スマホ解約金0円は本当におトク? 格安プランへの移行者は約1割という現実

スマホ解約金0円は本当におトク? 格安プランへの移行者は約1割という現実

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 10月26日、KDDIとソフトバンクが携帯電話の途中解約時に発生する「解約金」を0円にすると発表。これにより、すでに廃止していたNTTドコモと並び、大手3社が揃って最大1万円超の解約金の徴収を取りやめることになった。

“これで乗り換えが促進され、利用者の利便性が高まる”などと、新聞・テレビは朗報のように伝えるが、果たして本当にそうか?

「乗り換えの障害となっていたのは解約金の存在だけではありません。多くのユーザーは契約の際、家族割などに加え、固定回線やプロバイダ契約も同時に行うセット契約をしている。さらに最近では、電気やガスとのセット料金プランを組んでいる人も少なくありません」(スマホジャーナリストの石川温氏)

 これら携帯大手3社による過剰ともいえる“抱き合わせプラン”も、気軽に乗り換えるのを躊躇(ためら)わせる要因になっているという。

「乗り換えの大きな動機の一つは“料金の安さ”ですが、大手3社はすでにグループ内に格安スマホ会社を擁していて、希望者をソチラへと誘導している。つまり解約金を廃止しても、各社の囲い込み自体が解消するわけではない」(同)


■お得なプランへの移行者は1割程度


 そもそも今回の廃止表明は3社の意思でなく、総務省の意向が背景にあると指摘するのは、元NTTグループ役員で『スマホ料金はなぜ高いのか』の著者である山田明氏。

「菅前政権時代に総務省は大手3社の寡占を崩し、競争を促すことで携帯料金を下げる政策に舵を切った。楽天の携帯電話事業への参入はその一環であり、今回の解約金廃止もその流れの延長線上にあります。そんな“お上”の圧に晒され、大手3社も割安なプランを設けるようになりましたが、新たに契約し直さないと、その恩恵には与(あずか)れないことを忘れている人は多い」

 日本では契約者全体の9割近くはいまだ高い料金プランのままで、お得なプランへの移行者は1割程度に過ぎないというのだ。

「理由は、安いプランはネット経由での申し込みが前提となっていることが多く、年齢が上がるほどにそれが契約の妨げとなっている。このように大手3社が巧妙に仕掛けた乗り換え防止策はまだ残されている」(同)

 解約金廃止はユーザーを取り囲む“高い壁”を切り崩す一歩に過ぎなかった。

「週刊新潮」2021年11月11日号 掲載

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