではないか。捜査幹部は当初から『挙げられる余罪はすべて挙げる』と意気込んでいました。丸田容疑者が余罪を認めようとしなかった姿勢も影響したでしょう。再逮捕を繰り返せば、物理的に保釈が認められなくなる」(同前)


■再逮捕の合間に始まっていた公判


 8月31日に初公判が開かれた後も再逮捕が続いた。

「9月1日に9回目の逮捕があったため、予定していた第二回公判はキャンセルになりました。今後、新たに追起訴された分も併合して審理されることになります」(司法担当記者)

 初公判を傍聴したジャーナリストの高橋ユキ氏によれば、

「被告は読み上げられた起訴状3件のうち1件は否認していました。ただ、小声で『記憶がなく……』などとボソボソ言っており非常に分かりづらく、裁判官からは度々『聞こえない!』と叱られていました。坊主頭にスーツ姿でしたが、爽やかで清潔感がある印象を受けました」

 10月5日には、知人女性への準強制性交未遂容疑で10回目と再逮捕。これでようやく捜査は終結する見通しだという。

「ずっと余罪を認めようとしなかった丸田容疑者ですが、最後の逮捕後、ようやく『女性たちに申し訳ないことをした』と反省の言葉を述べ始めたそうです」(前出・警視庁担当記者)

 果たして、丸田容疑者は本当に被害女性たちに向き合い始めたのか。今後の裁判を注目していきたい。

デイリー新潮取材班

2021年10月25日 掲載

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