愛媛の上場企業に100歳の取締役が 「毎日出社し、幹部を叱咤することも」

愛媛の上場企業に100歳の取締役が 「毎日出社し、幹部を叱咤することも」

大正生まれの海軍育ち

 厚労省によると、今年9月時点で、100歳以上の高齢者は8万6510人にのぼる。最近では「人生100年」という言葉も当たり前に使われるようになったが、ビジネスマンとなると話は別。ところが、四国の街に100歳の現役経営者がいることをご存じだろうか。しかも上場企業である。

 愛媛県松山市にあるセキ(株)は、中堅クラスの印刷会社である。地方にありながら全国展開しており、取引では読売新聞との関係が深い。売り上げは約116億円で、2004年から東証ジャスダックに上場している。その、セキの取締役相談役・関宏成氏が誕生日を迎えたのは11月25日。約3700社ある上場企業の取締役でも最高齢かつ、100歳はただ一人だ。

 御年100ということは、大正10年の生まれである。立憲政友会の原敬首相が東京駅で暗殺される事件が起き、ソニー創設者の盛田昭夫氏も同じ年に生まれた。日本共産党はまだ結成されてもいない。

 四国の印刷関係者によると、

「関さんは法政大学在学中に海軍に応召し、復員後、実家が経営していた印刷会社を引き継ぎます。1949年に社長に就任すると、2代目経営者として長らく陣頭指揮を執っていました。88年に会長に就任。さらに04年にはその会長職も退いて取締役相談役になります。セキは現在、4代目が社長を引き継いでいます」


■「幹部を叱咤することも」


 事業を広げる一方で、美術にも造詣が深く、97年に松山市内にロダンや加山又造などのコレクションを集めた「セキ美術館」をオープン、現在も館長を兼任している。

 同社を知る関係者が言う。

「関さんは今でも毎日昼前に出社して重要な案件には目を通し、時には幹部を叱咤することもあるそうです。高齢なので、さすがに一日中会社にいることはなく、数時間在社した後は、通院のために掛かりつけの病院に向かうというのが、最近のパターンです。今年の夏は暑かったので、フラつくこともありましたが、年内は毎日出社すると張り切っているそうです」

 100歳で後進の指導にあたるとはなかなか手強い。

 そこでご本人に話を聞くべく、取材を申し込むと、

「本人の意向もありまして、インタビューは、ご遠慮したい」(経営管理本部担当者)

 高齢の経営者だからとて、いたずらに「老害」などと決めつけてはいけない。長寿かつ現役であることも、これからの社会の在り方かもしれないではないか。

「週刊新潮」2021年12月9日号 掲載

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