コロナ禍でバイク人気再燃 しかし新車は入手困難で中古市場活況のウラ事情

コロナ禍でバイク人気再燃 しかし新車は入手困難で中古市場活況のウラ事情

カワサキ Z900RS 17年発売・138万6000円[DOHC4気筒948cc]  中古車価格帯:153万円(走行距離9921q)〜508万円(1500q)

 知人が転居するにあたりバイクを売却せざるを得なくなった。当人にとっては愛着のあるカワサキ250TRではあったが、他人から見たら走行距離は1万キロ超、サビサビのおんぼろ改造バイクである。バイクで走行距離1万キロ超となれば、買い叩かれるのが相場だ。かつては、高価買い取りがウリの中古バイク業者を呼んだら、引き取り代1万円を払わされた者だっていたほどだ。ところが、かなりの高値がついたという。

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 250TRは、12万円もの値段がついたという。

「なんでもバイクが売れすぎて、売る玉がないそうなんですよ。おかげで家具も新調できるし、助かりました」

 オートバイ市場が活況らしいのだ。80年代のバイクブームをピークに、長らくブームは終わったと言われ続けていたのに、どうしたのか。

 一般社団法人全国軽自動車協会連合会が発表している「軽二輪車・小型二輪車の新車販売台数」を見ると、軽二輪(126〜250cc)は昨年6月から今年6月まで、前年比で増加を続けていた。小型二輪車(251cc以上)は今年1月こそ前年比でマイナスとなったものの、2月以降は増加の一方だ。4月には軽二輪が1万台超え、小型二輪は9929台が販売された。軽二輪の1万台超えは06年4月以来、小型二輪の9000台超えは14年3月以来となる。上半期の出荷台数としては13年ぶりに10万台を超えたという。

 どうやら本当にバイクが売れているらしい。「ヤングマシン」(内外出版社)編集部に聞いてみた。(https://young-machine.com/)


■コロナのせいで


「実はここ10年ほど、オートバイ人口はジワジワと増えていました。ざっくり言うと、リーマンショックでドーンと落ち、東日本大震災の11年まで下がり続けましたが、12年以降は上昇傾向に転じています。おそらく80年代のバイクブーム世代が子育てを離れてリターンしたことや、子どものときにバイクが身近にあったジュニア世代が免許を取り始めたことも、理由の一つに挙げられると思います。さらに、昨年来のコロナ禍で、3密を避けて電車を使わず通勤するためにバイクに乗る方、趣味として1人ツーリングなら密にならずに済むとバイクに乗る方も増えたのが大きい」(ヤングマシン編集部)

 コロナのおかげでバイクが売れる、まるで風が吹けば桶屋が儲かるのよう。需要があるなら、さっさと増産すればいいはずだが、コロナのせいでそれもできないという。

「コロナ禍で工場の操業が停止されたところもあり、その上、自動車同様、半導体やコンテナが足らないのです」(同)

 かつてのバイクは、ガソリンと空気の混合気を燃焼室に送るために機械式の気化器(キャブレター)が使われてきた。ところが今やスーパーカブですら、電子制御の燃料噴射装置(インジェクション)が採用されている。点火なども司るエンジンコントロールユニット(ECU)に半導体は不可欠だ。


■新車がないなら中古車へ


「自動車よりも少し遅れてやって来た排ガス規制に対応するため、バイクにもインジェクションや触媒は欠かせなくなりました。部品が増えたのと、鉄やアルミなどの価格の上がったために、バイクの新車価格も高騰しました」(同)

 当然売れ行きは落ちたが、ここへ来てのバイク人気だ。

「いまや教習所へ通うにもキャンセル待ちの状態で、メーカーの年間生産計画台数以上の需要が入るようになりました。しかし、生産が追いつかないため、モノによっては発売したばかりなのに『半年待ちです』なんて言われる車種も出るほど。そのため中古バイク市場が潤うようになったのです」(同)

 ちなみに新車の人気車は、ホンダではCT125・ハンターカブやGB350、レブル250、同1100、カワサキではニンジャZXー25R、Z900RSなどが挙げられるという。

「排ガス規制強化の影響で43年の歴史の幕を下ろしたヤマハSR400が、今年上半期のトップセールスとなりました。ホンダもCB1100EX/RSが同じくファイナルエディションとなり、この1週間ほどで受注予定数を消化したようです。今も昔も日本車らしい形は人気があります」(同)

 中古車市場でも同じ車種が人気だと言うのは、バイクの買い取りで有名な「バイク王&カンパニー」だ。


■程度が良ければ新車以上


「カワサキZ1、Z2といった製造が終わった旧車はもちろんですが、生産中の中古車も、いわゆる“ネオレトロ”といわれる旧車デザインの流れをくんだ車種が人気ですね。現行車であっても新車が買えないのですから、中古車が求められるわけです。新車のハンターカブなど、納車までに数カ月待ち、半年待ちが当たり前の状態ですから」(バイク王・広報)

 同社は5年前の16年決算で5億8600万円もの赤字を計上した。ところが昨年は5億9400万円の黒字に、今年はさらに業績を上げている。これだけでも、中古車人気がわかろうというもの。とはいえ、新車よりも高い新古車もある。

「確かに、状態のいいものであれば、新車以上の価格で売れる車種もあります。それだけ需要があるということです」(同)

 新車ではメーカーの希望小売価格以下でしか売ることはできないが、中古車ならそれ以上の価格で販売することができるということもあるようだ。

「需要が増す中、いいものを集めれば業績も上がるということだと思います。弊社のみならずパーツメーカーさんやヘルメットメーカーさんも、業績が上がっていますからね」(同)

 自動車がEV化を目指す中、果たしてバイク人気はいつまで続くだろうか。

デイリー新潮取材班

2021年11月2日 掲載

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