ED治療薬(性機能改善薬)に興味がある人が絶対に知っておいたほうがいいこと

 人気雑誌「ビッグコミック」で連載中の「ジャンボマックス」は、おそらく過去に類のないストーリーのマンガだといえるだろう。50代の薬剤師である主人公たちの運命を翻弄するのは、ジャンボマックスという名の画期的な効能を誇る男性性機能不全(ED)治療薬。

 この薬を巡ってさまざまな男たち、女たちの欲望が渦巻いて……ということで話は展開していく。そんなストーリーが成立するのも、こうした薬を渇望する人が多くいることが背景にあるのだろう。しかし、ジャンボマックスに危険な香りがするのと同様、実際の薬も気を付けないと大変な目に遭うリスクがある。

 性機能の悩みには、何に気を付けて、どのようなものを買えばいいのか。薬剤師の久里建人さんの著書『その病気、市販薬で治せます』から引用してみよう。

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■ネット流通や個人輸入の「偽造医薬品」に注意


 男性機能を高める精力薬を購入するとき、一番気を付けなくてはいけないのは、危険なニセモノ薬にだまされないことです。誰にも相談せずにコッソリ購入しがちな精力剤は、まがい物をつかまされる危険性が非常に高い分野です。実際、ネット上で流通している「バイアグラ」などの男性性機能不全(ED)治療薬は、高い割合でニセモノが流通していることがわかっています。

 故意に偽装表示された偽造医薬品は、英語でカウンターフィットメディシンなどと呼ばれています。日本では偽造薬があまり話題になることはありませんが、海外ではさまざまな病気の偽造薬が増えており、WHOでさえその規模の把握は困難だとしています。

 2020年1月にBBCが報じたところでは、世界の偽造薬の取引額は年間2千億ドル(約20兆円)に上り、そのうち4割がアフリカ、欧州と米国がそれぞれ2割を占めています。また、低品質な薬も広く出回っており、米国の学会誌によると、特に深刻なアフリカの39カ国においては低品質のマラリア治療薬によって、推計で毎年12万人以上の5歳未満の子供が亡くなっているという悲惨な状況です。

 BBCの報道に限らず、偽造薬や低品質な薬によって多くの命が失われていることは、過去にもタイムズ紙などの海外メディアで報じられており、「品質の保証された薬を届ける」ことが仕事の薬剤師にとっては、偽造医薬品の流通はよく知られた問題となっています。

 アニメ「ルパン三世」の登場人物・銭形警部が所属することでおなじみのインターポール(国際刑事警察機構)では、08年から「オペレーション・パンゲア」と呼ばれる偽造薬撲滅作戦を展開しています。20年3月の「オペレーション・パンゲア13」では、440万点の偽造品を押収し、121人を逮捕しました。今回は新型コロナウイルスに関連したものが多く、偽造フェイスマスク、規格外の手指消毒器、未承認の抗ウイルス薬などが押収されています。

 さて、日本はといえば、17年にC型肝炎治療薬の偽造品が国内流通していることが発覚、21年には国内製薬企業が品質管理に問題があるとして業務停止命令を受けるなどの事例はあるものの、偽造医薬品の数は海外と比較して非常に少ないとされています。一方で、個人輸入となると事情は異なります。15年に関税で差し止められた偽造薬は、なんと10年前の100倍に当たる、およそ千件。ファイザー日本法人など複数の製薬企業による16年の合同調査では、日本とタイの販売サイトで入手したED治療薬(バイアグラなど)の40%が偽造品でした。個人輸入は、非常にリスクのある行為なのです。


■安全でユニークな日本の市販精力薬


 では、個人輸入に頼らず、日本の薬でなんとかするにはどうしたらよいでしょうか。まず、性機能に対する切実な悩みであれば、泌尿器科などの病院をしっかりと受診するのがいいでしょう。日本性機能学会/日本泌尿器科学会のガイドラインによれば、男性性機能不全の原因は複数あり、加齢だけではなく、他の病気からくる症状の一つである可能性もあるのです。しかし、受診するほどではないような、自分の性機能に対するちょっとした不満・不調であれば、市販薬を試すという手もあります。

 ほとんど知られていないことですが、実は日本国内の市販薬にも、精力を上げる薬があります。コッソリ購入する人が多いため、ドラッグストアでも目立たない場所に置かれているうえに、薬剤師でなければ販売できない「第1類医薬品」「要指導医薬品」に指定されているものが大半なので、あまり知名度はありません。けれども、海外の薬を個人輸入するよりもずっと安全に使うことができます。

■「マムシ」や「オットセイの睾丸」配合のものも


 市販の精力増強薬は、マムシを使ったものから、なんとオットセイの睾丸(こうがん)を使ったユニークな成分までさまざまです。たとえば「金粒オットビン」という飲み薬は、海狗腎(かいくじん)というオットセイの睾丸・陰茎を乾燥させた生薬や、加齢やストレスに伴う体の衰えを改善する地黄(じおう)という植物由来の生薬が配合されており、強壮効果が期待できます。

 1文字違いの「オットピン‐S」(ビではなくピです)という精力薬もあります。こちらは生薬ではなく、【メチルテストステロン】という男性ホルモンを使った性機能改善薬で、1日3〜5回、男性性器や内股に塗ることで男性ホルモンを補充し、性機能を徐々に高めていきます。

【テストステロン】を使った薬には、「トノス」や「グローミン」という塗り薬もあります。「トノス」が他の男性ホルモン薬と一味違うのは、局所麻痺成分が含まれていることです。塗った場所の感覚が鈍くなるため、長く性交ができるようになりますので、機能に問題はないものの、時間が長くもたないという人にはテストステロンだけの「グローミン」よりも「トノス」の方が向いていそうです。ただし、「トノス」の製造販売元である大東製薬工業の福井厚義社長によると、風俗店で「トノス」をつけた男性客が、事前に患部の薬を洗い流さないことによって敏感肌の女性の口や局部がかぶれてしまい、女性にとても迷惑がかかることがあるそうです。塗布後20分も経てば効果は現れ、皮膚上の薬を洗い流した後でも麻酔作用は持続するそうなので、使用者は事前に塗布部を石鹸でよく洗い流すエチケットが大切です。

 塗り薬に抵抗がある方には、「金蛇精(きんじゃせい)」という飲み薬もあります。こちらは【メチルテストステロン】の他に【ハンピ(マムシ)】などの生薬が入っており、精力・体力をつけることができます。

 他にも、「ストルピンM」「ガラナポーン」という、劇薬成分の【ヨヒンビン】が入った飲み薬もあります。この成分は性器の血管を拡張して血流をよくし、男性機能の向上を促すことができます。


■前立腺肥大でも使える「男性ホルモン不使用」薬


 精力増強薬の大半は、体への安全性に配慮し、薬剤師による安全確認が行われた上でなければ購入することができません。例えば前立腺に重い病気がある方は、「トノス」を使うことができませんが、私の経験上、こうした薬を買い求めるのは中年以降の方が多く、尿が出にくい前立腺肥大の症状があったり、PSA検査(前立腺の病気を調べる検査)を受けていないなどの理由で、これらの商品を使えない方が一定数います。そうした方には、「金粒オットビン」や「金蛇精プレミアム」という飲み薬があります。こちらは男性ホルモンを使っておらず、薬剤師が不在の時でも購入ができる「第2類医薬品」に指定されています。「プレミアム」という名前がついていますが、成分は主に生薬で、「金蛇精」よりも特別強力という印象はありません。むしろ、PSA検査をしなくても購入できるという“使いやすさ”がプレミアムなのかもしれません。

 より詳しく言うと、「金粒オットビン」と「金蛇精プレミアム」は滋養強壮薬で、ここで紹介したそれ以外の薬は、薬剤師がいなければ購入できない直接的な性機能改善薬となっています。また、「ストルピンM」と「ガラナポーン」は劇薬という扱いなので、購入時に個人情報を書面に記入する必要があります。


■薬剤師のいる「専門店」もおすすめ


 性機能改善薬は、風俗街の周辺以外では店頭でそれほど売れる商品ではありませんので、あまり商品に詳しくない薬剤師もいます。より詳しい相談をし、近所の人たちに見られずにコッソリ購入したい場合は、薬剤師のいる精力増強の専門店を覗くのもいいでしょう。私も勉強として新宿の某有名店ののれんをくぐったことがあります。普段は見かけないような薬に圧倒された上、薬剤師は性の悩みに応じて薬を提案してくれました。対面相談に抵抗がある、遠方で足を運べないという場合はネットで購入できる薬もあります。

 精力剤についてもぜひ、薬剤師に相談してみてください。最後になりますが、女性用には指定第2類医薬品の「ヒメロス」という薬があります。「ヒメロス」は女性ホルモンの塗り薬で、女性ホルモンを補充することで局部に潤いを与え、性交渉の不快感を和らげる効果があります。

デイリー新潮編集部

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