歌舞伎町ビル殺人事件「もうトー横には来ないほうがいい!」 40代被害男性が抱えていた“キッズ”とのトラブル

歌舞伎町ビル殺人事件「もうトー横には来ないほうがいい!」 40代被害男性が抱えていた“キッズ”とのトラブル

新宿署から移送される関口寿喜容疑者

 新宿・歌舞伎町の雑居ビル屋上で、少年含む若者グループに40代男性が殴り殺された事件。殺害された氏家彰さん(43)は、歌舞伎町界隈の公園などで寝泊まりしながら、“トー横キッズ”と呼ばれる若者たちの輪の中に入っていたホームレスだった。知人らは、氏家さんが事件の数週間前から少年たちとトラブルを抱えていたと証言する。「もうトー横には来ないほうがいい!」。周囲が説得を繰り返したにもかかわらず、氏家さんが“トー横”に止まったワケとは……。

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■追悼集会


 事件翌日の夜、氏家さんを追悼しようというグループチャット上の呼びかけで、数十人の若者たちが歌舞伎町に集まった。彼らは事件現場となった新宿区役所前の雑居ビル屋上に線香と缶チューハイをたむけると、溜まり場である新宿東宝ビル前、通称“トー横”に戻ってきた。

「氏家さんは、ほとんど毎日トー横に来ていたホームレスのおじさんです。優しい人で、行き場を失い、トー横に集まってきた子どもたちの話をいつも聞いてくれていた。今回、傷害致死容疑で逮捕された関口寿喜容疑者(26)とは、以前から知り合いだったようで、トー横の清掃ボランティアに一緒に参加していたこともありました」

 こう語るのは、追悼集会に参加していた氏家さんの知人だ。彼はトー横にやってくる少年少女たちが犯罪に巻き込まれないよう、自警団的な活動をしているという。

 3年ほど前から新宿東宝ビル周辺に10〜20代の若者たちが自然発生的にたむろするようになり、社会現象として注目されてきた“トー横キッズ”。一部報道では、氏家さんを殺害した容疑者たちも、トー横キッズだったとされる。


■千葉からの乗り込んできた暴走族


 氏家さんがトー横に姿を現し始めたのは今年8月頃で、「いつしかここに集まる子供たちのお父さん的存在になっていた」と知人は語る。だが、事件が起きる数週間前の夜に異変が起きたという。

「いつものように広場で氏家さんと円になって話をしていた子供たちに、“千葉から来た暴走族”を名乗る少年たちが絡んできたのです。今回の殺人事件を起こしたグループの中に、彼らが含まれているかはわかりません。少年たちは『俺たちは喧嘩が強い』などと言いながら円に入ってきた。その時はトラブルになりませんでしたが、心配になった氏家さんは、トー横の中でも喧嘩が強い“武闘派”の子供たちに彼らのことを報告したのです」(同)

 すっかりトー横に溶け込んでいた氏家さんは、子どもたちを守りたいという一心だったのだろう。だが、“仲間”を思った行動が思わぬ結果を招く。氏家さんの報告を受けた武闘派の子供たちと、千葉の暴走族を名乗る少年たちとの間で喧嘩が勃発してしまったのだ。喧嘩は千葉グループの勝利に終わったが、勢いづいた彼らは、喧嘩の原因が氏家さんの“告げ口”にあると考え、氏家さんを呼び出すようになったという。

 この頃からトー横では、顔を大きく腫らした氏家さんの姿が度々目撃されるようになった。

「氏家さんは千葉から来た少年たちに何度も呼び出され、その度にボコボコに殴られていました。見かねた通行人が通報し、病院に搬送されたこともあったようです」(同)


■「もうすぐ地方に逃げる」


 子どもたちを含め、周囲は「もう歌舞伎町には来ないほうがいい」と説得したというが、それでも氏家さんはトー横に来ることをやめなかった。

「少年たちにリンチされ、体中に怪我を負うようになってからも、氏家さんはほとんど毎日、トー横に来ていました。ここしか居場所がなかったんじゃないのかな……」(同)

 事件の直前、周囲に「もうすぐ地方に逃げる」と話していたというが、数日後、氏家さんの変わり果てた姿が発見されたのは、歌舞伎町の雑居ビルの屋上だった。

「事件前、関口容疑者が『トー横に来る子供たちを手下にしたい』という旨の話をしていたのを聞いたという証言もあります。氏家さんと容疑者らに何があったのか、捜査が続けられています」(前出の警視庁担当記者)

 キッズたちと同じように、居場所を求めて街を彷徨っていた氏家さん。最後に辿り着いたトー横という居場所を、泉下でどう振り返っているだろうか。

デイリー新潮編集部

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