悪気はないのに恨まれるのは辛い…妊娠した子を認知、不倫、恋人の三股「46歳独身男」がボヤく理由

悪気はないのに恨まれるのは辛い…妊娠した子を認知、不倫、恋人の三股「46歳独身男」がボヤく理由

「誰に対しても本気。遊びで女性とつきあったことはない」と陽太さんは言うが…

「結婚」するから「不倫」が存在する。それは理屈だが、たとえ独身でも二股、三股をかけたら相手によっては激怒するだろう。恋愛感情に基づいた関係は、なぜか一対一でなければ「不誠実」とみなされてしまう。それが「社会」というものなのかもしれないが、どうしても納得できない男性もいるようだ。【亀山早苗/フリーライター】

「僕は一度も結婚していないんです。それでも“不貞”と糾弾されてしまうんですかね」

 首をかしげながらそう言うのは、竹本陽太さん(46歳・仮名=以下同)だ。とある専門職の事務所を経営している。従業員は彼を含めて3名で、収入は同年代サラリーマンの2割増し程度。

「特に儲かっているわけじゃありませんが、好きな仕事を好きなようにできるのはありがたいと思っています。時間の自由も利きますし」

 時間の自由が利くから、女性とのつきあいもかなり奔放。“独身”ではあるが、現在、密につきあっている女性がふたり。うちひとりとの間には子どもがいる。他にもときによって数人、恋人がいることがあるという。

「それは恋ではないとよく人に言われますが、当事者が恋だと思っているのだから恋なんですよ。気が多いのは認めますが、他人にとやかく言われることではないですよね」

 こうして文字にすると攻撃的なセリフだが、実際には穏やかな低音で語るので威圧感はない。むしろうっかりうなずいてしまうような説得力に満ちている。彼の恋愛遍歴が多岐にわたるので、現状で密なつきあいをしている人の話からしてもらった。


■一人目は37歳「芙美さん」


 今、彼がもっとも足繁く通うのは、芙美さん(37歳)の自宅。ここには4歳になる彼のひとり息子がいる。すでに関係は6年になる。

「実は芙美に子どもができたと聞いたとき、『結婚しよう』と言ったんですよ。結婚してひとりの女性だけを愛せるかどうかはわからなかったけど、それでも社会通念上、この場合は結婚したほうがいいのかな、と。そうしたら芙美が『あなたと結婚しても、いい家庭は作れそうにない。同居しているのにワンオペでイライラするくらいなら、最初からひとりで育てるわ』と。すごいでしょ。僕は浮気を公言しているわけではないし、他の女性の影をちらつかせるようなこともしたことはない。それなのに芙美は何かを感じ取っていたんでしょうね。まあ、僕が家庭向きではないとわかっていたのかもしれませんが」

 そこで婚姻届は出さず、子どもの認知だけした。芙美さんは、近所に住む姉に助けてもらいつつ、仕事をしながら子どもを育てていた。さすがに陽太さんも、ときには泊まり込んで子どもの面倒を見たが、芙美さんに怒られてばかりいた。

「泣いているとすぐおむつを換えるんだけど、実は子どもはお腹がすいていたというようなことがありまして。ちゃんと見ていればわかると言われたけど、母親のようにはいかないんですよね」

 芙美さんがイライラしてくると、陽太さんは自宅に逃げ帰るしかなかった。自分はダメな父親だと猛省するのだが、それが次に生かされるわけではなかったようだ。


■二人目は3歳年上の「香奈恵さん」


 そんな彼の逃げ場のひとつとなっていたのが、15年という長きにわたってつきあっている3歳年上の香奈恵さんだ。彼女は大学時代のサークルの先輩で憧れの女性でもあった。陽太さんの卒業から5年たって再会したとき、彼女はすでに結婚して子どももいた。結婚してすぐ夫の仕事の関係で渡米し、そこでふたりの子を出産したという。

「その後、ときどき会うようになって、いつの間にか関係ができていました。香奈恵とは僕の自宅で会うことが多かったですね。下の子が小さいころ、何度か子連れで来ました。さすがにその状態では何もできないと思ったけど、彼女が妙に色っぽく迫ってきたので、つい……ということもあった。今、ふたりの子もひとりは就職して、もうひとりは大学生になっています。彼女も仕事に復帰してバリバリ働いています」

 女性ふたりはお互いの存在を知らない。ただ、香奈恵さんはときどき、「あなたもそろそろ落ち着いたほうがいいんじゃないの」と言う。探りを入れられていると陽太さんは思っていた。

 ふたりの固定化した女性、しかもひとつは子どももいる疑似家庭。それで均衡が保たれていたのに、陽太さんの女性好きはそれだけにとどまらなかった。


■そして三人目が…


「ついつい、他の女性にも目がいってしまうんです。好きだと思うと声をかけずにいられない。だって、このままもう縁がないかもしれないでしょ。そうしたら二度と会えないんですよ。そんなのは寂しいじゃないですか」

 だから自分から誘う。とはいっても、彼はいわゆる“道ばたでのナンパ”はしない。相手は仕事で知り合ったり、友人と食事会をしたときにやってきた女性などだ。「会う必然性があって会った人は、少なからず縁がある。それ以上になるかならないかはお互いのフィーリングが合うかどうか」だそうだ。

 そんな中、「事件」は起こった。2年ほど前、学生時代からの友人が開いた食事会で知り合ったのが当時25歳の里央さんとの間でのことだった。

「若いから惹かれたわけじゃないんです。確かにまぶしいくらい若かったけど、なんというのか、芙美も香奈恵も非常に自立した女性なので、僕は常に自分の無能さとか不器用さとかを意識させられてしまう。でも里央はどちらかというと、いわゆる女らしさを備えている。もちろん、一生、仕事は続けたいと言う今どきの感覚もあるんですが、それでも『男性には頼りたい』ともつぶやいたりする。そこに心をつかまれました」

 里央さんが彼の仕事に興味を示してくれたので、今度、「事務所に遊びにくれば」と言いながら連絡先を交換した。そして翌日から猛アプローチをかけた。こうやってアプローチをかけているときがいちばん楽しいと彼は言った。

「その時点で、ときどき会う身体関係だけの女性もいたんですが、その人はもちろん、芙美や香奈恵との連絡も減らして、里央に集中しました。もっと彼女を知りたい、もっと深い関係になりたい。その一心です。あのときの高揚感はどう表現したらいいかわからない。恋の始まりは浮かれてしまいますよね」

 2年前を思い出したのか、陽太さんはニヤニヤが止まらない。芙美さんの家を訪れ、香奈恵さんを自宅に引き入れ、さらに里央さんに気持ちをもっていかれるとは。こういう人が本物の「女好き」なのだろうか。

「里央は食事の誘いは受けてくれるんです。だけどその後がなかなか手強かった。もちろん僕は無理強いはしません。週に2回くらい食事をしたりお酒を飲んだりしていたら、2ヶ月ほどたったころ、彼女がふと妙なことを相談してもいいかと切り出したんです」


■里央さんが明かした悩み


 里央さんの相談とは、“性”のことだった。4ヶ月ほど前につきあい始めた彼がいるのだが、性的な相性がよくない。彼女はほとんど感じないのだという。彼が初めてというわけではないが、自分が性的に熟しているとも思えない。「彼が悪いのか、私が悪いのか」と苦しんでいたのだ。

「新手の逆ナンで誘われているのかと思ったけど、彼女は真剣に悩んでいました。これは実践するしかないですよね。『僕はきみに原因があるとは思えない。嫌なら断ってもいいけど、僕で試してみないか』と言ってみました。同い年の彼よりは経験もあるし、何か役に立てるかもしれないと。そうしたら彼女、こくりと頷いたんです」

 うれしかったものの、責任も感じたと陽太さんは言う。だが「本物の女好き」はそんなことでプレッシャーは感じない。ホテルへ直行し、「治療」に及んだという。結果は彼の予測通りで、彼女に原因があるわけではなかった。

「自慢するつもりはありませんが、若い男より僕のほうがよかったんでしょう。それから彼女と急に親密になりました。彼女は僕が既婚かもしれないと思っていたようです。その後、僕の自宅に来るようになり、家に女性の気配がないので独身だと信じてもらえました。ただ、彼女は僕がなぜ独身でいるのかをわかってくれなかった」


■だんだんと重く…


 里央さんは、ときどき連絡もせずに自宅へやってくるようになった。しかも食材のつまったスーパーの袋を抱えて。彼においしいものを食べさせたかったのだろう。

「彼女は食関係の仕事をしていて、料理も得意。もちろんおいしいんだけど、僕は基本的に、女性が自宅で料理を作ってくれるのを楽しいとは思えなくて。芙美のところに行っても、僕が料理をするくらいですから。自分の食べるものは自分で作りたい」

 得意げに料理を出してくれる里央さんに、彼はやめろとは言えなかった。彼女の気持ちはありがたいし、その優しさを受け止めたかったからだ。だが里央さんはエスカレートしていく。泊まっていくと夜中に洗濯をし、部屋を片付ける。

「僕が結婚しない理由は、女性にこういうことをしてほしくないからなんだ、と数ヶ月たってからやっと言いました。すると里央はキョトンとして、『だって今までやらせてくれてたじゃない』と。それは里央に悪くて言えなかっただけだと告げると、『私のことが嫌いになったの』と泣き出して。『私はあなたとつきあうために、前の彼と別れたのに』とまで言うんです。前の彼と別れたのは里央の意志であって、僕とは関係ないはず。『だって、感じさせてくれたじゃない』と責められて、嬉しいのかつらいのか自分でもわかりませんでした」

 里央さんはいつしか結婚することを夢見ていたようだ。その彼女の思い込みを正しておかないと、あとから大変なことになる。そう思った陽太さんは、自分は結婚というものをするつもりはないとはっきり言った。

「里央はものすごく怒って、部屋にあるものを僕に投げつけて去っていきました。これで終わりになるのか、いい子だったからもっとつきあいたかったけど、あのままでは難しいしと思っていたんです」


■「里央さんのことを聞きました」


 ところがことは終わらなかった。数週間後、香奈恵さんからいきなり「里央さんのことを聞きました。ひどい男だね」というメッセージがやってきた。

「里央と知り合うきっかけとなった食事会を開いた学生時代の友人が、香奈恵ともつながっていたようです。それは知らなかったんですよ。そういうこともあり得ると思っていればよかったけど、そこまで頭が回らなかった」

 陽太さんは香奈恵さんに会ったが、彼女は一方的な里央さんの話を信用して彼を責めた。学生時代の仲間にはすでに陽太さんがひどいヤツだと振りまかれているという。

「僕は里央に“ひどいこと”をした記憶はありません。結婚しようと言ったこともないし、もっといえばつきあおうとすら言ってない。彼女がどんどんのめりこんできて、むしろ迷惑に近い状態だった。そう言ったら香奈恵が、『それが若い女の気持ちをもてあそんだということになるのよ』と。年上であるだけで、どうしてそんなふうに言われなければいけないのか疑問でしたね。さらに僕は夫のいる香奈恵にどうして責められなければいけないのか。そう言うと、さすがに黙ってしまいましたけど」

 自分に夫がいても、つきあう男性に恋人がいるのは許せない。「結婚と恋愛は別だからいいの」と香奈恵さんは言ったという。人間はどこまでも自分勝手なのかもしれない。

「結局、学生時代の友人たちからは総スカンで、いまだに数人を除いて会えない状態です。独身の僕の恋路に、どうしてみんながそんなに怒るのかさっぱりわからない。二股をかけられていると知った既婚の香奈恵が怒るのもわからない」


■「誰に対しても本気」


 香奈恵さんとは一時期ギクシャクしたが、最近また、関係が復活したそうだ。「私一筋だと思っていたのがバカだったのよね」と彼女は言った。

「一筋じゃないから愛情がないとか、そういう話でもないんですよね。香奈恵だって、『私は夫がいるけど、あなたには本気だから』と言う。僕だって香奈恵には本気ですよ。ただ、里央にも本気だった。それはいけないことなんですかね」

 陽太さんは、自分の恋愛が人とは違うのはわかっている。だがそれほど非難されることなのかどうかわからないとため息をついた。

「芙美との間には子どもがいるから、親としての役割があり、それが信頼関係に結びつきやすい。ただ、ひとりの男と女としての関係が緊密かというと、よくわからない。それぞれに対する愛情は微妙に違うような気がするんですが、誰に対しても本気です。僕は遊びで女性とつきあったことはありません」

 客観的に見ると、好きなように生きてきた陽太さんだが、ここへ来て「社会通念と自分の行動が折り合わないことへの苦悩」にさいなまれている。自分の道を貫き通すのか、社会通念に従って生きるのか。悪気がないのに人に恨まれるのもつらい。これからどう生きればいいのかを突きつけられている気がすると彼は言った。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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