吉村知事一押しの「日の丸ワクチン」頓挫で株価暴落 本人は「僕には分かりません」

吉村知事一押しの「日の丸ワクチン」頓挫で株価暴落 本人は「僕には分かりません」

吉村洋文知事

 新型コロナに抗する「日の丸ワクチン」第1号を期待されながら、11月に「有効性で期待する効果が得られなかった」と開発の遅れが報道されたのは、大阪発の医療ベンチャー企業・アンジェス(ア社)だ。

 振り返れば昨年4月、大阪府の吉村洋文知事(46)が開発に全面的に協力すると会見で明言し、翌月には「年内に10万〜20万本打てる」と豪語したのに、この体たらく。知事にはイソジン騒動の前科があり、軽率な言動だと批判する声もある。

 熱血漢を演じることで支持を集めてきたとはいえ、どうして吉村知事は“大阪ワクチン”にご執心だったのか。背景には、府内の大学などと連携し開発を主導するア社の創業者で、大阪大学大学院臨床遺伝子治療学寄附講座教授の森下竜一氏(59)と、吉村知事が代表を務める「大阪維新の会」との深い繋がりがあった。

「府が準備を進める大阪万博の『大阪パビリオン』で総合プロデューサーを務めるのが森下氏。彼は大阪府市特別顧問や大阪府市医療戦略会議のメンバーに選ばれるなど、維新と昵懇なのです」(府政関係者)


■「僕には分かりません」


 森下氏が広げた大風呂敷で、一時ア社は多額の利益を得たのではないか、とさる在阪の経済記者は指摘する。

「同社の株価は600円台が相場でしたが、昨年4月に吉村知事が“9月までに実用化”と発言し908円へと上がり、6月に“2021年の実用化を目指す”と治験日程を明らかにした後は、2300円台と最高値を更新。知事発言と株価が面白いように連動していた」

 12月7日の終値で、同社の株価は391円と暴落の一途を辿っており、株主たちの恨み節が聞こえてくるが、一連の出来事について、吉村知事はどう説明するのか。

 12月5日、南河内産いちごのPRイベントに登場した知事は、用意された真っ赤なフェラーリに乗って上機嫌だったが、本誌(「週刊新潮」)記者が「ワクチンの実現性」を尋ねると一転、戸惑いの表情を見せながら、こう話した。

「実現可能かは、会社(ア社)がやっていますので僕には分かりません。トライ&エラーを繰り返しながら国産ワクチンにチャレンジしていると思っています」

 株価についても聞くと、

「株式市場が株価を決めているわけで、上げ下げする力は僕には当然ないわけで。(ワクチン開発が)どういう状況にあるかは、会社の情報をもとに発信しているわけですから……」

 結果として、知事の言動がア社を宣伝することになった点については、

「我々が協定を結んでいるのは阪大と大阪市立大、病院機構ですから、アンジェス社と直接、関係を持っているわけではないし……」

 なんとも歯切れの悪い答えに終始した吉村知事、迎えの車に飛び乗り会場から去ってしまった。「政治は結果責任」と自ら言うが、このままでは“有言不実行”との誹(そし)りは免れまい。

「週刊新潮」2021年12月16日号 掲載

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